見出し画像

【夜更け】-NAGASAKI SEA SIDE HOTEL月と海-

良い宿に泊まると、心が洗われませんか。
素晴らしい空間に、素晴らしいスタッフのサービス。大切な人と泊まるのも良いし、一人で過ごすのも良い。宿には百人百通りの過ごし方があるから良いと思うんだ

お久しぶりの方も、初めましての方も。
おふろcafé utataneというおふろ+カフェ+ホテルの施設でホテリエをしているぐちこです。今回も宿への愛を綴っていきますね〜。

3月に行った長崎。少し寒かったんだけど、また夏に行きたいな〜
絶対気持ちいいだろうな〜

伝えたい想い

HPに記載されている宿のメッセージ。
お客様にどんな世界観を体験していただきたいか、どんな過ごし方をしていただきたいかが記されています。僕が思うに、ホテリエにとって、
宿を営む理由が詰まっているもの。

ゆっくりゆくものは、遠くまでゆく。
Chi va piano, va sano, e va lontano.


旅に出よう。
できれば、うんと遠くまで。
地が果て、海が始まるところまで。
漕ぎ出そう。
できるだけ、ゆっくりと。
わたしをゆだねる、静かの海まで。
長崎・茂木にかつてあった、いけす料亭「恵美」。
その賑わいの記憶を引き継いで、
海を望むホテルに改修しました。

2階の部屋の窓枠からは、
絵画のように切り取られた海と月あかり。
階下には橘湾の幸を提供するレストラン。

この町に流れる悠々とした時間、
あなたなら、どんな風に楽しみますか。

画像1

(NAGASAKI SEA SIDE HOTEL月と海のHPから抜粋)

いや〜もう、たまらんですね。
宿のスタンスって僕は二つあると思ってます。

一つはコース料理のような楽しみ方。
型があるというか、宿側がこうやって過ごして欲しいというこだわりが詰まった宿。旅館とか、コンセプトルームとかはこっちのスタンスですね。バックグラウンドや年齢など、一概にはカテゴライズできないゲストがお客様という点では、あまり多くないと感じます。

もう一つはアラカルトのような楽しみ方。
ある程度の導線は引いているものの、あとはゲストの過ごしたいように過ごせる宿。ホステル、ゲストハウスなんかはそうだと思います。宿側は空間を用意するだけであとはゲストの自由。大規模ホテルなんかも実はこっちなのではないかと。料理はビュッフェ形式だったり、共用部がかなり充実していたり、ルームサービスの幅が多いので。


もちろんプランによって、部屋によって、時期によっても過ごし方は変わると思います。どっちがいい悪いはないのです。宿のこだわりを感じられるのもいいし、あらゆるゲストがそれぞれの過ごし方ができるのもいい。

画像2

(NAGASAKI SEA SIDE HOTEL月と海のHPから抜粋)

そういう点で、月と海は、スタンスとしては限りなくコース料理に寄ったアラカルトなのではないでしょうか。それは選択肢を狭めているのではなく、コンセプトがはっきりしていて、色が出ているという意味でです。




名前に惹かれて

宿選びの基準は人それぞれ。
誰かの評判や、ランキングではなく、
自らの感性が赴くままに選ぶ人が、
そして選ばれる宿が一つでも増えてくれたら。

自然の名前が入っている宿は多くあります。
そういう客室も多くあります。

でも、このNAGASAKI SEA SIDE HOTEL月と海はただ名付けられているのではないのです。さて皆さんは、月の名前、いくつ知っていますか?







新月、満月、三日月、上弦の月、下弦の月.....
僕は覚えてるのこのくらいでした。

日本語とは美しいもので、
月の満ち欠けによる言葉がたくさんあります。

画像3

(NAGASAKI SEA SIDE HOTEL月と海のHPから抜粋)


新月
繊月
三日月
上弦月(=七日目で約半分)
小望月
満月(=十五夜,望月)
十六夜
立待月
居待月
寝待月
更待月
下弦の月(=二十三日目で約半分)
有明月
三十日月
新月

大晦日は三十日(みそか)の次の日だからとか、
童謡の十五夜お月様は確かに満月だとか、
そもそも三日月は三日目だからとか、
調べてみたら確かに〜!の連続。

画像4

月の満ち欠けを4等分した時に、満月が欠けていく場面で名付けが多いのは満月から欠けて行ってしまう....という日本人の風流かもしれません。

NAGASAKI SEA SIDE HOTEL月と海さんの客室はこの満ち欠けの名前が付けられていて、その名前に合わせた内装と、設えが施されています。使い方も名前ごとに違ったり.....あなたに合う客室がきっとありますよ。

画像5



予約できるかできないかも含めて、
その名前との縁や相性と考えるのもいいのかも。



出逢い

宿との出逢いは人との出逢いと同じようなもの。
言葉を交わさなくても、何かを感じることもある。
時間をかけることによって分かることもある。
目に見えないものこそ本当の魅力かもしれません。

月と海があるのは茂木町といって、長崎の町から少し離れた港町。僕がここを訪れたのも、博多からハウステンボスに行って、長崎を経由した後でした。


ハウステンボスから車で長崎に向かい、ご飯も食べた後だったので、辺りはすっかり夜が更け、いくつかの街灯があるだけで、波の満ち引きの音だけが聞こえる静寂に包まれた港町。


それでもポツンと灯りが見えたのが今回の宿。月と海。普通なのかもしれませんが、僕らがチェックインするまで灯りをつけて待っててくれました。それはまるでここだよと教えてくれる目印になるかのように。それが僕にとってはホスピタリティに感じて。駐車場が離れた場所にあるので、そこへ駐めに行こうとすると、荷物だけでも!と宿の方が受け取ってくださいました。小雨が降り、海風が強い夜だったというのに。

画像6

静寂に包まれた海を横目に、慌ただしい心境で宿に到着しました。そういえば、宿に着くときの心身の状態って宿での第一印象を決めるかもしれないなーと感じています。長旅や慌ただしい中でのチェックインでは静かで落ち着きがあって、そしてふかふかのベットが嬉しい。日々の生活になんだかハリがないのなら、ワクワクする仕掛けや違う視点をもたらしてくれるアートとか、刺激を求めていたり。

画像7

宿としてもそうだけど、ゲストとしてどういう宿での体験をしたいのかに応じて宿を決めたり、部屋を決めたり、そしてチェックインまでの時間を過ごすかを決めてみてもいいのではないでしょうか。


今回の僕は完全に何も考えず、ハウステンボスで遊び疲れ、運転での緊張と、雨でどんよりした中でのチェックインでした笑(だからこそ、暖かみのある対応と明かりに救われた...!)



高級じゃなくても確かなこだわり

元々が『いけす割烹 恵美(昭和初期創業)』という料亭だったという建物。古さを感じさせないリノベーションの中にも、料亭のエッセンスは脈々と受け継がれていました。

画像8


スタイリッシュなんだけど、フライパンの看板っていう
柔らかさも感じつつ、ただ、ちゃんと本物の鉄フライパンだし、そういうこだわりですよね。

画像9


波まち食堂mogのキービジュアルになっている絵画。
洗練されたデザインの中にこれがあるのがめちゃくちゃインパクト。

画像10


部屋の中もすっごいこだわりの設えがあったんです。でもそれは、宿泊してから感じてみてください。HPの写真では感じられないものが感じられると思いますよ。

画像11


あたりが静かになり、波の音しか聞こえなくなったときに部屋でテレビもつけず、ただ時間がすぎるのを感じる。いつもと同じ10分でも、中身の濃さが全然違う10分を過ごすことができるのではないでしょうか。この落ち着いた雰囲気を醸し出しているのは、きっと、この宿が辿ってきた歴史と、各所に見られるこだわりなのだと思います。



再会の約束

チェックアウト直前、いろんな部屋があることを知っていた僕は、他の部屋も見たいな〜と思って、部屋の外側から部屋毎に違う名前が書いてあるプレートを眺めていました。

この名前の部屋はどんなお部屋なんだろう....きっとベットがこう置いてあって、この名前ということは、月がこの時にこう映える、ということは照明はこうして.....

画像12

そうしているうちに、ベットメイクの方がいらっしゃってしまいました。また今度かなと思っていると、「今日は他にお客様いらっしゃらないし、何なら全部屋見ていく?」と。もう、心の中はうわぁ〜で一杯です笑
こういうのが小さな宿の魅力だし、まるでルームツアーをしていただいているように、どんな人が泊まって、どんな魅力があってなど細かく伝えていただきました。

画像13

よくよく考えると一番お部屋の事を知っているのはベットメイクの方。最前線の現場に毎日いるからこそ、広報でもPRのプロでもないのに、こんなにもスラスラと言葉を並べ、僕に魅力を伝えてくださいました。普段、utataneでホテリエをしているので身にしみていますが、やはり最前線が主戦場であり、表舞台です。一番お客様に寄り添えるのも現場で、一番クレームや嫌な事を受けるのも現場です。でも、だからこそ一番感動を演出して、価値提供ができ、お客様の幸せを感じられるのも現場なのです。


次はどの部屋にしようかな〜
そしてあの人は元気かな〜
そんなことを思いながら、宿を後に。




静と動の二面性

僕がNAGASAKI SEA SIDE HOTEL月と海で感じたのは、静と動の二面性。それは目の前の海の姿と、翌朝の時間です。

画像14

昨晩とは打って変わって穏やかな水面と、朝日がとても眩しい姿が客室から広がっていました。茂木町の海は東向きなので、夕焼けよりも朝日がとても綺麗なんですよね。そういえば、日本海側、太平洋側とあるけれど、同じ都道府県の中で、夕日と朝日で楽しみ方が変わる海沿いの県って珍しいかもです。(ちなみに次回、対の長崎で夕焼けの素晴らしい宿を紹介します!)

画像15

眠い目を擦りがなら、一階のレストランに降りると、そこには眩しい空間が広がっていました。海まち食堂という名前にふさわしく、朝早くから朝食の準備をされている元気のいい地元の方々と、窓一面から差し込む朝日。港町の朝は早いんだよな。(確か朝食8:00だった。)

画像16


予約時点では朝食の情報がほとんどなく、バケットや軽食のパンなのかな?と想像していました。「洋食と和食どっちがいいですか?」と聞かれたので、一つずつ頼みました。この時点であれ?って感じなんですが、出てきた食事をみて、あれ?があれれれ?になります笑

画像17


これ、最高では?
湯気写ってるのは奇跡笑

元々定食が好きなんですけど、こんな定食食べれるのなら移住したいと思うくらい色鮮やかで新鮮な一品一品でした。

画像18

洋食も良くて。
飾らないんだけど、洗練されてるのが食器からも伝わってくるんですね。洋食も詳しくは泊まってから...!!

こんなにもキラキラとした朝を迎えられるのは、昨晩があったから。静寂に包まれた夜が魅力的だと、光が入り込み、人々が動き出し、活動が始まる朝はもっと魅力的になるなんです。

画像19


静寂がある地方で、そしてすぐ目の前が海に面した港町、かつ目の前から朝日が昇る長崎の茂木町だからこその二面性を持った宿だと感じます。今度はゆっくり月を見に来たい。。。。



画像20

最後に。
『NAGASAKI SEA SIDE HOTEL月と海』お気に入りの一枚。
このライト探してみてください〜


では、また次の最高の1日で。

ぐちこ。1997年、福井生まれ福井育ち。京都の大学に進むも、大学時代は体育会のボートに打ち込み、大半を滋賀の琵琶湖のほとりで過ごす。地域に関わる仕事がしたいということで、“地域を沸かせ”をミッションにしている株式会社温泉道場に進む。おふろcaféブランドの旗艦店での宿泊業務を担当することでホテルへの関心を強め、月に2回ホテルに泊まる生活を始める。ちなみに『ぐちこ』は中学時代、たった一人だけに呼ばれていたあだ名。




この度はサポートいただきありがとうございます。 少しでも皆様が元気になったり、ためになるコンテンツをお贈りしますので、どうぞよろしく御願いします。わからないことがあれば、いつでもご連絡待ってます!