見出し画像

「優しくつながれる場所」を作るために(2)

思っていることの続き

こちらに「優しくつながれる場所」を作るに至った、現状の問題について僕が感じていることを書きました。人それぞれどんな風に思うのかを良くも悪くも想像します。でも、読んでくださる方がいることって、本当にうれしいですね。そして、同意してくれる方が少しでもいることがわかって、わくわくしました。ありがとうございます。そうして、味をしめたので、続きを書きます。

ねこのてさんGSVで、目から落ちた、うろこ。

僕は「こころの相談室ねこのて」さんのGSV(グループスーパービジョン)に参加させていただいています。僕にとってそこは刺激が多く、次の仕事での勇気や知恵をもらえるような場所になっています。

僕がそれまで参加していたのは、事例検討会でした。そこでは、資料を用意して、ケースの流れについて説明をして、そのあと質問やコメントを恐る恐る待つというもの。発表者も参加者もなんとも居心地の悪い時間でありながら、日本の臨床心理界隈で伝統的に行われている(のではないかと思う)。発表の機会を僕は大した回数もないですが、発表者がそんな気持ちを感じていると思って、実は自由にコメントすらできませんでした。黙っているのも良くないよなと思い、つい良いところを言ってしまう。

そう、「言ってしまう」と思っていました。

以前、心理の院生さんも同じようなことを言っていたのを思い出します。「何かうまいことを言わないとなと思ってあれこれ考えてしまう」って。何か普通のことが言えない雰囲気。。。

よくよく考えてみると、発表者は、

「ねえ見て!このケースうまくいっているでしょう、ほら!」

っていう事例よりは、むしろ思うように進展しなくて、”長引いてしまっている”みたいなケースだったりして、割と困っている状況なんじゃないかと思うのです。だから、僕は泣きっ面に蜂みたいなことはしたくないと思っていました。厳しい指摘とかは他の人に委ねてしまって、ちょっといいなと思ったところ言ってしまっているんだと思うんです(ずるいなーって言わないでね。言うときは言うんだからー

一方、ねこのてさんで行われているのGSV。僕は事例検討会みたいなものをどうしても想像してしまっていたんですが、目的はさほど変わらないのに、全く違うものでした。オンラインでやるということもそうですが、それ以上に、基本的な考え方が全く違っているのです。

ねこのてさんのGSVへの思いや考えをお聞きしたら、快くお話ししてくださいました。一部ご紹介させていただきます。

 GSVにはクライエントさんはいませんから、クライエントさんのつぎにセラピストだけが実際の面接、実際のクライエントさんを知っているのです。
スーパーバイザーは実際を知りませんし、第三者であるから好き勝手を言うこともできます。
 スーパーバイザーがいろいろと考えてコメントしたその内容が、妥当かどうかは、その場ではセラピストだけが判断できます。そして、いつも正解は、クライエントだけが知っているのです。
 私はクライエントのリソースと共にセラピスト自身のリソースを一緒に確かめていくことを心がけています。人がセラピストとしてやっていく知識や体験を積んで、自信や意欲や元気を持つような、そんなSVがあったっていいんじゃないか、と思うのです。

画像1

僕は、ここがまさに「優しくつながれる場所」なんじゃないかと思っています。確実に存在する経験の差は、わからないことがあったらどうしようという不安にも、わからないことを理解できる安心にもつながると思うのですが、ねこのてさんの場所では、経験に裏打ちされた安心感がハンパない。そして、そこでは「何かうまいことを言わなきゃいけない」とも思わずに済むし、どちらかというと「ありのまま」で参加できるような気がしています。

そのGSVをしてくださっているねこのてさんに、改めて個人的にお話を伺ったところ、丁寧に回答してくださいました。ねこのてさん、この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。(読んでくださっている方にお勧めしたいのですが、現在定員がいっぱいかもしれません。)


望まない支援を提供していた僕ら

僕はこれまで何かしたくて、ホームページを作ってみたり、ココナラで何かやってみようとしてみたり、いろいろやっていました。でも、何ひとつ誰かの手に届くようなことはなかったんですね。漠然としていたんだと思います。でも、なんとはなしにTwitterでいろいろな方と交流を持たせてもらいました。

そんななか、出会ったのが、Le:selfさん。

Le:selfさんとは臨床心理士スナックで初めてお会いしました。

お話ししていると、僕らのそれぞれの臨床における対象は同じではなかったのだけど、でも共通点がありました。簡単にいえば、僕らは「望まない支援を提供していた」と言うことだったんです。

僕はある教習所において適性検査のカウンセラーをやっていました。旅客や貨物などの業務を行う会社は、従業員にある検査を受けさせることになっています。僕はその検査とそれに基づいたカウンセリングをする仕事をしていました。

この仕事で出会う人たちは、会社から受けて来いと言われてくる人たちばかり。中には事故を起こした人もきます。いずれにしても、自分から望んでということはほぼない人たちなのです。だから、はなから僕と話をすることなんて望んでいないんです。

だから、ある時は、「こんなのやったって意味がない!」とか言われ、またある時は、悪い結果を前に「俺はずっと無事故無違反でやってきたんだ!」と怒って帰る人もいました。

画像2

ある時、危険な運転をして事故を起こした人がやってきました。その日初めて会った人ではあったけれど、どこか人としての温かさを感じられる人でした。話を聞いているとこう言いました。

「自己中心的な運転をしている人を見ると、感情的になってしまう」

その背景には、自分勝手な自分の父親がいて、それを思い出してしまうということに気づいたようでした。僕は、何かわかってもらいたい気持ちを感じていました。でも、時間いっぱい。また会える人ではないため、カウンセリングというものがありますよ、と紹介して終えました。

また、前回お話で出てきた精神科デイケアでの患者さんは、僕の関わりを望んでいるわけではありませんでした。ただ隣にちょこんと座って、僕という人間がここにいますよというメッセージを出していくところから始まりました。ちょっとずつお話しする関係を作り、ちょっとずつ関わりを増やして、信頼関係を気づいていく。その上で、治療上必要な働きかけをしていくということだった。だから、動機も、カウンセリングでいう「枠」もほとんどないみたいなところでした。

Le:selfさんも腎臓内科に受診する患者さんに対して、自ら声をかけていくというスタイルだったそうです。主治医から患者さんに対して、カウンセラーとお話ししてみてという話があっても、そこには動機はなかった。だから、関わりを望んでいないような人たちへの働きかけをしていかなければいけないところだったそうです。

そんなLe:selfさんと話をしていく中で同じように思っていたのが、心理支援を受けてもいいとはずなのに、それがこれまで届かないような人たちにリーチする支援をしていきたい、ということでした。

そういう人たちが、まだまだたくさんいると僕らは思っています。その原因は、「カウンセリング」という言葉が、むしろカウンセリング を遠ざけてしまう現状さえあると思っています。それをどうにかしたい。そんな思いも共有しました。


僕らができること

経験が浅いから、見立てが不十分だったり、展開を予測できなかったりする。だからこそ、指導や教育や研鑽が必要なんだろうと思います。そうは言っても、そこに厳しさが必須なのかどうか、僕にはわかりません。それを求める人もいるんでしょうし、本人が求めなくても周りから見て必要そうな人もいるのでしょう。

ねこのてさんのGSVに参加させてもらって、わかったことがあります。自分が望んだ場所は巡り合える可能性があること。そして、自分が望んだ場所を作っていくことが誰かの望んだ場所になるんだということです。きっかけは、そこにあった気がしています。

そして、僕にとって、全てを包括する場所を作る必要はないんだというの前向きな諦めというか、開き直りがひとつの答えに行き着いた気がします。

画像3

杉原先生の言葉を借りると、僕らにとっても「大事なことは、苦悩を抱えている人、助けが必要な人に、より効果的な支援を届けること」であり、それはクライエントに限らず、仲間である支援者に対してもそうだと思っています。

そういう意味で、自分にできることならと、MOSSに出演させていただいたりしたこともあります。何か業績とかなくても役に立てることがあるんだと思いました。

そして、MOSSは新たなイベントを企画しています。光栄なことにまたそこに出演させていただくこととなりました。もっと優秀な方々いらっしゃるんです。でも、MOSSの案内をお待ちいただけたら幸いです。(ちょっと宣伝


ひとは、みんな、つながりたい。

僕はそうじゃないかと思っています。でも、そう思っていても、口にできない大人は多い。だって、そう言うと、なんか出会いばかり求めている下世話な人に思われてしまう。そんな気がしてしまうんですよね。でも、本当のところはそれだけなんかじゃない。

人と出会えると、自分の知らないことを知っているワクワクとかどんな人なのかを知っていくドキドキとか、なんとも言えない刺激を受けます。きっと世の中に生み出されているものは、いろいろな出会いでできていると思います。

画像4

相談したい人も、確かに悩みを聞いてもらいたい、解決したい、楽になりたい。そんな気持ちを持っているのだろうけれど、そのサービスを求めている場合もあれば、”その人のサービス”を求めている場合もあるとも思うのです。誰でもいいというわけじゃない。だからいまだに「どこで信頼できるカウンセラーと出会えますか?」という質問は、あちらこちらで宙を舞っている。

そしてそれは、僕らのお客様となる相談者の人たちだけじゃなく、同じ心理職だってそうだと思います。どこのGSVでも良いわけじゃなかった。だから、その選択肢を増やし、誰かを支えていく網の目を増やしていく必要がある気がしています。そのために、「つながるための何か」を提供していかねばならないと思っています。

Le:selfさんのこちらの新サービスは、そんな想いがギュッと詰まっています。

”スーパーバイズ”、”コンサルテーション”というと、少し敷居が高く感じる方も多くいらっしゃるかと思います。
Le:selfはあくまで気軽なこころケアにアクセスできる場所。

https://leself.jp/information/start-leself-peer-talk/


そのつながりはもう始まっている

そうして僕らの「優しくつながれる場所」を作っていくために、Le:selfさんと協力していくことにしました。

コミュニティを想定しているのは変わりません。ただ、現時点では、約5年目までの若手心理職を中心としたイベントを企画していくつもりです。9月にはご案内を出せるように準備しています。

Twitterでも、noteでも、あなたとのつながりはもう始まっていますね。


画像はこちらから。https://unsplash.com/


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
19
臨床心理士、公認心理師です。人の心に関する問題はたくさんあります。社会にも心理職の世界にも。だから、新しい何かでよりよいものにしていきたいです。noteではそんなことを発信していきます。 Twitter https://twitter.com/gungnir49/