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NO.2の育て方㉓自分がされたら嫌なことは他人にもしない。社長がまず変わる

社長はNO.2をはじめとする部下に対して、さまざまなことを要求します。
雇用している訳ですから、当然と言えば当然かもしれません。

ただ、自分の考え方、やり方に100%合わせろ、そのためにお前が変われと求めるばかりでは上手くいかないのも事実です。

・任せると言ったはずなのに口を挟む
・裁量の範囲が不明確なまま
・意見を述べても全否定される
・良かれと思ってしたことで逆鱗に触れる
・情報共有をしてもらえない
・自分の価値観を押し付けられる

社長とNO.2との間の日々のやり取りがこんな状態であったら、どんなに優れたNO.2であろうともウンザリするでしょう。

仕事を進めるうえでも障害が多いですし、まともな会話が成立しないのですからスピード感も遅くなりますし、成果も出しづらいです。そもそもこうした関係性の社長を本気で支えようとも思わないでしょう。

意識を変えろと言われて変われる人はほとんどいません。

誰しも他人からそんなことは言われたくないものですが、その最たる存在が社長かもしれません。

経営者という立場からすれば、本音では雇用側が従業員に気を使うなど馬鹿らしいと考える方も多いでしょう。「雇ってやってる」という意識が強い表れです。

気に入らないなら辞めてもらっても結構だが、いま辞められてしまうと仕事に支障が出てしまう、だからとりあえず時々は懐柔しておこう、こんな感じかと思います。

NO.2に仕事を任せる部分が増えたら、自分がその分、他のことに割ける時間が増える。だからNO.2が必要だし、ありがたい存在ではあると頭では理解している。

けれども、そう考えてもNO.2が仕事を進めやすいように環境を整えたり、権限移譲などはしない。結果としてあらゆる判断や決裁業務は手放すことはしないので他のことに割ける時間など増えません。

部下に作業はやらせて、大事なことだけは自分が目を光らせて全てを管理することが経営者の仕事と信じて疑わない、そういう社長がほとんどではないでしょうか。

実際やってることといえば数百円の備品購入の決裁が山のようにあったり、緊急性が高くて重要な判断が先送りにされていて笑えない状況が現実に起きたりします。

結局、何ごとにおいても信じて任せるということができないので、いつまでたっても社長自身が楽になりませんし、仮にNO.2に高い能力があってもその能力を発揮することはありません。

自分のやり方、考え方が絶対的に正しい。NO.2を信じて任せることなどとんでもない。自分の会社なのに、自分の知らないところで勝手なことをされたり、失敗されて責任を取らされるなど冗談ではない。

役割分担が不明確で、どんなに小さくとも権限移譲は絶対しない。報連相は求めるが自分はしないし、間違ったことをやってもそれを咎める人間もいない。

こういう状態ではどんなに立派な経営理念を掲げても、誰もその理念通りの行動をすることなどないです。馬鹿馬鹿しいですからね。

どこからどこまでは判断も任せる、イレギュラーや迷う時は必ず相談して欲しいし、進捗も共有して欲しい。失敗があっても自分が責任を負うし、リカバリーするから思い切りやって欲しい。そのために、

・ルールを作り、それを自ら守り、守らせる。
・信頼関係に基づいて本当の意味で任せきる。

やることは至ってシンプルですが、人を信じてないうえに、自分には甘ければこんなルールも作れませんし、部下も成長しません。

人に変わって欲しいと望むのであれば、率先垂範です。

もっとシンプルに言えば、自分がされたら嫌なことは他人にはしない。そういうことです。

優秀なNO.2が欲しいと願う社長は多いですが、自分が変わることは絶対したくない。その状況では優秀なNO.2は一生手にすることはできません。