コロナウイルス連作短編その207「桃色、黒色、黄色」
「今日もまっピンクの服着てんな!」
待ち合わせ場所にやってきた川田神牙公のド派手に過ぎるピンクのジャケットを見て,西塔越智子はそんな叫びを投げ掛けた.これを聞いた牙公は両手を広げながら,胸をドンと張る.
彼のジャケットは果てしなく濃厚なピンク色に包まれている.眼球がこれを視認した瞬間に色彩そのものが網膜へと強襲を仕掛けてくると,そんな重みすら感じさせる代物だった.その圧力によって視覚を司る細胞が次々と弾けていく感覚をも越智子は覚える.不思議と不愉快ではない.
だが彼がこ