チェコ:金色のビール
旅行会社で海外旅行を造成する際、地元の名物料理や有名な飲み物を日程に盛り込んでいって、その土地ならではの食を楽しんでいただくツアーを作ることは仕事のやりがいの一つだった。
海外旅行なら世界中どこでもそうだと思うのだが、特色のはっきりした食事や飲み物が定番になっている町はいくつもある。
チェコで有名な飲み物の一つは、日本でもよく知られているピルスナー・ウルケルというビールだろう。ドイツに住む人から教えてもらったのだが、ドイツ語読みではピルスナー・ウアクヴェルと読むそうだ。別名はプルゼンスキー・ビールと呼ばれるらしい。
チェコを周遊するツアーでは、このビールの生産地であるプルゼニュに立ち寄り、ビールの醸造所を見学した後に醸造所の隣のレストランで食事をとる、という日程を組むことが多いと思う。醸造所で生産されるビールを見て、その後で実際に飲んでみるのは、お酒好きにとってはどこに行っても興味深い事の一つではないだろうか。
このピルスナー・ウルケルというビールは約一七五年以上前に生産が始まったそうだ。プルゼニュの水がビール作りに適していたようで、周辺にはホップや小麦の産地もあり、ビール醸造にうってつけの地の利があったようだ。そして数あるプルゼンスキー・ビールの中でも、このピルスナー・ウルケルが元祖プルゼンスキー・ビールということの様だ。
コロナ渦で遠出もままならなくなった頃、自宅から遠くにあるスーパーでこのビールを見つけた。落ち着いた緑色が印象的な缶に入ったこのビールは、のど越しがさわやかで、色も大変美しい金色をしている。冷やして飲むといくらでも飲めてしまうような美味さがあり、夏の暑い日にぴったりのビールだと思う。
この時はコロナの第二波で家に閉じこもらざるを得なかった時だったので、余計に美味しく感じられた。同時に、ほんの少しだけだが、今はいけなくとも気分だけは海外に出かけているつもりにもなれた。
幸運なことに、今年からこのビールは自宅の近所の酒屋やコンビニでも販売が始まった。外国産のビールで、日本で定番になっている物は数点あるが、このプルゼンスキー・ビールもその一つになってくれるだろうか。願わくば、息の長い製品になって私たちののどを潤わせてほしい。そんな気持ちになれたビールだった。
※2022/3/5 記:ビールの名前は、チェコ語で「ピルスナー・ウアクヴェル」としていましたが、正しくはドイツ語で「ピルスナー・ウアクヴェル」というそうです。
訂正してお詫びをいたします。
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Photos from Pilsner Urquell
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