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【ハチトーーク第4回】41歳オッサンの小学生の頃の宝箱が出てきた!~牛乳キャップ前編~

おしゃべり対談コーナー「ハチトーーク」第4回の配信です。深夜のラジオ番組を1人でこそこそ聞くような感覚で楽しんでいただけるよう、ユルんでねじれて干からびきったグルーヴでお届けしたいと、一同張り切っております。

この対談は5/25(水)の午後にとつぜん小学生のころの宝箱を持参して出勤した編集部員酒井によって、仕事中の石川、伊波が急遽呼び集められた際に、収録したものです。

前回は、カードコレクションでしたが、今日は牛乳キャップコレクションの前編です。ではいってみましょう。

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【目次】

1. 牛乳のアレコレが熱い
2. コレクター魂をくすぐる牛乳キャップ

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1. 牛乳のアレコレが熱い

石川:出ましたね。小学生の心の友、牛乳ですね。小学校の頃に流行しましたよね、牛メン集めるの。

酒井:牛メン?牛乳キャップって言わんかった?

伊波:私は牛乳ビンじゃなくて、三角形の紙パックでした。

酒井:テトラパックだ。これは絶滅寸前らしいよ。

日本における牛乳の三角パックの歴史


コーヒー味チョコ(オリオン株式会社)牛乳ビン キーホルダー(アルタ)

石川:へぇ。テトラパックっていうんですね。あっ。これ可愛い。テトラパック牛乳のチョコだって。牛乳瓶キーホルダーもある。結構好きな人多いんですね、牛乳のアレコレ。

酒井:オレも毎朝飲んでます。

石川:伊波氏の頃はもうビンじゃなかったんだ。私が小学校の頃は、学校の給食は牛乳ビンで家では紙パックだったなぁ。

酒井:オレんとこは、給食も家も牛乳ビンだったよ。

石川:へぇ~じゃあ、牛乳受けもありました?

▲左から愛知県稲沢市/愛知県西尾市/愛知県知多郡東浦町/山口県下関市

酒井:もち。雪印だったっけな? 毎朝取りに行ってたよ。

石川:そういえば、まえコミケで八画文化会館ブースに立ち寄ってくれた人から「牛乳受けの本を作って下さい」って言われたことがあって、世の中には色々なコレクターがいるんだなぁと思った覚えがあるよ。で、探したらすでに写真集が出てたので、もしコミケで話かけてくれた方が見てたらこの本どうぞ。

『思い出牛乳箱』横溝健志(ビー・エヌ・エヌ新社)2008年発売

伊波:「牛乳箱を訪ねて~懐かしい木製牛乳箱~」っていう、牛乳受けのブログもありました。

酒井:牛乳パック、牛乳瓶、牛乳箱。牛乳の世界は案外深いね。んで、真打ちはオレが地道にコレクションしてきた牛乳キャップ。

伊波:どうやってこれだけいろんな地域の牛乳キャップを集めたんですか? 給食で出てくる牛乳って、毎回同じメーカーのですよね?

酒井:小学校の頃ブームになって、少しでもレアなキャプを手に入れようとあれこれ知恵比べするわけ。んで、誰かが究極の方法を思いついたんだよね。図書館に行って牛乳会社を調べて、福岡とか鹿児島とか遠い地域の牛乳会社に手紙と返信用封筒と切手を入れて送って、「キャップを下さい」とお願いしてまわった。親に校正入れてもらいながら、汚い字で何回も何回も文面を書き直してから投函しました。

伊波:本格的ですね。

酒井:で、ブームが加熱しすぎて禁止になった

石川:激アツですね。

酒井:マジでアツかった。小学校の頃の友達のフェイスブック覗くと、結構な確立で、コレクション自慢してるヤツ多いから。今も捨てられない勲章なんだろうね。牛乳キャップは人気なんだよ。素晴らしいサイトがあるから、まずはそれで牛乳キャップ、ひいては牛乳周辺のカルチャーの価値をわかってほしい。

WEBサイト「懐かし牛乳」魚谷祐介 
※八画文化会館2号で自販機ホテルの紹介をしてくれた「懐かし自販機」の魚谷さんの牛乳キャップコレクションサイト。

WEBサイト「漂流牛乳 配達所に帰れなかった、昭和の牛乳瓶とその周辺」
※牛乳瓶のコレクションサイト。海賊瓶もナイス!圧倒的な情報量で見ごたえ抜群。サイトデザインも可愛い。

『Milk cap―牛乳ビンのふたの本』和田安郎(きんとうん出版)2002年

石川:そこまで言うので、これ、読んでみました。すごく面白かった。読むと牛乳博士になれるし、装丁やデザインも丁寧で、持ってると嬉しくなる本。きんとうん出版さんって、屋上の本とか、マジシャンの本とか、大手出版だったら企画が通らないようなニッチな本を作ってて、気になってたので読めてよかった。

酒井:これは死ぬまで捨てられない一冊です。


2. コレクター魂をくすぐる牛乳キャップ

石川:牛乳キャップと言えば、薬指と中指の間に挟んで、反対側の人差し指ではじき飛ばして、友達に当てて遊びましたよね?

酒井:そういう玩具としてではなくてですね、これはコレクションだから。言っとくけど、これはオレの牛乳キャップコレクションの、ほんの一部ね。スクールボーイ時代に集めてたやつだけ。今のオレは筒で持ってますから、筒で。

伊波:えっ筒?

▲立岡牧場(三重県上野市)

伊波:大人になってからも集めてたんですか?

酒井:もちろんです。これは選ばれし者しか手にできないアイテムなんだよ、マジで。もし僕に悪意があって、日付の部分にイタズラで適当な数字を刻印したら、大変な事態になるからね。牛乳屋さんも、いい加減なヤツには預けれない。スターウォーズに例えるなら、この筒はライトセーバー。

伊波:(笑)

酒井:オレは牛乳キャップ界のジェダイの騎士ということになるね。ハハハ。だから貰った時はメチャうれしかったし、こうして今も大切に保管しています。立岡牧場さん、ライトセーバーを授かった日のことは、自分、今も忘れておりません。

酒井:あと、こんな企画もしました。

▲『愛知県漂流vol.5 総力特集:カワイイはむずかしい⁉』2002年9月

酒井:このときはモノクロだったけど、カラーで載せられて嬉しい。

伊波:牛乳キャップって、どんな魅力があるんですか?

酒井:同じカタチの中で無限のバリエーションがある。そのデザインの豊潤さがね、牛乳キャップのコレクター魂(小学生の心)をくすぐる魅力ですよ。

伊波:大きさはみんな一緒なんですか?

▲左から23.4mm(小)、34.1mm(中)、42.5mm(大)

酒井:その辺はさ、にわか牛乳博士に教えてもらってよ。

石川:大きさは3種類あるようです。いわゆる普通の牛乳キャップは、直径34.1mm。真ん中のやつです。大きいのはヨーグルトとかに使われがちな直径42.5mm。一部メーカーのみ直径23.4mmっていうミニサイズもある。

酒井:ミニサイズのは、このピロビタンみたいに、不思議な名前の乳酸菌飲料がよくあった気がする。

▲上段左から みどりビフィズスローファットE(福岡県春日市/九州乳業)、みどりラクトコーヒー(福岡県春日市/九州乳業)、明治りんご(東京都小平市/パンピー食品)、下段左から ビタ牛乳(大阪府大阪市/太田牧場)、全糖りんごジュース(大阪府大阪市/関西ルナ)、デーリィ髙千穂(鹿児島県姶良町/南日本酪農協同)

▲上段左から ヒカリ牛乳ブラボー(山口県光市/ヒカリ乳業)、ラクトCオレンジ(大阪府摂津市/岡崎乳業)、いかるがデラックス(大阪府大阪市/鵤牧場)、下段左から 雪印スーパー牛乳(兵庫県神戸市/雪印乳業)、白バラフルーツ(鳥取県東伯町/大山乳業農業協同組合)、丹那コーヒー(静岡県田方郡/函南東部農業協同組合)

▲上段左から 特別牛乳(大阪府大阪市/太田牧場)、ゼルシー牛乳(大阪府摂津市/岡崎乳業)、新城牛乳(愛知県新城市/大久保牛乳処理場)、下段左から 兵庫パピー(大阪府大阪市/太田牧場)、郡上無調整牛乳(岐阜県郡上郡/郡上乳社)、特別牛乳(大阪府大阪市/太田牧場)

酒井:2色刷りのキャップ可愛いよね。

伊波:色々なデザインがあるんですね。みんな真ん中に○があいてるのに、新城牛乳と全糖りんごジュースはあけてないですね。

酒井:おれも前から気になってた。牛乳博士、そこんとこどうなの。

石川:1968年(昭和43年)の乳等省令の改正で、牛乳キャップ史上最大と言っても過言ではない変化が現れるんです。

酒井:ほう。

石川:それまでは販売曜日をどこかに記載しておけばよかったので、キャップ全体を使って自由にデザインしてよかったんです。でも技術があがって牛乳の日持ちがよくなったんですな。製造日の表示が法令改正で義務付けられるようになったため、中央部分に円をあけて、そこに製造日を記載するようになったそうです。

伊波:じゃあ、円が空いてないのは1968年よりも前のものだってことですね。

酒井:でも全糖りんごジュースの方は、円がないけど製造日記載があるね。これはどういうこと?

石川:あっほんとだね。う~ん。牛乳じゃなくて、りんごジュースだからじゃない?乳等省令は乳が含まれる製品に関する法令みたいだから、りんごジュースには関係なかったんだよ、たぶんね。

酒井:結構あてずっぽうなこという牛乳博士だね。

▲上段左から オームコーヒー(福岡県大牟田市/オーム乳業)、太田サロンクリーム(大阪府大阪市/太田牧場)、ひだコーヒー(岐阜県高山市/飛騨酪農)、下段左から 木村牛乳(和歌山県伊都郡/木村牧場)、名古屋牛乳(愛知県大府市/名古屋牛乳)、ニコニココーヒー(広島県三原市/中国酪農協同)

酒井:ロゴマークも秀逸だよね。

石川:1cmに満たないミクロなロゴデザインですね。こんな小さいのに、シャチホコとか牛とかのオリジナルロゴが入ってる。

酒井:単に企業ロゴを縮小してぶっこんだだけだと思うけど。

石川:いいじゃん、可愛いんだから。

▲左から 不明(たぶん九州乳業)、あさぎり牛乳(静岡県富士宮市/朝霧乳業)

伊波:こっちはロゴじゃなくもうデザインっていうより、挿絵の世界ですね。石川:まるで大草原の小さな家だね。なんか90年代ぐらいまで、世界名作劇場みたいな子供向けの名作アニメやってたよね。ハウス食品とかが提供のやつ。フランダースの犬とか。ああいうのを思い出したよ、このキャップを見てると。

酒井:左のやつ激レアじゃない? 古着のTシャツみたいな絵柄だね。

石川:商品名も何も書いてないですね。大きさは普通の牛乳キャップサイズなんですけど、これ何のキャップですか?

酒井:覚えてないなあ。

石川:じゃ、まぼろしのキャップってことにしときましょう。

▲上段左から すずらん牛乳(長野県駒ケ根市/上伊那農業協同組合)、ママグルト(広島県広島市/岸本乳業)、天城牛乳(静岡県田方郡/小森庄作)、下段左から 四日市りんご(三重県四日市市/四日市乳業協業組合)、ひだりんごドリンク(岐阜県高山市/飛騨酪農)、全糖りんごジュース(大阪府大阪市/関西ルナ)

酒井:愛知県漂流の5号で企画したMilk Cap Cupで優勝したのは、上伊那農業協同組合の「すずらん牛乳」だったんだけど、優勝を報告したらキャップを送ってくれたよ。ユーモアの理解があって嬉しかったね。

石川:喜んでくれたんだ。あのー、素朴な疑問なんだけど、りんごジュースのキャップが3枚もあるけど、りんごジュースって牛乳?

酒井:りんごジュースは、りんごジュースです。

石川:コーヒー牛乳とかの乳製品なら、牛乳の仲間なのかなと思うんだけど、なんでりんごジュースこんなにあるの?

酒井:市内に1つか2つある町の牛乳屋さんのラインナップは、大きいところだと、まず牛乳が2~3種でしょ。あとコーヒー牛乳、フルーツ牛乳、りんごジュース、デカいふたのヨーグルト、小さいふたのビタミンっぽいドリンク。これがデフォルト。んで、全種類コンプリートしたくて買ってました。

石川:そんなにあるんですね。給食だと牛乳か、たまにコーヒー牛乳かヨーグルトが出るぐらいだったから、そんなにいろんな種類の飲み物のキャップがあるなんて知らなかった。

酒井:ちなみに瓶を持ち帰ることもできるけど、返すと10円バックっていうシステムのところが多かったので瓶はコレクションしなかった。重いしね。

▲上段左から 鈴豊フレッシュクリーム(愛知県名古屋市/鈴豊乳業)、フレッシュクリーム(大分県佐伯市/南豊酪農業協同組合)、まきうちホイップ(愛知県岡崎市/牧内ミルクセントラール)、下段左から スノーラック(大阪府大阪市/雪印乳業)、メイトーパルケフィア(静岡県静岡市/静岡牛乳共同組合)、ハニイ(兵庫県和田山町/朝来郡農協牛乳処理工場)

酒井:そのほかにも、いろいろな種類の牛乳キャップがあるんですよ。

伊波:スノーラックとか、メイトーパルケフィアとか、ハニイとか、名前もいろいろあって面白いですね。

酒井:俺も現役しりぞいちゃったから鈍ってるけど、乳酸菌飲料は面白いネーミングが多かった、なぜか。あとリンゴジュースは多いけど、オレンジジュースはあんまし見なかった。気になって調べてみたら、漂流牛乳さんに、りんご牛乳特集っていうコーナーがあって、こう書いてあった。

近年は製造業者が激減し一般には馴染みの薄い飲み物だが、昭和30~40年代の頃、近畿・中国・九州の西日本一帯を中心に、いわゆる「りんご牛乳」は戦前から親しまれたコーヒー牛乳と並んで一世を風靡する人気を博していた。
大牟田のソウルドリンクこと福岡・オーム乳業さんの「オームリンゴ」は、平成24年に惜しまれながら終売。現在同種の乳飲料は、三重県の大内山酪農さんによる「大内山りんごおーれ」(四日市乳業「四日市りんご」継承)を残すのみとなっている。
往時は多数の乳業や清涼飲料水メーカーが参画しており全容はとても把握し切れないが、本項に掲載の通り大型王冠栓仕様のりんご牛乳専用(ミルクコーヒー兼用)瓶で商われるケースが少なくなかった。リンゴのイラストを大きくあしらったポップなデザインはバラエティに富み、白牛乳の瓶装とは違った賑々しく華やかな一大ジャンルを築いている。

『漂流牛乳 特集:りんご牛乳』引用

酒井:もしかしたら、りんご牛乳っていう文化が牛乳屋さんにあったから、その名残でりんごジュースになったのかもしれんね。

石川:名探偵ホームズばりの推理ですね。りんご牛乳っておいしかったのかな?なんとなく、ジュースと牛乳混ぜるって罰ゲームみたいな味じゃない?

酒井:うん、まずそう。だから今見ないのかもね。でもさぁ子供の頃に、まれにいるよね。フルーツ牛乳ばっかり飲むやつ。今にして思うと、あいつら、実はりんご牛乳を欲していたのかもしれんね。

収録日:2016/5/25(水)

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