建設業の労働力不足考察 | これからは『DIYが得意』かつ『電気工事士有資格者』がモテるかも…というお話
私は建設業界で営業をしています。
顧客と打ち合わせをして工事の請負契約を交わすのが仕事ですが、いくらお客さんが契約したいと仰っても、お断りする場合があります。
ご希望の期日までに工事ができないのです。
こちらの提案する工期で納得していただけるとよいのですが…。
理由は工事力不足。
工事店さんだけでなく、社内の現場監督さんも全然足りていません。
建材や設備の納期も以前のような無理をお願いできる環境では無くなりました。メーカーさんの働き方改革がちゃんと機能しているのです。良いことです。
なので、できないものはできない!!!
というわけで、今回は『建設業界の工事力(労働力)不足』について、自身の経験を踏まえて真面目に考察していきます。
もう待ったナシ!絶望レベルの人手不足
世界中が社会課題だらけですが、身近な課題の一つに労働力不足があります。私が従事している建設業の人手不足についても皆さんに知っていただきたいのですが、きっと想像されているよりもはるかに絶望レベルの人手不足ですよ。
1) 後継者は本当にいない
先日私が担当した工事現場の職方さんは皆さん60才以上でした。70代の方も居られます。
大工さん、電気屋さん、水道屋さん、塗装屋さん、左官屋さん、タイル屋さん… 後から来られたクロス屋さんだけが40才代だったのでとっても若い!って錯覚するくらいです。
オールスター(職方さんが皆ベテラン)だったので工事の仕上がりはとっても素晴らしかったのですが、5年後にも同じ品質を担保することは難しいと思うのです…
この現場が極端な例というわけではありません。若い世代の職方さんは本当に少ないのです。入られてもすぐに辞めてしまいますし、職方さんのご子息も異業種にお勤めされているというお話をよく聞きます。後継者は本当にいないのです。
※今仮に、10代〜20代の若者が新規就業してくださったとして、既に少ない30〜40代の労働力までも補えるとは楽観的すぎるような…
2) 外国人労働者の教育が追いつかない … 人手不足解消とは真逆の実態
また別の現場では外国人の職方さんがたくさん来て下さいましたが、たばこやゴミ捨てのルールが守れず 現場近隣から複数件のクレームが入ってしまいました。更に技能も基準以下だったため検査で合格出来ず、すべてやり替えることになりました。
この対応にも多くの人と時間とお金が余分に掛かります。残念ながら人手不足解消とは真逆の実態になっていることを皆さんにも知ってもらいたいのです。
悔しいのはこのような事を何年もずっと繰り返しているという事です。
毎回違う職方さんが現場に来られるので教育も間に合いません。改善するのはもう諦めて、毎回何かが起きるぞって『ずーっと臨戦態勢』で仕事をしています。だから皆が疲弊しているというか、とっくに限界を超えているという状況なのです。
私は外国人労働者の受け入れに賛成でも反対でもありません。全てを現場任せにしている企業と政治に不満があるのです。
本当に『もう無理』なんです。
何回も言います 『もう無理…』 (このワード流行ってる?)
工事力不足で困る身近な具体例
1)夏のエアコン工事
一番わかりやすくて身近な例としては、夏のエアコン工事。
暑い季節にエアコンが故障してしまうと直ぐにでも修理・交換してほしいですよね。毎年ゴールデンウィーク頃から工事が混み始めるのですが、現在 数日どころか数週間待たないと工事には来てもらえません。
更に数年後にはどうなっているでしょうか…
2)中古不動産を取得してもリフォームできない…
中古不動産を取得しても希望の入居日までにリフォーム(リノベーション)ができないケースがあります。
その場合、購入した不動産のローンと今入居している賃料の両方を何ヶ月も払い続けないといけないので無駄なコストが掛かってしまいます。
不動産会社の営業担当さんもその辺の状況理解が追いついていないようで、つい先日もお客さんと揉めておられました。
中古不動産の市場が活況なようですが、消費者は取得コスト以外についても予見しておく必要がありそうです。
また、中古不動産をリフォームして転売するビジネスモデルがありますが、今後ちょっとしんどくなるかも… 無理せずにやってください。
3)持続可能なインフラ整備は …
国土交通省のホームページにも持続可能なインフラ整備について書かれてありますが、とても厳しいとしか言いようのないレポートです。
例えば調査をして緊急性の高い順に整備をするとしても膨大な労働力が必要なのだと驚かされます。調査や施工の方法については技術革新が進んでいて明るい話題もありますが、災害など有事の法整備にも課題がありますし、中々大変そうだ…
電気、ガス、水道、通信、道路、トンネル、橋、学校など公共施設 …
日本全国津々浦々… 今の仕組みのままだと無理そうです。絶対に…
日常生活に不可欠なものの修理・修繕ができない社会がやってくる
自宅のリフォームや設備の交換など、素人には難しい工事でも職方さんはササッとやってくれます。ありがたいですね。
でも、『貴重な職方さんの技術を個人レベルで気軽に依頼するなんて出来なくなる』と予想しています。
建設業の深刻な労働力不足については先に書いた通りです。もう自分のことは自分でやるしかないのです。
恐くないですか?
生活に必要なものの修理も修繕もできない…
そう遠くない未来に起こることだと思っています(心配性なもんで…)
ここからが本題。
私たちが生活する上で必要な住環境の修理・修繕はできる限り『自分たちでしてくださいね』というのが当たり前になった時、個人に求められる能力や役割も今までとは変わりますよね、っというお話です。
モテる人の条件ランキング 上位に『DIYが得意』かつ『電気工事士有資格』が入ると思っています
自分のことは自分でやるしかない…
それは家庭毎なのか、集合住宅や町内会などのコミュニティなのかは分かりませんが、少なくともDIYが得意な人や電気工事の有資格者がいないと住環境の維持管理は出来ません。
そして、それは男性に限らず女性でも誰でもいいのです。
私も ”壁紙の貼替え”や”破損した縦樋の交換”、”棚板の取付け”くらいは昨年一人でやってみました。なので不器用な夫や息子からはモテモテです!
あとは、第二種電気工事士の資格があれば概ね自宅のリフォームはできそうです。
ダウンライトや換気扇などの交換が出来ますし、難しいけれど頑張ればエアコン工事も可能だそうです。(資格試験は難しいのかな?後で調べてみます…)
どうです。モテそうでしょう?
家庭だけでなく、職場などでもかなり頼りになる人だって思われるはずです。
最近は高校で熱心に金融教育をしているそうですが、それよりは家事をするのと同じくらい日常に不可欠となるDIYと電気の知識や技能を教える方が大切じゃないか… と思うのは私だけかな…
要は、
『今後日本の社会構造は大きく変わる』
ということと、
『社会が縮小していく不都合について隠さずに議論し、それを受け入れる仕組作りを急がないといけない』
ということを言いたかったのです。
今回は長文になってしまいました…