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14年にわたり10,000人以上の陸軍士官候補生を調査してわかった!良いモチベーション。悪いモチベーション。

【参考文献】Multiple types of motives don't multiply the motivation of West Point cadets

何か物事をやり遂げようとするとき、必ずモチベーションは必要になるますよね。

やる気がない時にもモチベーションにより、体が動き、物事に手を付け、進めることができます。

何か1つのことをやり遂げるにあたってモチベーションは重要だから、「どんなモチベーションでもたくさん持っている方が良い!」。

そうお思いではないでしょうか。

実は、モチベーションには種類があり、「良いモチベーション」「悪いモチベーション」の2つに分けられます。物事の達成率を上げるには、悪いモチベーションは切り捨てなければなりません。

アメリカのウエストポイントにある陸軍士官学校では、候補生たちが士官となるために、日々厳しい訓練と教育を受けています。14年にわたり、10,000人以上のその士官候補生を対象に、「良いモチベーション」と「悪いモチベーション」の違いにより「達成率」「離脱率」「昇進スピード」に影響するかが調べられました。

本記事では、「良いモチベーション」「悪いモチベーション」の違いとは何か士官候補生の「達成率」「離脱率」「昇進スピード」にどのような影響があったのかを解説していきます。

良いモチベーションと悪いモチベーションの違いは、ずばり次の違いがあります。

良いモチベーション→内的モチベーション
悪いモチベーション→道具的モチベーション(外的モチベーションとも言います)

内的モチベーションとは、

自分の内側から湧き出るモチベーションのことで、外からもたらされる物質的なものから独立しています。

例えば、科学者であれば「何かを発見したい」、画家であれば「素晴らしい絵を完成させたい」、庭師であれば「豊かな庭を育てたい」、医者であれば「目の前の患者を救いたい」というような本質的なモチベーションのことです。

科学者が何かを発見するには、科学研究を実際に行わなければ発見にはつながりません。内的モチベーションは常に本質的行動に結びついています。

一方で、道具的モチベーションとは、

外部の道具的価値からもたらされるモチベーションのことです。

例えば、「良い給料を稼ぎたい」「昇進したい」「賞を獲得したい」というような、それぞれの仕事・行動に付属する価値の方を求めるモチベーションのことを指します。これらのモチベーションは本質的行動に注意が向いていません。

実際に道具的モチベーション委より、やる気、持続性、およびパフォーマンスの低下につながる可能性があることが以前の研究からも示唆されています[文献1]。

さらに、研究室を出て、ウエストポイント陸軍士官学校において、14年にわたり、10,000人以上を対象にした大規模な調査が行われました[文献4]。「内的モチベーション」と「道具的モチベーション」の違いにより「達成率」「離脱率」「昇進スピード」に影響するかが調べられました。

1997年から2006年のクラスから11,320人の士官候補生から抽出されたデータが分析されました。初年度に、候補生が士官学校に出席するモチベーションを調べられました。その後、実際に任命された士官になり、卒業後に必要な必須の5年間の任期を超えて軍の将校であり続け、早期の昇進対象として選ばれる可能性に与える影響を評価しました。

その結果、

「良い仕事・給料が得られるから」というような道具的モチベーションが強かった候補生と比較して、
「士官になりたいから」というような内的モチベーションが強かった候補生において、
・達成率:実際に任命された士官になる率→上昇
・離脱率:卒後の5年間の義務奉仕期間の離脱率→低下
・昇進スピード:早期昇進の対象となる率→上昇

することがわかりました。

また、上記3点の中で、内的モチベーションが高い場合、「昇進」についての意識自体は低いにも関わらず、昇進スピードに特に大きな影響を及ぼすことがわかりました。

以上より、

「道具的なモチベーション」を持つことにより、逆に、「お金を稼ぐ」や「地位が手に入る」というような期待する結果の妨げになる可能性があります。
一方、「内的なモチベーション」を持つことにより、まず本質的な物事の達成に繋がり、結果として道具的な価値もついてくることがわかります。

私は学生時代、多くの英語論文を読むために、英語の勉強をしていました。その際に、TOEICの勉強も取り入れました。TOEICはスコアが出るので就活に有利になるかもという浅はかな考えもありました。2か月間必死にTOEICの勉強をすることで、890点を取ることができました。

しかし、肝心の英語論文を早く読めるようになったかというと、英語論文の理解力および速度においてほとんど向上していませんでした。ちなみに、就活にもあまり役立てませんでした。

そいった道具的な要因(TOEICのスコア)に目を向けている間に、本質的な行動に使う時間が削られていたことに気づきました。TOEICの勉強をせずにもっとたくさんの英語論文を読んでいれば、より多くの新しい知識を手に入れられただろうし、結果としてより実用的な英語力も身に付いたと思います。

今では、新しい知識たくさん調べて生活に役立てたいという内的モチベーションを基にたくさんの論文を読むようになりました。また、より知識を定着させるためにアウトプットの場として、noteなどのSNSも活用しています。

本質に目を向けることにより、実際にたくさんの知識を身に付けることができ、また、結果的にその情報を共有することでみなさんからも好評を頂くこともあります。論文を読むスピードも上がってきました。

そして何より、楽しく没頭することができています。

みなさんは、仕事において「給料」「昇進」、勉強において「点数」、SNSにおいて「いいね」「フォロワー」ばかり気になっていませんか。

そのような道具的なモチベーションばかりで動いていては長続きはしません。また、実際にそれらの結果も遠のきます。

あなたが本当に求めているものは何でしょうか。これからは、内的なモチベーションに目を向けてより本質に繋がる行動してみてはいかがでしょうか。

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