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勝利の味【J1第3節】浦和レッズvs湘南ベルマーレ

ミッドウィークに川崎との試合に敗れたレッズはリーグ戦1分3敗と苦しいスタートとなっています。ホーム埼玉スタジアムで何とか今シーズンリーグ戦初勝利を手にしてチームに勢いをもたらしたい状況でした。一方の湘南もリーグ戦未勝利と厳しい状況です。

マッチレポート

スタメン

浦和: 4-4-2
湘南: 3-5-2

レッズは川崎戦からメンバーを4人変更。左SBに大畑、ダブルボランチに岩尾と平野、右SHに松崎が入った。
湘南は前節の鳥栖戦から4人変更。前線には新加入の瀬川が町野とコンビを組んだ。


試合内容

16分にレッズはショルツの縦パスを江坂が受けると左サイドでオーバーラップしていた大畑はスルーパス、大畑がマイナス方向へ折り返し、最後は江坂がシュートを押し込みレッズが先制する。24分に湘南は瀬川、町野とパスを繋ぎ最後は岡本がシュートを放つが枠の上に外れる。42分にレッズはクイックリスタートから伊藤が抜け出しシュートを放つが湘南の守護神谷がセーブ。前半はレッズの1点リードで折り返す。

後半最初のチャンスはレッズ。48分にハイプレスをかけて高い位置で関根がボールを奪うと、サイドをえぐり素早いグラウンダーのクロスを上げるが僅かに明本に合わず。55分にレッズは関根と岩尾が永木を挟んでボールを奪うと、岩尾が背後に走っていた明本へスルーパス、明本がシュートを放つが大岩がブロック。58分にもレッズはカウンターからチャンスを作る。江坂のクロスに明本が飛び込むが僅かにボールに届かず。69分にレッズはCKのこぼれ球を岩波がシュート、ボールがディフレクトしてゴール右隅に飛んだが谷がセーブ。74分に湘南はクロスボールの跳ね返りを町野がシュート、岩尾にボールが当たり流れたボールを大橋が反応しシュートを放つも枠を捉えられない。76分にレッズは酒井の丁寧な折り返しを馬渡がシュートを打つがボールはゴールの上に外れる。80分には途中出場の小泉のクロスを明本が頭で折り返し、江坂が左足を振り抜くがシュートはゴールの上に外れる。87分にレッズは明本が前線でボールをキープし、駆け上がってきた馬渡へスルーパス、ワントラップから左足でゴールニア上にねじ込みレッズが追加点をあげる。90分にはレッズのFKから岩波がニアで合わせるが僅かにゴール右にシュートは外れる。危なげなく最後まで試合を進めたレッズが2-0で勝利した。


試合結果

明治安田生命J1リーグ 第3節
2022年3月6日(日) 15:04キックオフ・埼玉スタジアム
浦和レッズ 2-0(前半1-0) 湘南ベルマーレ
得点者 16分 江坂 任、87分 馬渡和彰
入場者数 19,144人


試合ハイライト動画


試合スタッツ


マッチレビュー

意図した形

レッズは前半から意図したビルドアップの形から上手く攻め込むシーンを作ることができました。下の図のように湘南の左右非対称のプレスに対して、レッズは田中の両脇に生まれるスペースを使って前進する場面がいくつかありました。

湘南のプレスとレッズのビルドアップ

江坂の得点のシーンもショルツから江坂へ縦パスが通ったところから攻撃のスイッチが入り、大畑が背後に抜け出して折り返しからの江坂のフィニッシュという流れるような攻撃でした。この得点の前の11:50や13:20でも江坂が田中の両脇でCBからの縦パスを受ける場面があり、レッズが意図的に狙ってたいた攻撃の形だったと思います。

江坂で起点ができると湘南のディフェンス陣はボールに意識を向ける必要があるので、自分のマーカーを外しがちになります。そこで大畑が背後を取ったところから生まれたゴールでした。チームとしてどこにスペースがあり、誰がそのスペースを使い、どうやってフィニッシュまで持っていくのか意図した形が顕著に現れた場面でした。


右サイドの機能不全

レッズはこの試合でほとんどの攻撃の始まりが左サイドからが多く、ビルドアップで右サイドにボールを運んだ時には上手く前進できずに苦しみました。

先程も言ったように湘南は左右非対称のプレスをかけてきました。左SBの大畑に対しては右WBの岡本がプレスをかけるのに対して、右SBの酒井に対しては左IHの平岡がプレスをかけてきました。

下の図のようにレッズが左から右へとボールを運んだ際に湘南はレッズの右サイドを分断するようにプレスをかけてきました。

右サイドの機能不全に追いやった湘南のプレス

酒井にボールが入った時にはパスコースは松崎への縦パスのみとなっており、松崎のところで潰される、もしくは岩波がハマることを察知してロングボールを蹴るという場面も多かったと思います。

74:48ではレッズのビルドアップ時に左から右へとボールを運んだ時に酒井から大久保へのパスを山本にカットされたところからピンチを招きます。このボールロストから最終的に湘南にとってこの試合1番の決定機を作られてしまうことになりました。右サイドの選手の立ち位置やサポートの方法には課題が残る結果となりました。


主体性

前半と後半でレッズはプレスのかけ方を変更しました。前半は下の図のように4-4-2の3ラインを作り、相手を誘き出すような意図があったと思います。

湘南のビルドアップとレッズのミドルブロック

このミドルブロックによってアンカーの田中をしっかりとケアすることができていましたし、中盤のゲートを閉じて縦パスを入れさせないような守備ができていました。一方でブロックの外には比較的自由にボールを持たせることとなるので、撤退守備になることが多くなっていました。

後半からレッズは下の図のようにSHを前に出して湘南の3バックに対して3トップ気味にしてハイプレスをかけました。

後半のレッズのハイプレス

特に後半の開始10分くらいはこのプレスが良くハマり47:50では館にプレスに行った関根がボールを奪うと関根がサイドをえぐった後、クロスに明本が飛び込むというショートカウンターをすることができました。前半は相手を誘き出すという受動的なブロック守備だったのに対して後半は自らプレスをかけてハメにいく主体的な守備に変更しました。

いくつかプレスにいったFWの背後の米本を使われる場面やIHへ縦パスを許してしまう場面などがありましたが、相手のプレイのクオリティーに助けられることも多く危ない場面は少なかったです。ハイプレスはまだまだ練度を上げる必要があるとは思いますが、一つ主体的なサッカーを見せるという意味では良かったかなと思いました。


最後に

良い内容の試合をしてても結果が付いてこないという苦しい状況の中でまず1つ勝利という結果を手にしたことは大きいと思います。どうしても結果が出てないとチームの雰囲気はネガティヴな方向にいきがちですし、自分たちのサッカーに対して不安を抱いてしまうことが起きてしまいます。そういった負のオーラを払拭する意味でもこの勝ちはとても大きな意味を持つのではないでしょうか。

この試合もこれまでの試合から選手を上手く入れ替えながら、新加入選手たちの連携や戦術理解も深めることができました。選手を入れ替えながらも勝利を手にし、戦術の浸透や連携の向上を図ることができたので充実した内容だったかなと思います。ここから徐々に離脱していた選手たちが戻ってきてより、チームがパワーアップしていくと思います。この試合の勝利をキッカケとしてここから勢いに乗って勝点を積み上げることができたら良いと思います。

次節は鬼門アウェイでの鳥栖戦です。チームとして力が試される試合になりますが、ここで連勝することができると波に乗れると思うので何としてでも勝ちがほしい試合です。アウェイの地で選手たちが躍動してくれることに期待しましょう!



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