指導現場で発達心理学を知っておくイミ
みなさんこんにちは。
指導が1週間お休みになるだけで、一気に感覚が変わっちゃうなぁと感じております。
大学3年生の大杉です。
さて今日のテーマは、指導×発達心理学です。
指導現場において、なぜ発達心理を学ぶことが必要なのか?
実際に教育学を学んでいる方はたくさんいると思いますが、ここでは私自身の改めての理解も目的として、少し見ていきたいと思います。
発達心理学とは?
そもそも発達心理学とはなんなのでしょうか?
発達心理学は、
人の心と体がいつの時期にどのように変化するのか、特徴を解き明かして「発達の物差し」を調べていくこと
です。
発達心理学における「発達」は、ある時期までというよりも
人生の中で絶えず行われている心身の変化
を捉えたものであり、発達心理学ではその「人生の中での発達」について深く研究しているということです。
なぜ発達心理学を学ぶのか?
教育の中で知っておく意義
教育の中で発達心理学を知っておくメリットはいくつかあります。
というよりも、
知っておかないと困る
ことがたくさんあります。
ここでは、それぞれのライフステージでの指導現場におけるメリットをいくつか見ていきたいと思います。
保育
発達心理学を学ぶことで、まず保育分野では
「発達のものさし」に合わせてこども一人ひとりの発達段階を見ることができる
子どものできること、難しいことを年齢に応じて理解することができる
子どもの考え、特性の理解につながる
各ステージにおいて、適切な目標設定や課題解決へのアプローチができる
というメリットがあります。
特に幼児期は、子どもの発達において
・言葉の発達が大きく進む
・自己中心性の強い時期
・遊びが増える
・感情を知っていく時期
であることから、子どもの気持ちの理解であったり関わり方であったりが特に難しい時期だと私は思います。
そんな中で、
子どもはどのように感情、社会について学んでいくのか
どういった意図でどんな行動が起きるのか
どんなタイミングで、どのように発達していくのか
を発達心理学を通して知ることで、対処法やアプローチの際の一つの指針を得ることができます。
小学校教育
小学校段階は、「他者」をより強く認知するようになります。
つまり、自身の外側の世界にも強く興味を持つようになるのです。
そのため、他者と協働できる環境設定が必要となります。
ただ、小学生になったからといっていきなり他者と関わることができるようになるわけではなかったり、他にも他者と比べてしまうことによる自尊心の低下、自己肯定感の低下も引き起こされてしまったりする可能性もあります。
そこで発達心理学を通して、子どもの発達段階による他者と関わることで得られる、成長できるレベルを知っておいたり、自己肯定感を高める関わり方を知っておいたりすることは重要です。
他にも、小学校段階では動機づけによるモチベーションの変化であったり、発達障害の傾向が子どもによってははっきりしたりしていきます。
発達障害については、大人の発達障害について記したものにはなりますが、こちらもご覧ください。
そういった意味でも、
仲間と協働していくことに加え、
子ども一人ひとりのやりたいこと、特性を理解すること
はこの時期においてとても重要です。
その一つの補助ツールとして、発達心理学を知るという方法があります。
中学・高校
中学、高校のいわゆる青年期には、
体も心も大きく成長します。
体の成長(第二次性徴期)に伴う戸惑いや感情の変化があるのはもちろん、
反抗期や思春期を迎えるなど、心の面での変化がとても大きいです。
その中で、深い悩みを抱えるようになる人が増えるのも事実です。
この図はオーストリアのビクトリア州のものですが、先進国では大体同じ形になるそうです。
これを見るとわかるように、10代から精神疾患が一気に増えています。
発達心理学を学ぶ、知ることで、どんな時期にどういう悩みが出てくるのか、どうしてそういった考え、悩みが出てくるのかを理解し、対処に繋げる糸口とすることができます。
他にも、この時期は物事を論理的に、抽象的に、深く考えるようになります。
それだけの能力を持てるようになる、ということです。
他にも指導で使える発達心理学
指導の中で、すべての年齢を通して発達心理学を活かせる場面はたくさんあります。
例えばエリクソンの発達段階です。
エリクソンは、人生の中で8段階のステップを設定し、目安の年齢で得られる発達課題と、それと同時に身についてしまう恐れのある社会的危機を示しました。
例を挙げると、幼児期前半には服を着るなどさまざまなことができ、規則正しい習慣を得ることができるようになり、自律性が高められるが、同時に失敗した時に自身に対して恥や疑惑を覚えることもあります。
こういった発達段階を知っておくことで、子どもにその段階で何ができるか、何が難しいのか、どういう失敗をさせすぎると良くないのかを理解した上での指導ができるようになります。
また、発達心理学を活かすことで、各ステージに適した環境設定ができるようになります。
例えば運動指導の際、幼児期(年長まで)はコーン一つをとっても、その間隔や大きさ、色が違うだけでそれを全く別のものと認識したり、数が同じでも大きさが違うと感覚的に大きい方が多いと思ってしまったりします。
そのため、できるだけ必要な差分以外の要素を揃えるように意識したり、
逆に年齢が上になってくるとそういった数や感覚がなんとなくでも理解できるようになるため、設計や準備を幼児期よりも簡潔にしてメニュー時間や量の効率化を図ることができたりと、年齢に応じた工夫ができるようになります。
最後に
ここで紹介した以外にも、発達心理学を学ぶことで指導で活かすことのできる考え方、知識はたくさんあります。
ただ、ここで知っておいていただきたいのは、発達心理学は、各ライフステージにおいて最適な指導、教育をするためのあくまで一つのツールです。
今回はこれを学ぶ意義、どう活かせるのかを簡単にお伝えしましたが、大切なのは
発達心理学だけで指導が完璧になるわけではない
という点です。
理論はもちろん大切ですが、それだけではなく子ども一人ひとりをみて、寄り添ってあげること、機械的ではなく愛を持って接すること、子ども一人ひとりに対して個別最適なアプローチを考えてあげることが非常に重要です。
よく、子どもにこちら(接する大人)の気持ちが伝染する、伝わると言いますがその通りで、こちらが無感情に接してもいい指導はできません。
寄り添うための方法を知り、活かせるツールとして発達心理学を持っておきながら寄り添うこと、そして、指導、コーチングに完璧はなく、常に自身をアップデートしていくことが、指導していく上で重要です。
これを機に、発達心理学について学ぼうと思っていただける方が少しでもいれば幸いです。
私も、この記事を書きながらもっと深く学んでいきたいと思いました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
それではまたお会いしましょう!
参考文献
・よくわかる発達心理学 完全カラー図解
監修:渡辺弥生 発行:田村正隆 発行日:2021.10.5
・学校保健ポータルサイト
https://www.gakkohoken.jp/special/archives/220
最終閲覧:2024.4.27 23:56
・サンキュ!ベネッセ
https://39mag.benesse.ne.jp/kosodate/learning/content/?id=113347
更新日:2022.1.24 最終閲覧:2024.4.27 23:57
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