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奇界遺産:本の紹介(ネタバレ少)

先ずは、この極めて印象的な表紙をご覧いただきたい。

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かつてTBS系で放送され、悲しい事件と共に急な番組終了の憂き目にあった「クレイジャーニー」でもお馴染み、写真家・佐藤健寿(さとうけんじ)氏の「奇界遺産」という大判の写真集である。
大変人気な番組であった上に、佐藤健寿氏は、ぼくが学生時代から著書や嵐よういち氏のポッドキャストをよく聞いていた、丸山ゴンザレス(だるま似のオジサン)氏同様に、番組準レギュラー的にたびたび登場していた人気者であったので、よくご存知の方もいるだろう。そして、知らない人からしたら、全く意味不明な画像を見せられた挙句、サッパリ知らない名前が並んでいて、既に本記事から離脱しているか、そろそろ就寝を検討する頃かもしれない(黙想)。
お願いなので、次の画像とその後のページを読んでから、もう一度考え直してはくれないだろうか。

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これは、ぼくが実際に2019年に聖地巡礼をして撮影した画像である。ベトナムのスエティエンテーマパークという遊園地内のプール施設である。ぼくはここで泳いだりウォータースライダーに乗った。極めて不思議で楽しい時間を過ごした。ある種ぼくはリトルクレイジージャーニーなのである。
書評や本の紹介の話なのに、ここまで表紙と著者名にしか触れず、極めて私的な、ぼくの話を中心にしている。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。だが、当然これにも訳があって、単なるエンタメではないことは断っておきたい。若干ユーモアは含めども、シンプルに、この一点を伝えたいが為の伏線に過ぎない。
それは、

本書は「写真集たるアート性を含みながら、それを凌駕して、今までに無い旅のカタログとして読める」

ということだ。
旅行雑誌の「るるぶ」や「まっぷる」は、極めて集約的且つ効率的に、多くの人が楽しめるスポットを紹介しているに違いない。だが、あなたが満足いく旅を保証してくれる雑誌はどこにもない。旅の目的は様々だが、コト消費に偏る今だからこそ、旅の目的は自分で決めて欲しいし、明確にならずとも、せめて考えたり輪郭をくっきりさせる努力はして欲しいと考えている。
ある意味でぼくを知っている方は「おすすめの場所はどこか?」と聞くこと多い。本当によく聞かれる。面倒な時は適当に答える。なぜなら「愚問」だからである。知人各位にはお茶菓子と共に謝罪に行くとして、なぜこれが愚問なのか。それは、旅の目的は千差万別だし、目的の上に趣向性や同行者、シーズンなどの諸条件が乗っかって初めて「おすすめ」できるのである。
「東京でおすすめのスポットは?」についても同じである。まずはるるぶを買うか、はとバスのパンフレットを見ればいいのだ。わざわざググれば載っていることをぼくに聞く意図が無いならば、もう少し具体的な聞き方をすべきだし、こちらも答え方にも困る。
そして、改めて記載したい。ぼくは「奇界遺産」は良い旅先を提案してくれる本であると思っている。
コロナ渦においては海外に行きにくくなってしまったが、実は国内にもこうした不思議なスポットや変わった地域がたくさんある。少し調べれば目から鱗の地域があるだろう。
異文化に触れたり、知らない景色を見たり、地元や旬の味や知らない人や言葉に出会う。そして買い物をして遊んで、リラックスして、宿泊や移動を伴って、帰る。娯楽を主にした旅行は概ねこんなところだ。この中で一つでも「これをしたいから旅にいく」と決めることができれば、或いはその目的があれば旅は素直に充実するだろう。そして、先述のような質問する人の大抵の旅には、そのパッションがない。目的がない旅をすると、結果もそれなりの旅になる。
これは極めて私見であり言い過ぎかもしれないが、人生も同じだと考えている。

いきなり本書の掲載箇所を尋ねるには敷居が高いスポットもあるが、いつか冒険してみたい、と思うことは誰も咎めないだろう。読書とはそういうものだ、と思う。
ぼくのベトナムの旅は極めてベタなスポットも含みつつ、自分なりにアレンジして、自分ではかなり満足のいくものになった。本書だけが目的ではないし、自分なりに見つけたおかしなスポットや楽しい場所、美味しい食事・不思議な食品にもたくさん出会った。数ある目的地の一つではあったが、本書がぼくの旅の充実度をグッと引き上げたことには間違いがない。

Amazonのページには、いくつか他にもページが載っている。
値は少し張るが、きっとあなたに新しい旅の価値観を与え、好奇心をくすぐる一冊となる、と思う。

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