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自衛隊への入隊を控えた子供を持つ親御さんに伝えたい元自衛官の本音

自衛官採用試験の合格、おめでとうございます。

ご両親としてはお子さんの就職が決まって、一安心といったところでしょうね。

入隊式には参加されるのですか?

お子さんも合格通知をもらって、きっと安心していることでしょう。

入隊後は入隊区分や入隊時の最終学歴によっても変わってくるのですが、自衛官(2士)として採用されれば初任給が「166,500円」を頂くことができます。

高校新卒でしたら、月額166,500円という給料は「けっこう良い」額になるのではないでしょうか。

さらにボーナスが4.5ヶ月分って驚異的ですよね。(笑)

もし定年まで勤め上げることができれば、生涯年収が定年退職金を含めて2億円弱ぐらいでしょうかね。(昇任の早さ、職種や勤務地などによって変わります。)

また、自衛隊は国家公務員ですから福利厚生も充実していて、高い利率の預金の仕組みや車などを購入する際の低金利ローンなど、レージャーに使える格安な施設など「至れり尽くせりの職場」です。

親としては「せっかく自衛隊に入れたのだから、長く努めて欲しい」というのが本音ですよね。

ですが、親御さんやこれから入隊する本人に、是非知っておいて欲しいのが現実があります。

自衛隊内は競争社会だということです。

入隊したら必ず定年まで勤務できるかというと、残念なことに全くそんなことはありません。

自衛官の定員が陸海空の3自衛隊をあわせて約24万7千人、毎年の採用が約1万3千人、入隊から定年までの期間を平均35年とすると、ざっと約46%の隊員が任期満了もしくは自己都合の依願退職をしていく計算になります。

自衛官候補生や曹候補生として採用された隊員の方が幹部候補生や航空学生として採用された隊員よりもモチベーション的には低いことが多いと思います。

そうなると、自衛官候補生や曹候補生の退職率は46%よりも当然高くなっていきます。

私の感覚では自衛官候補生や曹候補生は7割ぐらいが退職していきます。

せっかく、入隊しても7割も退職するなんて、私としても隊員の親御さんとしても悲しいだと思います。

実は私の親も、私の入隊前には「自衛隊に入ったら一生安泰」といったことを考えていて、隊内に競争があるなんて微塵も考えていなかったそうです。

自衛隊は国の行政機関の一つで、自衛官は国家公務員ですので当然と言えば当然ですよね。

「昇任」「昇級」「勤務地」「教育隊で決められる職種」「再就職先」など全てが競争です。

特に「士」として採用される自衛官候補生や曹候補生たちの競争は熾烈です。

競争に勝てなければ淘汰されて、3曹へ昇任できない「士(陸士、海士、空士)」の隊員は、継続任用されずに退職(自衛官候補生)という流れになってしまいます。

私も競争に負けて、せっかく入隊した自衛隊を去って行く若者を何十人も見送ってきました。

また、曹に昇任できたとしても、昇任が人並みより遅いことが原因で退職していく子もたくさんいます。

繰り返し言いますと、自衛隊は階級社会なのです

同僚間であっても「入隊は先輩だけど、階級は下」なんていうパターンは、自衛隊に限らずによくあることです。

優秀な後輩達からの「突き上げ」に耐えきれなくなって、退職していくのです。

おそらく、担当の広報官は、こういった厳しい現実があることをご両親に話していませんよね?

彼らには入隊者を確保するノルマが課せられていますから...

近年は、私のように定年退官する隊員の数が多く、その分は新規入隊者を確保しなければいけません。

世間の景気が良くなると、自衛隊への入隊希望者は減っていきます。

彼らはノルマを達成するために、「給料が高い」「昇任はすぐできる」「退職する際も良い仕事を斡旋する」「自衛隊に入れば資格が沢山とれる」と良いことばかりを話しているのではないでしょうかね。

私に言わせれると、4分の1は本当で残りは嘘に聞こえます。

私も35年間勤務して、確かに自衛隊は温かくて良い職場だと思います。

自衛官としての人生が、100点満点とまでは言いませんが、70点以上の人生であった(まだ人生は続きますが...(笑))と私は自負しています。

ですが、それは競争に勝ち残れればの話です。

ある日突然、お子さんから「自衛隊を辞めたい」と連絡がきたらどうしますか?

この記事を読んでいる人の8割ぐらいには、近いうちに「その瞬間」がやってくることでしょう。

そうなると「何があったの?」と理由を聞くことはできても、自衛隊の実情が分からなければ、適切に相談に乗ることやアドバイス、退職を思いとどまるように説得をすることはできません

これから自衛隊に入隊するお子さんの「心のケアー」をするために、親御さんは自衛隊の実情を詳しく知っておく必要があると思います。

おそらく、一度「辞めたい」と言い出してしまったら、本人の精神衛生を考えると両親は「分かった。辞めて帰ってこい」としか言えないでしょう。(希に「絶対に辞めるな」という鬼のような親御さんも過去にいました。(この後の記事中に、このエピソードについては詳しく書いてあります。))

お子さんに自衛隊で長く努めて欲しいのでいたら、「辞めたい」と言い出す前に親御さんからの心のケアーをして頂きたいのです。

もちろん自衛隊では上司が心のケアーをしてくれています。

ですが、上司のケアーだけでは十分ではありません。

上司任せにしておくと、7割が退職していくのですからね。

家族からのケアーがあることで、隊員は壁を乗り越えていける可能性が高くなるのです。

「絶対に退職しない」とは言い切れませんが、家族からのケアーが「あるか」「無いか」で退職する可能性は確実に減ると確信しています。

この記事は、自衛隊への入隊を控えたお子さんを持つ親御さんに向けて...

「お子さんのケアーができるように知っておいて欲しい自衛隊の実情」

「自衛隊内での競争に勝ち残るために、お子さんに親御さんから言い聞かせて欲しいこと」

について書いています。

文字数は約1万8千文字(作文用紙45枚)もありますので、読み終わるのに少し時間がかかるかもしれません。

その分、自衛隊での勤務経験がない親御さんでも分かりやすいように、自衛隊の良いところも悪いところもエピソード話を交えて、正直に詳しく書いています。(秘密に該当する事項は書いていません。)

この記事を読むことで、自衛隊の実情を知っていただいて、お子さんにも内容を理解させることができれば、退職することなく自衛隊という競争社会で勝ち残ることができるでしょう。

これから入隊する本人も、これから老後を迎える親御さんも、「親方、日の丸」のもとで「安泰」といえる生活を送ることが可能となります。

記事の続きを読む前のご注意①

この記事は1万8千文字で完成ではありません。

さらに私が思いついたこと、読者様からの要望などで、今後も項目を追記していきます。(この後も2万文字でも3万文字でも、お役に立てる情報を書き続けていきます。)

また、私はプロの作家ではありません。

文章構成や誤字などについて十分に注意していますが、もしそういった部分がありましたらご容赦ください。(逐次、修正していきます。)

記事の続きを読む前のご注意②

この記事を書くにあたり、私は35年もお世話になった自衛隊に背くようなネガティブワードをたくさん使っています。(要するに自衛隊の悪口です。)

そのようなことは記事として公開するべきではなく、棺桶に入れてあの世まで持っていくべきだと本心では思っています。

ですが、この記事を一本書いて読んでもらうことで、人生が変わり幸せになれる人達が大勢いるとも思っています。

読者の方やこれから夢と希望を抱いて自衛隊に入隊していく子達のために、身バレ(身元がばれること)覚悟で記事を書いています。

ここより先の記事は公開ではなく、本当にこの記事を読むことが必要だと読者様に制限させていただきます。

H2:自衛隊を就職先として考えてみたこと

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