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「全くの不勉強でした」・・・なぎら健壱さんを再認識できたことは、人生の後期に巡ってきた僥倖である。


『なぎら健壱 50+1コンサート』カメリアホールにて。

「全くの不勉強でした」

音楽関係は元から苦手だったので、
日本のフォークやカントリーミュージックは、中学時代ユースホステルで歌ったのを最後に、触れる機会はほとんど無かった。

だから、「なぎら健壱」さんと聞いて思い浮かんだのは、
1976年の日活映画「嗚呼!!花の応援団 役者やのォー」
の薬痴寺(やくちじ)先輩の怪演である。

今思えば、木挽町生まれで生粋の江戸っ子であったなぎら氏が、
大阪弁で「役者やのう」というセリフを言うのは、
かなり苦労されたのではないか、と思われる。


さて、そんな不勉強で、ほぼ無垢な状態で今回のコンサートを聞きに行ったのだが、初っ端から魅了された

「こんな凄い人だったんだ!」

と思わず口を突いて出た。

昨年、50周年だったがコロナ禍の影響で延期、「+1」として
開催されたこんさーとには、「50+1執念」とサブタイトルが付いているが「周年」ではなく「執念」とあることが、強い意気込みを感じる。

ゲストは、半田健人さん。タブレット純さん
このお二人も決して役者や芸人の副業ではなく、
実に歌がしっかりとしている。
勿論、タブレット純さんは元マヒナスターズにいたという経歴もあり
歌が上手いのは当然だが、キレ芸だけで知られているのは
余りにももったいない。

実はゲストに惹かれて見に行ったのも、
反省の一因である。もっとちゃんと世の中を勉強しないといけないが
死ぬ前に知ることが出来て良かったと考えよう。

コンサートは終始、歌と歌詞が人にきちんと伝わり、
音楽とはこうあるべきだと再認識させられる。
観客層が高く、70年代のフォーク時代からファンであっただろうと思われる方が多いが、ちゃんと歌っている歌手は、
こうしてしっかりとファンも付いてきてくれるのだ、と思う。


良い曲がたくさんある中でも

「ヨイトマケの唄」 「証3・11~AKASHI~」

の二曲は、思わず涙がこぼれそうになった。

「ヨイトマケの唄」はご存知美輪明宏さんの作詞作曲による名曲。
高石ともやさんは、本物のフォークはこの一曲だけだ。とおっしゃったそうな。このよく知られた曲を本家以上に力強く、そして丁寧に歌われ、心が震えた。

そして、
「証3・11~AKASHI~」。
タイトルから分かるように、東日本大震災をテーマにしている。

震災当初、多くの無名ミュージシャンが「僕には歌う事しかできませんから」と言って被災地に入り、歌だけ歌って帰っていく、という事例が目立ったが、中には「皆さんに元気を貰いました」などと言って帰る者までいたそうで、それに対する思いが込められている。

気楽に「がんばれ!」という人々に対し、
「知ってるよ」と言いたい気持ち。
でもそれを「せっかく言ってくれているんだから」と我慢する被災者の優しさと、葛藤と、現実が見事に歌い込まれている。

これが本当に力強い!

こんなに骨太に、大切なことを歌に込められる人がまだまだいるという事は
今の鬱屈した社会の中に輝く一縷の希望であろう。

最後にもう一度。私は本当に不勉強でした。

機会があれば是非。お聞きいただきたい。




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