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サッカー現場での『ペダゴジー(指導学)』の実用化

指導学や教育学として知られる『ペダゴジー』。学習者を中心にとした学習方法を用いることによって、学習者が「最も効果的な学び」から知識やスキルを得て効率的に成長することができるというのがペダゴジーの根本的な目的である。ペダゴジーの考え方やコンセプトについては前回の記事で詳しくまとめているので参考にしてみてほしい。

そして今回はペダゴジーを実際にサッカーの現場でどのように実用化することができるかまとめていく。


3種類のセオリー

ペダゴジーでは指導者/教育者が学習者に対してアプローチする方法がいくつか体系化されている。そして、ペダゴジーを用いたアプローチのことを『ペダゴジカルアプローチ』と呼ばれている。

ペダゴジカルアプローチでは3種類のセオリーがベースとなり体系化されている。

・Behaviorism(行動主義)
・Cognitivism(認知主義)
・Constructivism(構成主義)

Behaviorism(行動主義)

選手たちの行動やアクションは環境によって変化する。つまり、Behaviorismとは選手たちの行動やパフォーマンスを環境設定によって変化させて学習させる方法のことである。

実はBehaviorismはよく現場で見かけるコーチングで、無意識のうちに指導者が取り入れているセオリーではないだろうか。Behaviorismでは大きく分けて4つの環境設定で選手たちに働きかける。

  1. ポジティブサポート: 選手に対してポジティブなサポート/フィードバックを提供することによって選手のパフォーマンスを高める方法。(例、褒める、拍手、トロフィーなど)

  2. サポートをとりの: 選手から何かを取り除くことでサポートする方法。(例、勝利チームは片付け免除、1点取るごとにタッチ制限が緩くなる)

  3. ポジティブな罰(懲罰を与える): 選手に何か罰を課せることによってパフォーマンスを高める方法。(例、罰走、腕立て10回、1失点ごとにタッチ制限がかかる)

  4. ネガティブな罰: 選手から何かを奪う/取り除くことによってパフォーマンスを高める方法。(1失点ごとにFPが1人減る、試合に負けたら試合後のご褒美無し、規則違反で減給)

サッカーでのBehaviourismの例

指導者はサポートや罰を与える/減らすことによって選手たちの行動に働きかけることができる。これがBehaviorism の考え方だ。

Cognitivism(認知主義)

Cognitivismは選手や学習者の認知を刺激することによって学習を深める方法である。

人間の脳は情報に対して「既に知っている知識」or「新しい知識」として認知する。そして、その情報を認知する時に証拠やフィードバックから正確な知識として認知する。

情報の認知

例えば、指導者が「数的不利の局面の対処方として、パスコースを消しながらボールホルダーへプレスをかける」ということを選手たちに教える。その情報が新たな知識として認知され、脳の中に貯蔵される。そして実際に試合で選手がその局面になった時に貯蔵された情報を引っ張り出してきて使うことができる。

『情報の獲得』→『情報の整理』→『情報の貯蔵』→『情報の利用』という流れで学習を進めるのがこのセオリーの考え方である。

Constructivism(構成主義)

3つ目のセオリーがConstructivism。Constructivismは経験をベースに学習する考え方で、大きく分けて2つのタイプの経験値の高め方がある。

  1. Cognitive Constructivism(認知構成主義): これまでの個人の経験や既にある知識を使って、新たな経験から学ぶことである。つまり、これまでに積み重ねてきた経験や知識を応用して新たな経験をすることである。例えば、1vs2の局面の守備の仕方の経験/知識を使って、2vs3の局面の対応を学ぶなど。

  2. Social Costructivism(社会構成主義): 人との交流やグループでの解析を行う経験から学びを深めることである。この考え方は他者とのコミュニケーションや関わりを通じて学習を進める方法で、サッカーで言えばチームミーティングや指導者と選手間でのコミュニケーションなどの経験を通じて学ぶ方法だ。

2つのタイプどちらも共通している点は経験から学びを深めるという点である。どうしても指導者は様々なことに口出ししてしまいたくなるが、成功も失敗も全ては経験になる。見たり、聞いたりするよりも、実際にやってみたほうが習得するスピードは早かったりする。指導者として選手が新たな経験を積めるように環境を設定してあげることで学習効果を高めることができる。

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