記事一覧
日記(2022年2月12日)
東京に来て5年間、軽作業ばかりしてきた。
いつの間にか手先に軽作業専用の神経が産まれたのではないかと思うくらい、鋭敏になった。正確な位置にシールを貼る動作、適当な枚数のコピー用紙を取る動作、シュレッダーが壊れないように書類を留めたホッチキスの芯を取る動作。恐ろしいくらいに速くなった。
中でも一番速くなったのは、新品のクリアファイル(ノベルティ)のビニールを剥がす動作。営業の人が書類を持っていくとき
想いが言葉になる前に
平日の昼下り、劇団四季の8軍メンバーはカルチャーセンターの小会議室に集合していた。
「いっちょ声出しときますかー」
リーダーの八木橋は腰に手をあて天井を見つめて言った。他のメンバー達は八木橋のもとに集まり円陣を組む。
「マジ演技リミッター解除!」
「解除!」
「そろそろ本気出しますか〜!」
「出しますか〜!」
「春夏秋冬!劇団四季!」
「ガンバ!ガンバ!」
8軍オリジナルの掛け声が響き渡った。
「
大丈夫って言ってくれた
5年ほど前、高校生の時に買ってもらったゴミ袋みたいなジャンパーを着た僕は、つじあやのさんの「風になる」を爆音で聴きながら自転車を漕いでいた。
岡山城と後楽園を横目に、一級河川の旭川に架かる旭大橋を渡る。目的地の区役所はまだ遠い。
基盤丸出しのiPhone5と100均のイヤホンは接触が悪く、曲が途切れるたびに立ち止まってジャックをガショガショやっていると、後ろから呼び止められた。
「外しなさい
なんでそんなことするん
さっき、シコったんよ。その後風呂入ってな。
何にもする気が起きないんです。自律神経とか、それを司る系が、流れ解散の雰囲気バシバシ出してきて、日雇いバイトで言うと、はようハンコ押してよってボロボロの作業確認証を眺めてる感じ。
こっちは今からマイクロバス乗って、聞いたことない駅から帰りますねん。
懐かしい日雇いバイトの話はこれくらいにしておいて、自己紹介します。
障害者の30歳の男。都内に住