雨と人間

朝の雨が心地よい日と煩わしく感じる日。
遠くの景色が霞んで「こっちにおいで」と艶かしく誘われているように感じる日と、「こっちに来るな」と大きな壁で拒絶されているように感じる日。
電車に乗ってしまえばその景色は消えて、車内に流れるあたたかい空気の中で眠気に抗えずに、雨のことが頭からスーッと消える。
たまに車窓に弾ける雨粒が目に止まり、また頭の中で降りはじめて、通り雨のようにまた消える。
やさしく撫でるように降る雨、扉を叩きつけるように降る雨、景色になじみ存在を消しながら降る雨。
どことなく人間っぽい。逆か。

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