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「禍々しく萌える」・・・ホラー作家の猫漫画


『禍々しく萌える』

コミックや文芸を問わず、猫を飼う作家は多い。
そしてそのほとんどが、溺愛ぶりを隠そうとしない。

あるホラー漫画家の元に、一匹の猫がやってくる。

漫画家は自らの作風そのままに、その猫に禍々しいものを見出そうとするのだが、
結局は猫の魅力に抗しきれず・・・。

というような作者の猫との葛藤をネタにした漫画が
「伊藤潤二の猫日記 よん&むー」である。

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この作品は、猫を軸とした夫婦の微妙な距離感と
マウントの取り合いを描いているのだが、
読み進めるうちに私は、一種ホラー漫画家らしい恐怖の仕掛けを感じ取った。

禍々しい画風の中に、温かな愛情を感じるのだ。

最初はただ微笑ましく読んでいるのだが、
ある日突然、自らの感覚が狂ってきているのではないかと、不安に囚われる瞬間がくる。

「もしかしたら、作品に影響を受けすぎて、
ホラーで「萌え」を感じるような
奇妙な精神構造になってしまったのではないか」

そんな恐怖が全身を貫くのである。

以来、私の人生にホラーに対する考え方が変わってしまった。

幸いなことに(不幸なことに?)、
私はこの作品以外に「ホラーで萌えを感じる」ような作品に出会っておらず、同じ作品を読んだ友人達からもそのような報告も無いので、
今では、精神に影響を及ぼすようなことは、ただの勘違いであったのであろう、と考えている。

だが、もし読者の中に、精神の強靭さに自信がある方がおられるなら、
是非一度手に取ってお読みいただき、「ホラー萌え」の症状が出たかどうか、お教えいただきたい。


               おわり


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こちらは伊藤家ではなく、我が家のニャゴ。


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