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(35)一生食える普遍的スキルが身につく新規事業の実践論

【WILLは後天的に作り出すことができる。】

そもそもWILLとは未来形を表す助動詞であり「意志」を表す名詞でもあり「決意する」を意味する動詞です。

『WILLの定義』
Q1誰の、Q2どんな課題を、Q3なぜあなたが=解決するのか?

『WILLの形成プロセス』
横軸がQ1とQ2への回答となる「取り組む領域の明確さ」。
横軸がQ3への回答となる「使命感・圧倒的当事者意識」の強さ。
多くのサラリーマンが左下の「取り組む領域も決まってないしたいして強い意志もない」という状態です。
WILLの形成とは右上へも「状態を移行させるプロセス」
右上に行くために必要な要素は『原体験化』
左下から右上に移っていきある瞬間に原体験化の壁を越え右上に入るというプロセスは「コップから水があふれる」現象に近いと作者は言う。

原体験化につながる行動①
ゲンバに触れ深く対話する
ゲンバとは「課題の根深い現場」。
原体験化につながる行動②
ホンバを訪れ、刺激を受ける
ホンバとは「新規事業開発の最前線」
ゲンバとホンバ、この2つを往復することが原体験化へと導いてくれる。

【すべての創業チームに必要な3つの力】

①ネットワークする力
自分とは異なる異分野・異業種の人たちとゼロから人間関係を構築する力

②Execution(実行し、やりきる力)
どれだけ大きなビジョンを語り魅力的な事業アイディアを生み出せたとしても、それを形にする過程は「あらゆる細かな作業」と「局地戦での勝利」の積み上げにほかなりません。
大量の書類を作り、大量の日程調整、大量の会議を行い、大量のメールよやりとりをする。
局地的な交渉で勝利を積み重ね時に起こるクレームを適切に処理し続ける。それを限りある時間の中で積み上げやり切っていく。

③Knowledge(知識と教養)
新規事業開発は自分もしくは自分の組織が「これまで手がけた事のない領域」において何かを生み出す活動です。その際に重要となるのは「無知の知」つまり自分が「何を知らないのかを知る」ことができる力です。

ステージ1「エントリー期」-仮説を提示する

事業仮説を構成する4つの要素

『顧客』
・顧客は誰か
・たしかにそういう人や企業は存在するか
→ペルソナの設定も

『課題』
・課題は何か
・確かにそう言う課題はあるか
・それがどれほど根深いか
→創業リーダーは顧客の課題に対して思い込みが激しくなりがち


『ソリューション仮説』
・その顧客のその課題は
・その方法で解決できるか
・確かに解決できそつか
・代替手段はないか
→実現できるかはわからないけど確実にその課題を解決できると言うソリューション仮説を提示することが重要です。

『検証方法』
・顧客、課題、ソリューション仮説が成立するための検証方法は何か
・それが期間、予算内でできそうか

ステージ2への昇格基準
エントリー期の段階で揃えるべき事業仮説は上記の4要素「のみでよい」ということ。

ステージ2「MVP期」仮説を実証し、投資判断ができる事業計画を立案する

事業計画として成立させる
①売り方の設定と値付けを行う
②コスト構造の見積もりを行う
③時間軸を入れてシミュレーション欲しい将来的に儲かると言う計算を成り立たせる

ステージ3「シード期」実際に商売を成立させ、グロースドライバーを発見する

LTV>CAC

ステージ4「アルファ期」最初のグロースを実現する
アルファ期に注意すべきこと

①CACの悪化
②組織の疲弊・成長痛
③競合の出現

ステージ5「ベータ期」既存事業と比較が可能な最小規模まで到達する

ステージ6「EXIT期」新規事業としての枠組みを卒業する


【優秀な人ほどやってしまう間違った新規事業開発手法】


エントリー期からMVP期において重要だと考える要素
結論から言えばとにかくこのステージで重要なのは顧客起点であること。
以下の単語は一つとも出現させてはいけない。
「確認・事例・調査・会議・資料・社内・上司・先輩・競合」
新規事業開発の立ち会いに登場するべき単語はたった2つ。

「仮説」と「顧客」

「仮説を顧客に持っていき、修正する」のサイクルをひたすら回すのがエントリー期〜MVP期のチームがやるべき唯一のこと。


「誰の」「どんな課題を」「なぜあなたが」解決するのか、という3つの質問にたいする回答がWILLの、定義でした。
そう、WILLとは、顧客と顧客課題に対する使命感や当事者意識であって、その手段に対する想いではない。
例えば、うどん屋をやりたい、飲食店をやりたいというのは、顧客でも、顧客課題でもなく、「手段」に対する想いです。
人の熱意の持ち方によしあしはないので、手段に強い思い入れがあっても良いのですが、新規事業開発のプロセスでは思いのために手段が固定されてしまうと立ち上げられる確率は下がります。
手段ではなく顧客と顧客課題に対して強いWILLの範囲内で大きな仮説変更を繰り返していけると考えています。

【顧客のところに行くスキル】

①次に会うべき顧客を見つける
次の当たり先を思いつく手法としては「関係者の星座を描く」のも、有効です。



③ヒアリングによって深い情報を引き出す
重要なのが深い情報を引き出すヒアリングスキルなのですがこれは一言で言えば「仮説を押し付けないスキル」です。
つい相手を説得してしまいがち。
エントリー期からMVP期における顧客検証では、どれだけ仮説につよい思いやこだわりがあったとしてもぐっとこらえて説明しないこと。そしてできる限り、意志や気持ちではなく動かせない事実のみをヒアリングするようにしましょう。

【プライマリーカスタマー(最初の顧客)とは誰なのか】

新製品が世の中に広まっていくプロセスを解説する理論に「イノベーター理論」があります。



プライマリーカスタマー以外の全ての潜在顧客はかならず、否定的な反応を示すという事実。
MVP期に実証実験を繰り返し確かな顧客インサイトを得て事業として成立すると確信した事業プランでさえ、最初の顧客の獲得以前には、世界に存在するほぼすべて(99.9%)の営業先が否定的な反応を示し、購入してくれる事はあり得ません。
世論は驚くほどにネガティブ、もしくは無反応である。

【画期的なアイディアという病】

画期的であるほど理解できない
“なめらかに動くインターフェイスのタッチパネル式携帯電話”
そうiPhoneです。世界最高の新規事業のアイディアを表した一文であるはずです。
しかし、iPhoneがまだ新規事業だった頃は、日本の携帯電話はほぼ全てがガラケーと言われるパカパカ開くボタン式の電話でした。
そんな時代にこの日本語を聞いて、かつての経営者や企業戦士は世界最高の画期的アイディアだと評価することができたでしょうか。

世界を変えるアイディアは、世界を変える前には説明することができません。そもそも世界にまだない画期的なアイディアを説明できると思っていること自体が大きな間違いなのです。
実際にその後の世界を変える画期的なアイディアの多くは、世界を変える前にはほぼ事業内容が説明できていません。
創業期のGoogleは「世界中の情報を整理する」と言い、「検索エンジン」という見たこともないプロダクトを世界に広めました。Google以前の世界では、彼らがやっていることを見ても聞いてもその素晴らしさを正確に理解できた人はいなかったはずです。だから画期的なアイディアなんて、最初の仮説の段階で説明を求める方が間違っているのです。画期的だったとしても、いやむしろ画期的なほど、そのアイディアは理解されないはずなのですから。ただしここからが重要なのですが、その画期的アイディアが「世界を変える前」において、世界中でたった1人だけ、そのアイディアを「画期的だと正しく評価してくれる人」が存在します。それが「顧客」です。


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