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読書録

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2020年5月の記事一覧

読書録 6冊目

読書録 6冊目

「塩の街」
有川浩    角川文庫

有川浩のデビュー作にして最高傑作

ある日突然、人も、待ちも全てが塩に変わっていってしまう世界。
なぜ塩化してしまうのか、どうすればこの状況を止めることができるのか。

人々が諦めと絶望しか感じなくなるなか、秋庭は大切な人のために立ち上がる。

最後はきっと、誰かを思う気持ちが強くしてくれるんだなと感じる作品。
ラブストーリーというわくに収まらない、人間の物語

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読書録 5冊目

読書録 5冊目

「海の底」
有川浩     角川文庫

海上自衛隊基地と米軍の基地が一緒にある横須賀に、巨大な赤い甲殻類が海から上がってきた。
そいつらはなんと、人間を食べている!!
なんとも現実離れしているように聞こえるこの設定でも、有川浩の手にかかれば、現実味を帯びてしまうのだから恐ろしい。

赤い甲殻類の正体は?
人間はこの生物に勝つことができるのか?
ハラハラドキドキするなかに、人間の感情が丁寧に描かれて

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読書録 4冊目

読書録 4冊目

「空の中」 
有川浩      角川文庫

高度2万メートルに住んでいた未確認生物と、人間が出会ってしまうことから始まるこの物語。

生きているもの同士が共存していくための過程は、長く険しく、そして切ない!!
でもだからこそ、生きている、生きていられることへの暖かさを感じる。

軽い語り口や、SF要素のなかに描かれる人間模様に、思わず涙がチョチョぎれる💧 
そんな作品。

塩の街・海の底と並ぶ、

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読書録 3冊目

読書録 3冊目

ラブソファに、ひとり
石田衣良   角川文庫

男と女は何をもって相手を好きになるのか。
好きになるとはどういうことなのか。

大人になればなるほどわからなくなる。
だって、うまくいくと確信していた恋さえ、儚く散っていくことを知ってしまうから。
そしてその寂しさや虚しさを怖いと感じてしまうから。

でも、やっぱり恋って幸福だ。

大人に送る恋の応援本

読書録 2冊目

読書録 2冊目

海と毒薬
遠藤周作   角川文庫

戦争中に実際に行われていた、生きたままの人間を使った人体実験。
そこに参加した医師や看護婦の苦悩を綴った作品。

なにをかくそう、私の曾祖父も七三一部隊でペスト菌の実験を行っていた一人。
最後は自らもペスト菌に侵され、満州で亡くなった。
その会ったこともない曾祖父を思うと、怖くて読めなかった。
しかし今回、意を決して読んでみた。

戦争という混乱や恐怖が、人にも

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