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分析官の『ひと手間』【アナリシスログ#3】

最近まで課題に追われていて全然記事を更新できていなかったのですが、その期間にもサッカーについて様々な視点から考える機会がありました。今回は分析官が抱える悩みについて考えていきたいと思います。

分析官の悩み

分析官として働き始めて3ヶ月が経ちました。この3ヶ月の中で沢山の個人用の分析動画やチーム用の分析動画を作成してきました。そして、その分析動画を選手やコーチに送り、試合のフィードバックとして活用してもらっていました。そこで生じた悩みが「分析動画を見てもらえないこと」です。

私のチームではsportsYou(動画や画像、様々なリンクなどを共有できるプラットホーム)使っていて、そこに分析動画や試合後のデータを投稿したり、選手との個人チャットで個人用の分析動画を送っています。

sportsYouのホーム画面

本来はミーティングやプレゼンテーションといった分析したものをチームとして振り返る時間を設けられれば良いのですが、チームの1週間のスケジュールを変更するのは難しい状況なので分析動画を送る形となっています。そうすると分析官は分析動画を送ることはできても、その動画を観るかどうかは選手たちに委ねられます。大半の選手たちは分析動画を観ていると思いますが(そうであってほしい)、中には全く観ていないという選手もいると思います。

個人的には選手たちが「本当にプロを目指す」、「もっと上手くなりたい」、「更に成長したい」と思うのであれば分析動画は少なからず役に立つと思います。分析動画を観たからといってサッカーが物理的に上手くなるということはありませんが、自分のパフォーマンスを振り返ることができると思いますし、サッカーと向き合う時間を作ることができます。また映像を見ることで自分がプレイしていた時の五感をベースとした主観的な印象と映像からの客観的な視点を擦り合わせることができるので、とても効果的な自己分析に繋がります。なので全ての選手に分析動画を見てもらいたい訳です。

では、全ての選手に分析動画を見てもらうために分析官ができることを考える必要があります。先程も言いましたが分析官が選手たちに介入できる部分は監督やコーチよりも少なく工夫が必要になってきます。現在は「どうしたら1番効果的に分析動画を見てもらえるか」という試行錯誤の段階です。最近、私が感じていることは分析動画を作戦しSportsYouに投稿するプロセスの中で『ひと手間』が重要だということです。

取り組み

例えば試合の映像を投稿する際に映像をリンクで送るのか、それとも選手たちが再生ボタンを押しただけで試合の映像が見れるのかで大きな違いがあると思います。映像をリンクで送る方が投稿することに時間がかからず分析官としては楽ですが、リンクを受け取った選手たちはリンクから映像をダウンロードしてから見ることになります。この1工程が入ることで選手たちは映像を見ることが面倒くさくなってしまうはずです。もし私が時間はかかるけど映像の解像度を下げた試合の映像(SportsYouにをアップロードできるコンテンツの大きさに限度があるため)をリンクではなく再生ボタンを押すだけで映像が見れるように投稿した場合、選手たちはより分析動画を見ることに抵抗がなくなるかもしれません。

また、分析動画を投稿する際にコメントの有無も影響を与えるかもしれません。例えばただ単に分析動画を投稿するよりも分析動画と一緒に「注目してほしい点はペナルティエリア内でクロスのターゲットとなる選手たちのアクションです。」という様なコメントを付け足すことで選手たちはより分析動画に興味を持ってくれるかもしれません。個人の分析動画を送る際も同様にただ単に分析動画を送るよりも「この間の試合のこの場面でのあなたのプレイが良かったから映像で振り返ってください。」とコメントを入れることでその選手も映像で振り返ってみようという気になるかもしれません。些細な『ひと手間』ですが大きな違いを生むと思います。

分析の技術的な部分では「如何に分析動画を魅了的なものにできるか」というチャレンジがあります。例えば単にデータを見せるのではなくグラフなどを用いて視覚化することで、より選手たちがデータに関心を持つことができると思います。下の図はアタッキングサードとペナルティエリアの侵入回数と場所を視覚化したものです。

アタッキングサードとペナルティエリアの侵入回数と場所のデータ

分析の映像も同様にただハイライトのように映像を垂れ流すのではなく、下の画像のようにスポットライトや矢印などで映像を加工したものを作成することで選手たちが興味を持って映像を見てもらえると思います。

分析動画のスクリーンショット

どれだけ素晴らしい分析を行ったところで選手やコーチ陣に伝わらなければ意味がありません。こういった『ひと手間』が分析を有効化し分析の持つ力を最大限発揮することに繋がると思います。

分析プロセスの中でこうした『ひと手間』を加えようと思うと膨大な量になっていくのでとても時間がかかります。分析は試合後になるべく早くフィードバック送る必要があるためタイムリーさが求められるので時間との戦いになります。期限内にどれだけ手間を加えることが今の私の挑戦です。正直なところ、分析動画のクオリティーやデータの視覚化の部分はまだまだ力不足です。ですので、今後も「どうやって分析をより魅力的で効果的なものにしていくか」という点に力を入れていきたいです。

監督やコーチ、選手から褒められたもの、良いと手応えがあったものは継続し、足りない部分は試行錯誤しながらより良いものにしていければ良いなと思います。個人的に今後の取り組みとして試合後にマッチレポートを作成してデータや試合の内容がまとまったものを選手やコーチにフィードバックできたら良いなと思っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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