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久々の衝撃恋愛本

2007年5月10日に投稿したブログより。

結構衝撃的でしたし、いろんな意味で面白い小説でした。

以前に初めて読んだこの作家の本、蕎麦屋の恋は結構あっさりめのオーソドックスな恋愛モノっていうイメージだったので、その同じ人が描いた長編という捉え方で入ったら、いやビックリ。

衝撃の度合いからしたら、を読んだ時みたいな感じ、って言ったら分かる人には分かるのでしょうか。あくまでも感じですけどね、感じ。

恋愛モノとはいえ、小学生の生活から大人になるまでが描かれます。主人公と呼んでいいのか分からないけども、周囲とは少し一線を画している女の子が一応のメインかな。

語られる視点はコロコロ変わります。男子になったり女子になったり、先生であったり生徒であったり。

で、それだけだと単なる群集劇なんですが、一番びっくりする要素は、もう一つの視点があること。

普通の小説だと、視点を一度そのキャラクターに置いてしまえば、当然物事の見方や考え方は、そのキャラクターの年相応に見合った形で描かれるはず。ところが、この小説ではそれと同時に、小学生はこんな比喩で表現したり、そんなに深遠な思考回路はないだろうという描写をしまくります。

特にそれが、主人公たちが幼い時だと、文中表現とセリフに物凄くギャップが生じて、これが結構読んでいて気になりました。

ところが読み進めていくと、何か違うんですね。別に主人公たちが、深遠な考えをもってコトに当たっているのではなく、誰か全然別の人、言うなればもっともっと高みから見下ろすようにしてシニカルに、そして時にはユーモラスに俯瞰している第三者がいることが分かります。とはいえ、別にこれが誰ってわけではないんですが・・・。

ただ、主人公たちが大きくなってくるにつれて、言動と説明表現のギャップが埋まってくるため、本来の物語に集中できるようになっていきます。

そうなると、あら不思議。気になっていたはずなのに、いつのまにかのめり込んでるんですねー。

最後には深夜まで読み耽っていました。

結果としては面白かったです。

男女の恋愛観を物凄く上手にえぐり抜いた作品。

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