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【雑記】『TUGUMI』を読んだ

吉本ばななの『TUGUMIつぐみ』読んだ。気が付いたら、なんか流れで読んでしまっていた。そのあたりの事情を少し書いてみる。

もともと、”世間で話題の~”のようなものには妙な反発心があって距離を置いてしまう性質たちである。『TUGUMI』についても長年放置していた。

少し前にあることを思い出した。中学生時代の淡い恋物語だった。それをネタにまた短い文章を書けないか思いを巡らせていたのだ。

今回、頭の中にあったキーワードは「病弱な美少女」。自分の初恋の相手がまさしくそれだった。前に少し書いたことがある。

「病弱な美少女」キャラは言うまでもなく(そう思っているのは自分だけかも知れないが)創作における王道キャラである。

前掲の初恋の話は小学校時代のことだった。実は、まあ恥ずかしながら、中学になってすぐにまた好きな女の子ができた。なんと、その娘もまた持病があり学校を休みがちだった。そして、美少女なのだった。病弱だから惹かれるのか、はたまた惹かれた女の子が、たまたまそうなのか、今となっては知る由もない。

さぞかしその娘はモテたんだろうな、と思われるかも知れない。どうやらそうではなさそうだった。むしろ敬遠されている気配を感じた。別の小学校からの娘だったから、自分は一目でその美少女ぶりに惹き付けられたのだが、小学校から一緒の皆さんはなんかよそよそしい態度なのだ。その理由わけは時間の経過とともに理解できた。

思ったことをそのまま口にする娘で、簡単に言えば、我がままで気分屋だった。

自分の場合、小説を書こうとする時、経験をネタにすることが多い。現実の出来事だろうが誰かが作った仮想現実だろうが(小説だろうが映画だろうがゲームだろうがなんだろうが)、自分の見聞きしたものがネタになっているのは間違いない。

もっと言えば、多くの日本人は共通理解としての日本語を介して泣いたり喚いたり呟いたりしている。全く無からの創造物など世に存在しない。先人たちの知恵を少なからず拝借するしかないのだ。

ネタをベースにどれだけ物語を膨らませることができるか。そこが鍵となるのは承知しているが、悲しいことに自分は絶望的にそれが出来ない。自分の経験した現実の出来事をそのまま書いてしまった方が面白いものが書けるのではないかと思ったりする。

偶然、何かのタイミングで自分の頭の中と現実が目の前で交錯することがある。その時、頭にあったキーワードは「病弱な美少女」で、彼女は「我がままで気分屋」だった。実はそれは『TUGUMI』の設定そのものだった。それを知ったのは、たまたま見ていたテレビ番組のゲストに、吉本ばななが出ていて『TUGUMI』のことが少し話題になったからだ。

気になってすぐにPCで検索してあらすじを確認すると、不思議なことに、そこで「病弱な美少女」で、しかも「我がままで気分屋」というキーワードが繋がったのだのだった。すぐさま書店に走り、文庫本を買った。

こんな流れでたどり着いた『TUGUMI』であるが引き込まれるように一気に読み終わった。思春期の少年少女達によるひと夏の物語は自分の大好きなシチュエーションでもある。

ひと夏の物語と言えば、前に紹介したこの小説もそうである。

読み終えた後に、物語の登場人物たちと一緒にひと夏を過ごした後のような充実感と軽い疲労感、夏の終わりの寂しさを覚え、心地よく眠りにつくことができた。

これから自分が書こうかどうか思いを巡らせていた「病弱な美少女」の物語であるが、『TUGUMI』を読んでしまった今となっては、また違ったものが書けるのではと少し期待もしているが、気が付かないうちにどこか似通ってしまわないか不安でもある。

まあ、頭を抱えて唸っていてもしょうがない。どれぐらい先になるかわからないけれどやっぱり何か書いてみたい。結局、シンプルに自分が書けるものを書くしかないのだ。

創作大賞などとは、ほど遠い今日この頃である。

ではでは。

 
 
 



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