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”ばたでん”で出雲大社へ[2022.4-5 サンライズGR⑦]


サンライズ号で島根県の出雲市いずもしへとやって来た。
”山陰”という言葉とは裏腹に、太陽が煌々と照り付けている。5月に入ったばかりとしては少し暑いぐらいで、汗がじんわりと出てくるのが感じられる。

せっかく出雲市まで来たのなら、ぜひ立ち寄っておきたいところがある。それは出雲大社だ。出雲市駅にいる全旅行者に立ち寄る(立ち寄った)先を質問しても、この名がかなりの確率で挙げられるのではないだろうか。それほどに人気の、そして神聖な観光地であるはずだ。

JRの改札を出てから少し歩くと、出雲大社へ通ずる鉄道である一畑いちばた電車が出るところがある。十数分の余裕をもって乗り換えられるはずだったが、サンライズ号の写真を撮りまくっていたばかりに、小走りで乗り換える羽目になってしまった。
駅員に券売機の操作を補助してもらい、あっという間にきっぷを購入する。階段を上がるとホームがあり、ちょうどベルが鳴りだした。どうやら私がその列車の最後の乗車客だったようだ。後ろからは、改札が閉じられてしまい嘆く客(となるはずだった人々)の声が聞こえた。

私が乗りこんだのを確認してから、ワンマン列車は発車した。大型連休中だったことから、満員列車のような様相を想像して、少しばかりの覚悟をしていたが、それは全くの無駄だった。さすがに座席は埋まっていたが、ちょうど後面展望ができる位置には誰一人として立っていなかったから、心の中で歓喜しつつ、景色を楽しんだ。

途中駅である川跡かわとで出雲大社へ行く列車に乗り換える。ホームに降り立ったと時を同じくして、その列車がやって来た。”ばたでん”の凄さをまざまざと見せつけられる。

10分程度で終着の出雲大社前駅へ到着した。乗客がどっと改札口へ押し寄せて、駅員が忙しく切符の確認と回収をしている。しかし、数分後には静寂な空間になっていた。

この駅の駅舎はモダンな造りになっていると言うのが一番適切であろうか。ステンドグラスがはめこまれた教会風な建築をしている。フォトジェニックであるからか、多くの人々が足早に出雲大社へ向かうのではなく、ここで立ち止まって記念撮影を楽しんでいた。

私はその光景を見つつ、出雲大社へと歩み始めたのだった。


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