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マクナマラ回顧録を読み終えて…

当時の国防大臣であるマクナマラ氏が、ベトナムの失敗を振り返るという本でした。

とにかく当時のやりとりを丁寧に追うわけで、なかなか手早く読むというわけにはいかないのです。さて、この本から私が印象強く感じた点は以下の通りです。

1:いつの時代でも「決断」をすることは難しい。

ベトナムからアメリカが撤退をするタイミングはいくつかあったのにそれがなされなかった。結局ズルズルと状況を引っ張ってしまいました。

2:「決断」をするのに十分な情報が揃っていない時には特に。

決断ができなかった一つが、情報の不足です。当時の中国やソ連の情勢や、アジアの状況、ベトナムでの戦争の捉えられ方、国民の状況、などなど。その中で、ドミノ効果を恐れて、ベトナムからの撤退ができなくなってしまったわけです。

3:「決断」するために忘れてはいけないのは「原則(理念?)」といったもの

忘れてはいけなかったのが、これが「南ベトナム」のことであり「南ベトナム」が主体として北を排除して国として確立していきたい、ということがベースである、という点です。

あくまでアメリカは主体ではなく、南ベトナムのサポーターであったはずが、その原則がいつの間にか忘れられてしまったわけです。原則に従っていれば、もっと早くに決断を下せたかもしれないわけです。

結局、人間はあんまり変わらない

情報網が当時から比べれば発達したことで、情報不足という点はだいぶ変わってきたでしょう。とはいえ「決断」を下すのは最後は人です。

こういった回顧録を読んで、その教訓となる部分が古びていかないということには複雑な気持ちを持ちます。人間も、その人間が集まる組織も、時代が進んでもそう簡単には変わらないもののようです(少し前に半藤氏の「昭和史」も読みましたが、その時も同様な感想を持ちました。国も時代も違うんですけどね)

だからこそ、時に過去の歴史に触れて、そこから思い直したり、見直したりしながら少しはマシなように行動をしていこうとすることが必要なんでしょうね。


さて、2021年も色々とありますが、これからどうなっていくでしょうか?

将来、歴史の中ではどのように記述されるのでしょうか?


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