将来予測!!アジア新興国の医療ヘルスケア業界予測(ヘルステック・スタートアップ動向等)
こんにちは!
メプラジャパンCEOの佐藤創(さとうはじめ)です。
note 30日連続更新も、今日で最終日!!
30日というのは予想の数倍ハードでしたが、無事に最後まで更新できて良かったです。30日連続更新についての振り返りなどはまた別記事にて書いてみたいと思います。
今日のテーマは「アジア新興国・医療ヘルスケア業界の将来予測」です!
これからのヘルスケア業界がどのように変化していくか。
近年のアジア各国での動向や推計データ、それにちょっとした妄想も加えてまとめてみたいと思います!!
アジア新興国におとずれる大きな変化
すでにニュースやメディアなどでご存知かと思いますが、アジア新興国では高度経済成長が進み、急速な発展を遂げています。それを支える主要なドライバーには次のようなものがあります。
▷人口の増加
アジア新興国では人口増加がしばらく続いていきます。2030年頃にはインドが中国を追い抜き、2050年時点ではインド16.6億人、中国 13.6億人、ASEAN 8億人ほどの人口規模になると予測されています。その頃には日本の人口は1億人を下回っています。
(人口予測)
▷ 経済成長と中間層の台頭
高度経済成長によって所得が向上し、各国で中間層が増えていきます。それと同時に富裕層も大幅に増加し、現在5,700万人の富裕層が2030年までに1億3,600万人になるという予測も出されています。これら中間層・富裕層が消費を牽引し、生活スタイルも多様化していきます。
(BCG「Beyond the “Crazy Rich”: The Mass Affluent of Southeast Asia」)
医療・ヘルスケア分野における大きな変化
▷急速な高齢化
少子高齢化も急速に進展し、高齢化に要する年数は日本と比較しても大幅に短くなっています。特に中国、シンガポール、タイでの高齢化は深刻になり、2040年までに現在の日本と同程度の高齢化率(約26%)に達する見込みです。
(内閣府HP 「高齢化の状況」)
▷疾病の高度化
消費・ライフスタイルの変化によって、生活習慣病が増加しています。健康や栄養に関する知識などが元々少ない中で急激な生活習慣の変化が起きており、肥満なども急増しています。特に糖尿病患者がさらに増加していきます。
(糖尿病ネットワーク 記事)
なお、ここに紹介したドライバーは主要なものの一部で、これらに加えて経済的な変化、テクノロジーの変化などのドライバーもあります。
これからの新たな医療システム
アジア新興国に限った話ではありませんが、これからの医療の向かう先には大きく 3つの方向性があると考えています。(あくまでも私の考えであり、ちょっと極端にお話します。)
これまでの医療システム、つまり「病院・クリニックなどの医療機関で、医療者が、医療機器や医薬品を使用して治療にあたる」ことを「重厚長大型の医療システム」と定義します。
このシステムにおいては、より多くの人に医療を提供しようとすれば、比例してコストが増加します。新たに施設、人材、モノ、が必要になります。しかし医療財源には限りがあり、自費負担が増えることでその医療を受けることができる層も限定されてしまいます。
一方で、これからの医療システムにおいては医療は「ソフトウェア化」していきます。極論でいうと「オンラインで、AI ドクターが、スマホで測定した血圧などのデータとカメラ画像などを使って診断し、アプリを処方して治療する」ということが可能になります。この場合、患者の人数が増えても追加のコストは発生しません(限界費用が限りなくゼロに近い状態)。そのため、対象者の所得・ニーズに合わせて値段・サービス内容等を柔軟に変えて治療することができます。
これはインターネットサービス全般に共通することですが、医療では法規制などの障壁がありつつも、この方向に向かってきていると思います。
また、これまでの医療では「一般化」された効果的な治療法が適用されていたのが、より細かく、個人の体質・ライフスタイル・ニーズなどにあった「個別化」された医療が提供されるようになります。
一方で、今までは「病院」「クリニック」「在宅医療」などの医療機関軸(言葉が適切かわかりませんが)での医療提供体制構築が行われていたのが、これからは機能軸/ニーズ軸での「分業・統合」が進んでいきます。
いま病院の中で提供されている機能が細分化され、それぞれが病院から切り出されて、独立した専門施設になったり、オンライン上で提供されたりするようになります。病院としては外科手術・ICUや専門性の高い疾患の治療に集中し、それ以外の業務は病院の外(=社会の中)で提供されるようになっていきます。そしてそのような分業化された機能が、情報システム、もしくはオンライン医療プラットフォーマーなどによって統合されていきます。
そして、ここに述べたような大きな変化は、日本よりも先にアジア新興国で実現します。アジアの中でも、中国、インド、東南アジアと来て、日本で最後に実現される可能性が高いのではないでしょうか。
将来予測!!
それでは、これらの方向性を踏まえて、アジア新興国のヘルスケア業界がどう変化していくか、将来予測(+妄想)していきます。
なお、時間軸はあえてバラバラに記載しており、すぐ起きるかもしれないもの、3年後、5年後、などが混在しています。
▷オンライン医療の常態化
遠隔診療で医師に相談したり、薬をデリバリーしてもらうことが一般的になる。法制度もスタートアップを含んだ官民協働で整備されていく。
病院とオンラインの共存(Merge)が当たり前になる。初期は大手病院グループ主導で進み、そこで蓄積されたデータやエビデンスをもとに他医療機関まで普及していく。また大手病院グループはさらに規模・シェアを拡大する。
オンライン医療企業が独自の保険を開発・提供し、早期介入による医療費削減インセンティブを強化する。公的医療財源でカバーできない範囲を民間が補うようになる。
プライマリ・ケア中心に急速にオンライン化していくが、高度な治療(外科手術・がん等)、介護、リハビリなどは新興国のみでの解決が難しく、日本など先進国が展開できる可能性がある。
▷スタートアップ投資環境の変化
オンライン医療企業によるヘルステックスタートアップのM&A が増える。また、オフライン事業(医療機関・薬局など)の買収も加速しプラットフォームに統合されていく。
投資額はまだ増え続ける。欧米からの投資家もさらに増える。製薬・医療機器メーカーに加えて保険会社も投資にさらに積極的になり、また非医療系の企業や投資家による医療ヘルスケア分野への投資も増える。
中国とインドから東南アジア展開するヘルステック・スタートアップがさらに増える。また、中国 BATJ など大手テック企業の展開も加速。
日本より先にインド・東南アジアでヘルステック・ユニコーンが誕生。
グローバル市場を当然条件としてアジアで創業する日本人が増える!(願い)
以上です!
こんな記事を書いていると、「日本はもうダメだ!」と言っているように思う方もいるかもしれませんが、私がお伝えしたいのはそうではありません。以前の記事でも書きましたが、日本国内の医療をさらに良くしていくためにも、海外にも目を向けもっと医療も開国していくべきだと考えています。
私の書いている note などを通じて、興味をもっていただける方が少しでも増えていけばと切に願っています!
30日連続更新はここまでです。
今後は、もっと深堀りした記事もいろいろ書いていこうと思います。(毎日更新だと時間も限られていたので、書きたくても書けなかった内容もありましたので。。)
読んでいただきありがとうございました!
それではまた次回!!!
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