見出し画像

【旅レポ】 "ワクワクする心"は、世界一だ。

 2021年1月1日。男4人での冬キャンプ。場所は群馬県にある【グリーンパークふきわれ】へと行ったので、その事を書いていきます。

 後になって知ったのだが、関東のキャンプ場で1位を取るほど人気のある場所だそうだ。
キャンプ場の広さ、スタッフの方々の優しい対応、周りの景色や近くにあるアスレチックや温泉の充実。場内ルールもしっかりとしていて、夜の遅い時間まで騒ぐ人がいない。ファミリーも安心して来れる場所でありつつ、友人たちとはしゃげる場所でもあるのだ。

 今回、僕らはテントを張らずに泊まれるアメリカントレーラーハウスを借りることにした。(僕の車のサイズの関係上、4人が寝れるテントが積めなかった。)

・・・

 2021年1月1日。AM5:30。
まだ薄暗い時間帯に家を出て、車へと足を運ぶ。エンジンをかけ、凍った車を暖めつつ、忘れ物はないかと収納部の最終チェック。
 焚き火台、木炭、着火剤、コンロ、ヤカン、アウトドアチェア、お酒、マグカップや防寒グッズ。
 問題ないことをしっかりと確認して、30分ほど車の中でゆっくりと過ごした。思っていたより寒さを感じないのはこれから始まる男4人でのキャンプに熱があるからだろうか。

画像5

 AM6:30。
一人目の友人(Y君)を乗せ、二人目の待つ場所へと車を走らせる。狭い車内ではこんな会話が広がった。

ぼく「車を新車で買ったばかりの時に、安全運転のお守り買ったんよ」
Y君「うん」
ぼく「あれ、効かないね〜。赤信号で止まった時に、後ろから追突されたもん」
Y君「まじで?どうしたの?」
ぼく「俺より少し年下くらいの男の子が凄い勢いで謝ってくるからなーんか可哀想に思ってさ。大丈夫大丈夫って言ってたら、その男の子の乗ってる車から上下ピンクのスウェットを着た金髪の女が降りてきて、すげえ俺にガン飛ばしてくるわけよ」
Y君「うわ〜。ピンクのスウェットは高まる」
ぼく「それはわかる・・・。そんで、なんだこいつって思ったから耳打ちで"女の子はちゃんと選んだ方がいいよ・・・。"って言っといたのね」.oO(さては、こいつ話聞いてねえな?)
Y君「そしたら?」

ぼく「そしたらその後、俺が離婚した」

綺麗な鼻水がY君の鼻から噴出されたのを横目に、この話の手応えを感じた。

❇︎ ❇︎ ❇︎

 AM8:00。
二人目の友人(M君)を乗せ、最後に待つ先輩を迎えにいく。M君は皮のブーツを履いていたので、危ないなと思った。

ぼく「雪山の中、ブーツで行くの?」
M君「防寒できるのこれしかない」
ぼく「まじか・・・最初に滑りそうなのMだな」
M君「それな」
ぼく「人生滑り散らかしてるの俺だけどな」
Y君「それな」
ぼく「肯定するの酷くない?」
M君「ローションの上を歩いてるでしょ?」
ぼく「うーん、なんという人生ハードモード。たまには乾いた道を歩かせてほしい」

 元々は僕だけイージーモードだった人生も、いつの間にか逆転されてしまったようだ。今回のマラソン、駒澤大学が創価大学を抜いたように、僕も追い抜かれたのか。

❇︎ ❇︎ ❇︎

 最後に、職場の先輩(U氏)と合流した。

U氏「いやーーーー、ねみーーーーー・・・」
ぼく「いっつもそれ!それ以外のセリフをなかなか聞かないよね!」
U氏「年越し桃鉄30年オールしたけど、18年で不戦勝終わりだったわ」
ぼく「キャンプ場に着くまで、車の中で寝てて良いですよ」
U氏「いや申し訳ないから寝ないよ」

車の中に入る。

U氏「Zzz・・・」
Y君「即行おやすみアーメンしたな」

わかっていた事だが、寝るスピードはあまりに早かった。

❇︎ ❇︎ ❇︎

 9時前には全員が乗り込んだ車内。目的地の到着予定を見るとなんと12時頃には着いてしまうようだった。チェックインの時間は15時。高速で向かう最中に2回、サービスエリアにて小腹を満たしたり、タバコを吸ったりとグダグダする時間を設けて時間の調整を行なった。

 くだらない話をしたり、止まっている車やバイクを見て「かっこ良いなぁ。」と目線を送ったり、年明け以外に出掛ける雰囲気と全く変わらないいつもの感じに、本当に1月1日なのか?とつい思ってしまう。

ぼく「いつもと変わらないねー」

 僕がそう言うと、友人たちも「確かに」と賛同した。僕だけではなく、みんなが思う事なのかと安心した。
 12月31日、1月1日。年の終わり、年の始まりの特別であろうこの2日間。歳を取れば取るほど特別感の薄れていくこの2日間。誕生日も含めたら3日間。何も予定がなくとも感じ取れていた『どんなことが待ち受けているのだろうかなんて新作のゲームを買ったときのワクワク感』は、いずこへ。

画像2

❇︎ ❇︎ ❇︎

 同日、14時半。キャンプ場に着いた僕らは早速、焚き火のセッティングを始めた。突然降り出した細かい雪が陽に当たり、キラキラと美しく光っていることをみんなで喜ぶ。子供みたいにはしゃぎながらも焚き火台に火を起こし、持ち寄ったお酒で乾杯を始めた。寒さで全く回らない酔いを良いことに、2本、3本と次々に空けていく。4人全員が寒さに耐えながら脈絡もない話に花を咲かせていると、友人から提案が上がる。

Y君「ホットサンドメーカーで飯食べよう」

何よりも美味い飯に「これ美味すぎだろ!」と、寒さで固まってしまったはずの表情筋が緩む。
宮川大輔の青空レストランで、一緒に斜め45度を上を向いて「美味い!!」と唸りたいほどの美味しさ。食べるだけで幸せを感じられるって、当たり前のことなのに、冷静に考えたらアレだ。アレ、あのー、あれね。ヤバくないだろうか。(語彙力はサービスエリアに置いてきた。)

画像1

❇︎ ❇︎ ❇︎

 焚き火台を囲んで、それぞれの会話を楽しむ。頭に浮かんだ瞬間に口から放たれる言葉たち。目に写った瞬間に口から放たれる言葉たち。僕たちのいる世界はあまりにも自由で、あまりにもファンタジーだった。

 "火"を見つめていると、人の心は安らぐ。そこにお酒を注入することによって、人はどうなるかわかるだろうか。シチュエーションはバッチリ。女子トークならぬ、男子トークが始まる。

 U氏はこの手の話が大好きで、人の恋愛価値観を聞きたがる。僕は基本何でもウェルカムなので、聞かれたことは包み隠さず話す。Y君も同じだ。M君に関しては【照れり】が発動してしまうが故に、なかなか話してくれない。だからこそ「火」「酒」「外」「キャンプ」と条件を揃えた。
 するといとも簡単に漏れる漏れる、漏れすぎるM君の話に、誰しもが笑わずにはいられなかった。

 人の秘密を聞きたい時は、オススメの組み合わせだ。

画像4

❇︎ ❇︎ ❇︎

 22:00。
宿泊するトレーラーハウスへと全員が入る。中は暖房が効いていてなかなかに暖かい。大きな3人用ベッドに、ソファーベッド、2段ベッドと寝る場所を選びたい放題だった。

 ここはやはり年功序列的に先輩は一番広いベッドに行ってもらい、僕はソファーベッドへ。友人2人は2段ベッドと、寝る場所だけ決めて酒盛りの続きを始めた。

U氏「Y君と、M君の女の好みはわかったけどさー。ふわりくんだけ不明だよね」
ぼく「え?なにが?」
U氏「だってさー、女優さんの名前出しても、"可愛い"だけで付き合いたくないって言うじゃん」
ぼく「だって、女優って大体メンヘラでしょ?自分のことを周りに見てもらいたいとか思ってるの怖いもん」(偏見)
U氏「wwwww」
ぼく「というか見た目は可愛いより、ちょっと可愛くない方が人間味あって好き。ただし中身は大事で、構ってちゃんとか自分を押し付けてくるしつこい人は無理。自覚があるなら尚更。俺は素直に逃げますね、面倒臭いの嫌いだから。俺の人生に介入させない。即ブロ」
U氏「あー・・・。ごめん、もう色々知りすぎてるから何も言えないわ・・・」
ぼく「おいまて、この空気は望んでいないぞ!?」

M君「ふわり、強く生きろよ・・・」
Y君「俺の口つけたピーナッツで良ければあげるよ」

 おかしいな。結局、僕の話じゃないか。と、外にタバコを吸いに行く。暖房に直撃していたことと、お酒を飲んで体が温まっていたこと、超極暖ヒートテックを着ていたことの3つが重なり『人間ホッカイロ』に成り上がった僕は、上着も着ずに出た外で、ゆらゆらあがるタバコの煙を見つめていた。(僕、タバコの描写書くの好きだな。)

おいおい、なんだこのエモい景色は。
凄い良い感じじゃないか。
というより、なんなんだこの気持ちは。
凄い良い感じじゃないか。

 ワクワクなんてものは何も感じなくなって何年経っただろうか。毎年、足音も立てずに近づいて来る1月1日。

 今年はすごくワクワクしていたのだと気が付いた。いや、ずっと気付いていた。今になって心に刺さってきたのだ。
 消えようと火の弱くなる焚き火台を見つめて、今日は楽しい日だったと、灯りの付いたトレーラーハウスへと戻る。

画像5

 中では、もう3人は寝ている。(・・・いやいや早くない?)
優しい3人の、優しい寝息をヒーリングミュージックに、僕も眠りについた。

2日目へ続く。

1|




我が家のにゃんこへ献上いたします。