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D2Cコスメ・ブランド『BELME』 Makuakeを実施してみて

はじめに

こんにちは、小室です。私が手がけた『BELME』は2022年8月26日より、Makuake(マクアケ)にて先行販売を実施し、9月29日で終了となりました。

おかげさまで、公開初日で目標到達、最終的には目標金額の900%以上となる910,709円まで応援購入をいただきました。

応援購入してくれた皆さま本当にありがとうございます。先行販売分の配送も行い、いよいよ一般販売を開始する予定です。

今回はプロダクト紹介ではなく、ブランドをMakuakeからスタートしたきっかけや準備について。また個人的に考える必勝法や見解などをまとめたいと思います。これから起業して事業に取り組みたい人や、ブランドマネージャーとして商品を展開していく方向けの内容になっています。ぜひ最後までお読みください。

クラウドファンディングからスタートした理由

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①事前に開発ストーリーを知ってほしかった。
スタートアップでプロダクト準備をしていると様々な出来事があります。成分の選定にも、何十種類もの成分を検討したり、デザインにおいても納得がいくまで試行錯誤を重ねたり。
大企業に私がいたとしたら、納期や予算などの都合から妥協せざるを得ないことも、すべて追求し製品開発を進めました。
そのような濃い数年間をわかりやすくストーリー化することで応援いただき、ブランドのファンになってもらえるのではないかと思い、クラウドファンディングを実施しようと思いました。

②レッドオーシャンのジャンルで普通の出し方では難しいと思った。
コスメ業界は、毎月新商品が何十種類と生まれています。美容雑誌を見たことがある人はわかると思いますが、新商品の紹介ページだけでも5ページくらいギッシリ紹介されるほどです。一般的な紹介方法では、注目のコスメとしては取り上げることは難しく埋もれてしまう中で、効果的な見せ方はなんだろうと考えた時に、クラウドファンディングで「新らしいモノ」として紹介することベストと考えました。

③製造期間を充分に活かせる販売形態であること。
化粧品を大量製造するには、非常に長い期間をかけます。処方が決まったからといって、すぐに販売できるわけではなく「充填テスト」や「安全確認」など様々な工程を経て製造されますが、最低でも3ヶ月、基本は4ヶ月という歳月がかかります。
処方や開発ストーリーなどは決まっている中で何ができるか。すでに1つでもプロダクトを販売しているのなら、事前に顧客に対して予約販売をすることもできますが、何もないスタートアップにとってクラウドファンディングが最大のプロモーションツールとなると思い、実施することにしました。

なぜMakuakeを選んだのか

今回、数あるクラウドファンディングの中からMakuakeさんを選びました。その理由は以下です。

「アタラシイものや体験の応援購入サービス」という位置付け
このプロジェクトを実施するまで、正直クラウドファンディングとは、構想は決まっているけど予算が足りない、寄付してほしいと呼びかけるものと思っていました(乱暴な表現ですいません、、
しかし、現在では目標を達成していなくとも実現ができる選択肢もあり、どちらかというと先行販売ツールとしても機能することがわかりました。
中でもMakuakeさんはクラウドファンディングという位置付けではなく「アタラシイものや体験の応援購入サービス」を標榜しており、自社からの発信に「クラウドファンディング」という単語を用いていないとことも魅力を感じました。

②すべてのクラウドファンディングサービスの他社動向を調べた
さまざまなクラウドファンディングサービスでのコスメの応援実績を分析しました。Makuakeはその中でも達成率がかなり高く、スタートアップでプロダクトを展開した会社も多くが実施していました。その結果、注目させやすいのではないかと思いました。ただ、あくまで私の見解です。それぞれのサービスにも魅力がありますし、しっかりご自身の状況を見て判断はするべきです。

Makuake実施までの道のり〜サイトの準備について〜

①審査がかなり厳しい
提出する書類が多く、フィードバックも細かく、審査までにかなりの時間がかかりました。そして何よりも審査の薬事法観点がガッチリしています。
薬事法については、これは他社はやっているけどどうなの?とかよく会社内で討論となりますが、どの企業にもフェアなツールだからこそ、平等になっていますし、過剰表現はすぐにチェックが入ります。
ただこれについては、魅力と捉えるべきです。例えば本格的に広告を出して法律に詳しい専門家に依頼したとしたら、数万円の依頼料がかかる場合はありますし、なにもなく世に発信することで大惨事になりかねません。その点までクリアにしてくれて、予算は0で実施できると考えると大変ありがたいサービスだと思いました。

②しっかりとしたフォロー体制
Makuakeではキュレーターというプロジェクト1つに対して1名の担当者がつき、内容をしっかりブラッシュアップいただけます。
プロダクトを生み出した本人の魅力と、第三者が感じる魅力のギャップをチューニングする意味でとても良い機会となりました。
実際にMakuake内の女性スタッフ複数人の意見やアドバイスもいただきました。その他にクリエイティブの出し方や色味など。
商品の強みの再定義や、どういう伝え方をすれば良いか、今後予定している一般販売の準備としても有効です。

③リターン設計はしっかり考えるべき

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応援購入していただく方へのメリットを第一に考える必要がありますが、当然ながら100円で出しても目標到達までの道のりが長くなります。公式販売の金額をまずは考え、それよりも安くは大前提。そしていち早く応援すればお得になるようなリターン設計にしました。また、商品じゃないサービスも応援購入の一つにすることができます。他の方は「代表による美容アドバイス」などラインアップに組み込んでいました。私はD2C(通販)業務歴も長いので「商品+コンサルティング」としてラインアップに組み込み、実際ご購入いただきました。(これ、購入者に対して、私が付きっきりで会議に参加したり、工場あたったりしてるので格安ですし、私はとても大変です笑)

Makuake実施までの道のり〜プロモーション活動について〜

まず前提に考えてほしいのは、Makuakeで出したからといって応援購入いただけるわけではないということです。
そして、これは一般販売ではないということ。実施するプロジェクト次第ではありますが、私が考えるのは一般販売が大前提。この段階では一般的なWEB広告やインフルエンサーPRなど、バンバン資金を出して実施することは考えていませんでした。

また、クラウドファンディングでは大半のサービスがプロジェクト実施側への売上手数料が存在します。Makuakeの場合、送金の際に集まった金額の20%(決済手数料5%、消費税含む) を差し引かれます。そしてリターンの発送にかかる費用や手配などはすべてこちらで負担となります。

20%というと、1万円で考えると2,000円となりますが、100万円とすると20万円。大きければ大きいほど、大金を支払うことにもなります。
手数料がかからないクラウドファンディングもありますから、手数料をお支払いする分、何が魅力かを十分に考えるべきです。多くの方に届けたいのか、ジャンル的にそのツールが強いのか、手数料を抑えたいのか。自身の状況を踏まえ判断はするべきです。

そして私がとった行動は以下となります。

①noteで開発プロセスを公開 & twitterを本格的に開始
企画/コンセプトの壁打ち
知人や友人などに試供品を試していただいた
④最低コストの広告を考える

①と②について、これが最も重要です。まずは想いを伝えるにはブログが最も適している気がします。実際に私のnoteは毎回多くの方からイイネをいただき、3通目くらいになるとPV数も発信してすぐに100を超えていました。Twitterもビジネス目的でツイートを始めると多くの方からコメントをいただき、実際に起業家やマーケターの方とお会いすることができ、企画についてのアドバイスもいただきました。

他の起業家(コスメ分野)の中には、Instagramで美容豆知識や他社商品のレビューをリール・投稿を繰り返し、Makuakeにつなげていた方もいました。また、Facebookなどで応援グループなどを作っている方もいました。いずれも多くのご支援につなげていましたが「この人の言うことなら大丈夫だろう」という安心感を出すためには、ある程度の歳月が必要ということがわかります。

③については以前のnoteでも書かせていただきましたが、完成したクリームは試作品から完成品となる試供品にかけては、200名以上の方に意見やアドバイス、そして最終的な感想をいただいております。大企業の観点から言うと少ない数かもしれませんが、個人で繋げられる最大数をお配りできたと思ってます。また、その場で一言の感想をもらうわけではなく、使った時の感想や一週間後の感想など10項目以上あるgoogleアンケートフォームで回答しやすい提出方法をとり実施しました。結果的に本当に気に入っていただいた方は、5個、10個セットなどの複数セットを応援購入いただけることになりました。こうした試作を繰り返すことは今後の研究開発においても役立つので、実施して良かったと思っています。

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④については、本当に最低限の広告です。まずは初対面に出会った方に対しアプローチできることとしては、情報を話すだけではなく、情報がまとまったチラシもプラスで配ることにしました。コストは最小限に自作でイラレで作成しています。私が通勤路としているルートでも少しでも宣伝と思い、自身でポスティングもしました。このご時世、チラシを作ることはこだわらなければ格安でできてしまいます。ポスティングは正直ほとんど効果はないとは思いますが、知人に配り認知してもらう名刺的な役割としては効果はあるので、おすすめします。

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Makuake実施でわかったこと

結果としてMakuakeさんで実施して良かったと思っています。Makuakeおすすめnoteにも掲載いただき、Twitterでも取り上げていただけたりと、多くの会員様に対して効果的なアプローチができたと思います。

Makuakeが終わってみて、わかったことを以下にまとめてみます。

①事前活動次第では、注目を集められ効果的なアプローチができる
②仲間や協力してくれる会社を探すべき
③化粧品の応援購入平均は30万円前後ではないか
④注目されない限り、全く知らない方をツール内で取り込むことは難しい
⑤商品は欲しいけど、買い方がわからない方が多い(EC慣れの問題)
⑥後の一般販売に向けての施策を考えるデモンストレーションになる
⑦成功したからといって、一般販売で成功するわけではない

①に関しては前述で述べたように、Makuake実施前にSNSやピッチの場で想いを伝えていれば、注目を集めることができます。Makuakeで出しただけでは応援してもらえないし、事前活動の内容が濃いほど成功します。ちなみにMakuakeさんとの事前の打ち合わせの中で、SNSの数なども問われます。SNS戦略が鍵を握るツールであると言えます。

②はある意味、一番重要です。私がピッチの場で企画を発表したのも、知人のおかげですし、試供品を何十個もお配りできたのも仲間のおかげです。最初は私一人で駆け抜けてきましたが、同じ想いをもった仲間が多くいれば、さらに応援者を増やせた可能性があります。もしクラファン実施を検討しているスタートアップがいるとしたら、想いをもった人を増やすことを最初に提案したいです。よく「クラファンは開始3日が大切」と色々なサイトでも書いてますが、その日の応援購入が高ければ、Makuakeサイト内の「今日のランキング」上位として大きく表示されます。そのチャンスが最も適しているのが「開始3日(出たばかり+待ち通しにしていたファンもいる)」ということです。その意識で事前活動に取り組むべきかと思います。

③は、あくまで色々なクラファンサイトを見た私の主観です。1年前の私に言ってあげたいこととして、化粧品で100万〜300万応援というのは普通の出し方では到達できないということです。広告を出すべきというわけではなく、②で伝えたように、同じ想いをもった仲間(人生かけるくらいの)をつくらないと厳しいです。漫画の主人公もそうですが、強いものが1人いても強敵には勝てません。今「一人でのEC」や「利益率最大化」など言われていますが、なにかしらの協力者や仲間がいるからこそ実現ができています。Makuakeを通して、一層仲間の大切さを知りました。

④は、コスメ=WEBはその場で試すことができないこと。街でショッピングをすると基本コスメのテスターが存在しますが、そうした試みはできません。また、楽天やQ10のようにECサイト内で「ポイントシステム」や「美容に特化したイベント」もありません。一度購入した方に対してなどはメルマガは存在しますが、まだまだサイト内で「コスメを一から探そう」という感覚ではない気がします。ガジェット系に強いイメージがありファンが多い気がしますが、コスメ系は、まだまだ伸び代がある気がしました。

⑤は一般的な「年齢化粧品」販売の際には、チラシで「注文専用ダイヤル」や「往復ハガキ」の記載をしてECに慣れていない方の対応している例であるように、ECでの購入がわからない、クレカやコンビニ払いがわからないという方はいらっしゃいました。一般販売の際もこの問題を解決する工夫を探していきますが、WEBに慣れていない方をターゲットとした商材はここは注意です。

⑥は、先行販売という行為は、なにかを仕込むのも時間とコストがかかることがわかったり、心を動かすことの難しさ、そして実施後の動向データなどがわかることはとても良い経験になります。なにもしなければ結果はでませんし、少しでも動けば何かしらの結果になります。これがわかったことは一番大きいです。

⑦は、いろいろなクラファンサイトを見てきましたが、残念ながら大きく目標達成をしても、一般販売で伸びずにピボットしてしまったプロダクトを発見しました。ここで燃え尽きても意味がありません。なぜ応援してもらったのか、そして応援されなかったのかを考えて、足りない要素を一般販売で考えていきます。練習試合でホームランを量産してアピールしても、本番で打ち続けなければ意味がありません。ここからが本番。浮かれず、リリースした後も挑戦を繰り返していきます。

最後に

あらためまして、応援購入してくれた皆さま本当にありがとうございます!やっとプロダクトが完成し、Makuakeでの先行販売が終了しました。私自身商品が完成したことも嬉しいですが、Makuakeで多くの方に手にしてもらったことが何よりも嬉しいです。

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幸せに浸りたいところですが、これは序章にすぎません。いよいよ一般販売を開始します。D2Cというのは、お客様と会社が一対一でダイレクトにつながることができることが強みだと思っています。「BELME」を手にしていただいた方と一緒に成長していけるような会社になれるよう努力を続けていきます。

そして少しでも興味がありましたら、商品を試してみてください。冒頭でお話ししたようにこだわりを重ねた製品になっています。一人でも多くの方と繋がっていきたいです。

▶︎BELME公式サイトはこちら

もし感想などあればTwitterやnoteでコメントもらえると幸いです。最後まで読んでくれてありがとうございました。

これまでの活動や、開発したクリームについての詳細は以下にまとめています。ご興味のある方は、ぜひ引き続き読んでいただければと思います。


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