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グループ学習の形態と効果〜教育実習の学びも含めて〜

みなさんこんにちは。またまたお久しぶりになりました。
大学3年生の大杉です。

さて、私実は教育実習に行っておりました。
だから投稿数が少ない、ということにさせてください。。。

もちろん実習校であったことなどは持ち出し禁止なので詳しくは話せませんが、まあ実際に授業をやるのは難しいですね。
生徒全員の意見は拾えないし、レベル別学習も本当に幅広い生徒がいるから難しいし、目的に沿って計画したら面白みのない授業ができちゃうし、、、

なんとも悩みが多いこの頃ですが、ちょっと授業で研究してみたいこともいくつかありまして、今回はその一つについてお話しします。
そのうちの一つは、グループ学習の効果についてです。

アクティブ・ラーニングについて

この議題に触れる前に、知っておかなければいけない情報が一つあります。
それは、「アクティブ・ラーニング」についてです。

厳密にいうと、グループ学習がメインというよりは「アクティブ・ラーニング」の可能性について実践を元に考えたいのです。

この「グループ学習」と「アクティブ・ラーニング」は切っても切り離せないというか、アクティブ・ラーニングの手法の一つとしてグループ学習が位置づけられているようなイメージです。

アクティブ・ラーニングとは

ではそもそも、アクティブ・ラーニングとはなんでしょうか。
京都大学高等教育研究開発推進センター教授の松下佳代先生の編著したものより一部抜粋させていただくと、

「アクティブ・ラーニングとは、学生にある物事を行わせ、行っている物事について考えさせること」

『ディープ・アクティブラーニング 大学授業を深化させるために』序章

ということだそうです。

つまり、授業をただ単純に聞くだけではなく、例えば読む、議論する、書くなど様々な活動を行いながら学んでいく形態のことです。


なぜアクティブ・ラーニングは行われているのか

では、そもそもなぜアクティブ・ラーニングは行われているのでしょうか。

その背景には、現在・未来・世界と様々な要因が絡み合っているのです。ここからはちょっと長くなります。聞いたことのあるワードもいくつか出てくるかと思いますので、要点をかいつまんでお読みください。


近年、知識・情報・技術の発展が顕著になっています。そこで注視されているのが、AIの進化、情報化やグローバル化の加速です。

いずれ仕事のほとんどはAIに奪われると言われているくらい、AIの発展は目覚ましいです。

そんな中、人間にしかできないこともあります。
それは、感性を豊かに働かせ、自身で目的を設定すること。そして、そこに対してのアプローチを工夫したり、多様な他者と協働したりできることです。
AIは確かに有能ですが、それでも可能なのは人間に与えられた目的の中での処理でしかありません。それ以前に必要なのは、人間が何を考え、どう実行するか、そのために何を使うかを豊かな発想により導き出すことです。

このために必要な力を成長の中で育むのが、人間の学習です。
予測できない変化に主体的に関わり、その中で自らにできることを発見し、能力を発揮できるように学んでいくのです。
そのためには、自身の周りに流れてくる様々な情報や出来事を受け止め、自身で適切な取捨選択をし、自分で社会をどう描き、どう生きていくかを考えられるような力の育成が必要となってきます。

また、幅広い社会や世界の情勢を視野に入れることも重要になってきます。

そのための「学び方」の一つとして提唱されているのが

「アクティブ・ラーニング」

なのです。

アクティブ・ラーニングで達成できること

アクティブ・ラーニングは、知識の理解の質を高め資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」のための手法の一つです。

「主体的・対話的で深い学び」について少し深掘ります。

主体的な学びの面では、自身のキャリア形成の方向異性と関連付けを行ったり見通しを持って粘り強く取り組み続け、自己の活動を振り返ったりすることを目指しています。

対話的な学びは、生徒同士の協働、教職員やその他の人との関わりの中で考えを広げ、深めることを主題として置いています。

深い学びは、習得・活用・探究という学びの過程の中で各教科に応じた「見方・考え方」を働かせながら考え、課題を解決し、さらに創造することを目指しています。

特に、アクティブ・ラーニングでは深まりを欠くとただの表面的な活動になりかねないことからも、「見方・考え方」を学びの深まりの鍵として重視しています。

アクティブ・ラーニングは「今まで+新たな活動の時間」ではありません。現在すでに行われている活動を、主体的・対話的で深い学びの視点で改善し、充実させるための活動です。特徴としてはただ単一の授業の中に盛り込むだけではなく、単元や題材のまとまりの中で、指導内容の繋がりを意識しながら、時には他教科とも絡ませながら理解を促し、重点化していく事があります。

グループ学習の種類と目的

では、そのアクティブ・ラーニングの形態の一つである「グループ学習」とは何でしょうか。これも簡単に解説します。

グループ学習とは

ひとえにグループ学習といっても、その目的は様々です。
ただ、全体に対して言えるのは学び合いを深めるための一つの有効的な手段であるという事です。

グループ学習の意義

グループ学習を行う際には、そのねらいを明らかにする必要があります。何を目的にしてどんなグループ学習を行うかをはっきりさせないと、グループ活動の効果が薄れてしまうからです。

他にも、生徒の実態も大きく関係しています。
話し合いを行うと積極的に話し合うクラス、逆に自分で考える時間が多い方が考えが深まるクラス、話し合いの仕方によっては効果が下がってしまうクラスなど、その実態は様々です。

なぜグループ学習を行うのか、どうやって行うのか、誰を対象に行うのかは常に考える必要があるのです。
今回は、長崎大学さんの資料を参考にしつつお話しします。

ラウンドロビン法

さて、ここからはそれぞれの技法について見ていきたいと思います。

まずは「ラウンド・ロビン」という方法についてです。
これは、みなさんご存知ブレインストーミングの簡易版と言った感じです。
念の為ブレインストーミングにも触れておきますが、新しいアイデアをとにかく生み出すために、質より量で思いついた考えをどんどんグループ内で書き出していくといったものがブレインストーミングです。

この技法の目的は、ブレインストーミングと同じく質問や評価をせず、新しい考えを次々に生み出して課題解決にアプローチすることです。

質問や評価をせず、量を重視するという意味では、グループワークのアイスブレイクにも活用できそうです。

ジグソー法

ジグソー法は、簡単に言えばグループ内に「専門家」をそれぞれ作る方法です。
グループ内で一人ずつに別々に学習内容を振り分け、学習したのちに他のグループメンバーに自身の学習したことを共有する方法です。

教えるためには自身の調べる分野を十分に理解しなければならないため、授業への集中力を高めることにつながります。
また、大量の情報を各自で調べたり考えることによる意欲、やる気の低下も防ぐことができます。

とはいえ、一人で調べることに限界があったり、学習内容に齟齬がある可能性もあるため、最終的にはクラス全体などで確認することも有効です。

ディベート

ここでは、通常のディベートというよりはその簡易版で行います。
授業のテーマとなるような議題を一つ挙げ、それに対して肯定側と否定側を決めます。
そこから、それぞれの立場の根拠となるような事実・事例などを各グループで見つけ、反論のために反対側の意見も考えます。
最終的に短時間のディベート形式で議論し、お互いの意見を伝え合い、反論も行います。

この流れを行うことで、競争形式で楽しみながら調べ学習を行えること、積極的な授業への参加を促すことができます。
ここに役割分担などを加えると、クラスのチームビルディングとしての効果も期待できます。

ペアワーク

一番聞き馴染みのある言葉かと思います。
自身で質問に対しての答えを考えたのち、ペアを組んで互いにその答えを紹介し合うものです。
このとき、違いがあった場合にはお互いになぜそうなったかを伝え合うことが重要です。

このワークで、自身の考え、意見の共有とともに、多様な答えや考え方を知るきっかけを作ることができます。同時に、クラス内での交流を深めるきっかけともなります。

この後に、近くのペアも合体させて4〜6人組でもう一度共有し合うことも有効です。

グループ学習を行うにあたって

ここで挙げた以外にも、たくさんのグループワークの手法があります。


これは私の持論ですが、授業内の全ての活動にはそれを行うのが最適である理由と目的が必要だと思っています。

それが休憩でも試合でもグループ学習でもです。

よく、「教師はいかに楽できるか」という言葉を耳にします。

それはただ楽をするというだけではなく、すべての活動に意味を持たせていった結果、目的に沿った授業がスムーズに行えるため教師の予想外の事態や手間がなくなって結果的に楽になるという意味であると私は捉えています。

その「楽」のための手段として、これまでに投稿した「仕掛学」や生徒理解など仕組みづくり、そしてグループ学習があるのです。


だから、グループ学習は「なんとなく」であったり、「アクティブラーニングって言われてるからとりあえず話させておけばいい」であったり、「時間潰し」であったりと言った理由で行うものではないのです。

これまでに挙げたグループワークの手法は、なぜその場面でそのグループワークを行うのか、それによってどういう学びが得られるのか、主体的・対話的な深い学びにつながるのかなど、さまざまな理由を考慮して選ばれるべきものです。

最初はどれを使えばいいか、どう考えればいいか迷ってなかなか難しいと思います。しかし、慣れていくことでそれこそ「楽」に繋がり、さらに生徒にも深い学びを与えられるようになるのではないかと思います。


実際に私の実習の授業では、ペアワーク、ラウンドロビン法を主に使用しました。
単元的に、ジグソー法などは効果的でないと考えたため使用しませんでしたが、活用できそうな単元があれば使用していきたいです。
とはいえ、手段が目的になってはいけません。
さまざまな手法を使うのは生徒にも楽しさを与えられる場合がありますが、最終的な目的が授業での学びであったりクラスの活性化であったりと別にあることには注意したいです。

最後に

今日はグループ学習について、私の教育実習の視点からもお話ししました。

これからも、教育実習での学びはいくつか投稿しようと思います。

ぜひご覧ください。

参考文献

長崎大学 いくつかのグループ技法の紹介
https://www.innov.nagasaki-u.ac.jp/teacher/files/Int_yamajitmp4.pdf 最終閲覧:2024.10.2 18:47

石川県 小松教育事務所 学び合いを深めるグループ学習
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/komatsu/h27newpages/documents/jugyoukaisenn8.pdf 最終閲覧:2024.10.2 18:47

ディープ・アクティブラーニング ―大学授業を深化させるために―
藤江 康彦(東京大学) 
松下佳代・京都大学高等教育研究開発推進センター編
日本教育方法学会紀要 教育方法学研究 第41巻 2015年度


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