身銭を削って人を助けることはあなたを幸せにするのか?最新研究が明かす注意点。
【参考文献】Delayed negative effects of prosocial spending on happiness
みなさんは寄付やボランティア、慈善活動など社会のためになるような活動をされていますでしょうか。
「献身的な活動をする人って、かっこいい!」そのように思われる方も多いのではないでしょうか。
寄付やボランティアにより「献身的に」「社会のために」活動することで多くの人を救えるし、また、助けた本人自身も幸せになれる。まさにWin-Winの関係になります!寄付やボランティは逆にやらないと損に思えませんか?
実際に、寄付やボランティアをすることにより、幸せに正の相関があるという報告も多数あります[文献1、2、3]。
でもちょっと待ってください。寄付やボランティアなどにより、みんなが幸せになるのであれば、世界中のすべての人が寄付やボランティアに参加しててもおかしくないですよね。実際に自分の周りを見てみるとボランティアや寄付に積極的に参加している人ってそこまで多くないですよね?
では、本題です。
寄付やボランティア等の社会的活動は、「身銭を削ってまで」やるべきなのでしょうか。本当にあなたを幸せにしてくれるのでしょうか。
実は、身銭を削って人助けをすることは、短期的には幸せを感じるかもしれませんが、長期的には逆に不幸を感じる可能性があるのです。
ドイツのボン大学において、最近、次のような実験が行われました[文献4]。
1)学生に、350ユーロ(約4万5000円)の寄付を募り、325名の学生が対象となりました。
2)次に学生にいずれかのクジを選んでもらいました。
利他的なクジ:60%の確率で1人の命が助かったと聞かされる or 40%の確率で100ユーロキャッシュバックされる
利己的なクジ:40%の確率で1人の命が助かったと聞かされる or 60%の確率で100ユーロキャッシュバックされる
3)「クジの結果を聞いた直後(短期)」と「1カ月後(長期)」に各学生の幸福度が測定されました。
すると次のような結果が得られました。
【結果】
1)利他的なクジを選んだ学生においてのみ、「1人の命を救った」と聞かされた直後に幸福度が上がった。
2)利己的なクジを選んだ学生は「1人の命を救った」と聞かされても幸福度が上がらなかった。
3)1ヶ月後、「1人の命を救った」と聞かされた被験者の幸福度は、いずれも、「100ユーロのキャッシュバック」を得た被験者と比較して低かった。
以上より、身銭を削って人助けをすることは、短期的には幸せを感じるかもしれませんが、逆に、長期的には不幸を感じる可能性があります。
著者らは、この結果の考察として、ポジティブな感情は早く忘れやすく、ネガティブな感情は長期に残りやすい性質をもっているためと言及しています。
一方、本記事の前半でも紹介したように、「寄付やボランティア」と「幸福度」に正の相関があるという報告はあります[文献1、2、3]。
こういった研究は、寄付やボランティアの「短期の側面」に着目しているための結果と考えられます。
寄付やボランティアが「長期的に見るとあなたを不幸にする」側面もあることを心に停めておいて損はないかと思います。
なお、個人的には寄付やボランティア自体を否定しているわけではありません。今回の実験は学生を対象に約45000円が対象額です。学生にとっての45000円というと結構な大金ですよね。
これをあなたにも当てはめて、もし、寄付やボランティアをする際は、自分の身を削りすぎない程度の額や時間を使うのが良いのではなでいしょうか。余裕がない状態で、必要以上に寄付やボランティアをすると、長期的に不幸になる可能性はかなり高いと言えます。
まずは、あなたが幸せになって、そしてお金に余裕があるときに、やっと「寄付をする」。
または、単純にお金を与えるという考えかたではなく、「あなたの知識や経験を無償で提供する」といった身を削らない形で寄付やボランティアをする。
それらがまさしくWin-Winの関係なのではないでしょうか。
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