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ずっと「たった一人の自分」になりたかったんだ【編集者になって半年】

IT業界から出版業界に飛び込み、
編集者として働きはじめて半年がたちました。
思えばあっという間で、
慌ただしくも楽しい毎日を送っています。

先週ついに、
上司から企画を引継ぎ、初めての担当書籍を責了しました!
印刷所にデータを入稿し、あとは本の形になるのを待つばかりです。
まだまだやるべきことは多いけれど、一段落です。
あー出来上がりがたのしみ! 今月発売なんです。

今回の久しぶりの投稿では、
半年間の振り返りも含めて
出版業界や編集業務の「想像と違ったところ」「想像通りだったところ」を
振り返りたいと思います。

想像と違ったところ

①関わる人が多い多い

噂には聞いていたので「想像と違った」ではないかもしれませんが、
1冊の本を作るのに関わる人が多いこと!
著者、ライター、イラストレーター、DTP、印刷所…
といった社外の方だけでなく、
社内でも、営業、マーケティング、校正等々、
さまざまな立場の方とやりとりをしています。

「打ち合わせ」と一括りに言っても、
著者との書籍内容の相談のときもあれば、
イラストレーターさんとの本文イラストのすり合わせや、
マーケティング部とのPR方針の作戦会議もあり、さまざまです。

関わる人が多い分、調整も大変ですが、
人と関わるのが好きな人は楽しい仕事かもしれません。

②会社の行き来の活発さ

先日、編集者のパーティーに呼んでいただき、
他社の編集者さんたちとお話をする機会がありました。
わが社の先輩たちにもお目にかかりました。

会場で出会った皆さまは、
業界内で会社を渡り歩かれている方が多く、
「出版業界は大きな一つの会社のようなもので、
他社への転職は部署移動のようなもの」
とどこかで聞いたのは、本当のようでした。

なので、転職活動中に
「アルバイトでもなんでも、とにかく出版業界に入る!
入って、そこで結果を出して、
ゆくゆくは自分の希望のポジションに就く!」
と息巻いていたのは、案外間違っていないのかもしれません。

想像通りだったところ

想像通り? いや、想像以上のたのしさ!!

この一言に尽きます。
たのしいんです。

言葉を扱う編集者が、
解像度の低い、「たのしい」に自分の感情を包括するのはどうかと思いますが、たのしいんです。

自分のしたことが成果となって目の前に現れるところ、たのしいです。
文章に赤字を入れて校正した部分が、次のゲラでは反映されていたり、
書籍の雰囲気に合うようなイラストレーターさんを探して、
私の描いたラフをもとにイラストを描いていただいたり、
Amazonの書籍ページに載せる文言を考えて、それがWebページ上で確認できたり……。

身の周りの何もかもを仕事に繋げられること、たのしいです。
自分がいま困っていること、かつて困っていたことを企画に反映できたり、
もともと好きだった本に、作り手の立場から「この本のつくりいいな、なんでそう思うのだろう」「どうしてこんなに読みやすいんだろう」「なんでこの本を手に取ったんだろう」と考えるようになったり(本への想いが深くなりました)、
最近進行しようとしている企画で、趣味が増えたり……。

私がいるからこそ、
私だからこそ、
この企画がこのような形で進んでいるのだと思うとき、
自分の存在意義をそこに見出すことができます。

以前いた会社で、先輩がこんなことを言っていました。

「あの子(私ではありません)まだ新卒だから、
社会の歯車になるのが嫌で、もがいているんだろうね」

ここで話にあがった「新卒の子」も、
「自分だからできる仕事」を求めてがんばっていたように記憶しています。
でも、それを求めてはいけないのでしょうか。
誰だって、たった一人の自分を認められたくて、
「あなただからできた」「あなたで良かった」と思われたくて、
もがいているんじゃないんでしょうか。

私は先輩のその言葉が嫌でした。
その子のがんばりを無碍にするような言い方も、
かつては「たった一人の自分」を求めていたのに、
それを諦めたような先輩も。

社会の歯車である以前に、
会社員である私は会社の歯車である訳ですが、
歯車は歯車なりに、他との嚙み合わせを考えながら、
そこで最大限自分の存在感を感じたいと思うのでした。

私は大学生のときの就職活動では
編集者になれませんでした。
出版業界に入ることもできませんでした。

でも、転職活動をして、
何とか業界に入り込むことができました。
(まだ担当作が世に出ていないので
そう言うのもおこがましいですが、)
編集者として歩きはじめることができました。
諦めが悪いことが功を奏することもあるようです。

これから、おもしろい本をたくさんつくりたいです。
その本を読んだ
誰かの行動のきっかけになったり、
誰かを励ましたり気持ちを楽にしたりと、
誰かの役に立ちたいと思っています。

まだこの仕事の深淵を知ってはいない私ですが、
酸いも甘いも、どんとこい。

精々たのしんで、働きたいと思います。


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