見出し画像

この仕事を選んだわけ ~「自己流」に胸を張る~

学歴コンプレックス


私は最終学歴が高卒。
この事に長い間コンプレックスを持っていた。

私が昭和的思考人間だったから(笑)

過去形で書いたのは、
その考えは今はもう忘却の彼方に捨て去ったから。
読み進めていくうちに分かって頂けるかもしれない。
わからなかったら・・・ごめんなさーい(笑)

受験に失敗して、父親から「浪人させる余裕はうちにはない」と言われ、
途方に暮れていたら地元に拠点のある事業所が拾い上げてくれた。
恐らく、高校側などが裏で(というと聞こえが悪いが・笑)
相当な努力をして下さったに違いないと思っている。

ありがたや。

しかし、4年後大卒の同級生たちが入社してくると、
それまでが無かったように、給与等あらゆる条件で簡単に追い越された。
うむむ、これが学歴社会というものか・・・と思い知らされた。

Yes!ユーキャン的な


ただ、ここでの経理課の仕事は今でも役に立っている。
簿記とか全く分からない状態で経理に配属になったので、
当時の上司や同僚には相当な迷惑をかけたと思うが、
お給料を頂きながら(ユーキャンに頼らずとも)簿記会計の勉強が出来た。
人生悪い事ばかりではない。

現在、個人事業主としての月次決算、年度決算、確定申告。
全てが苦じゃないし、結構要領よくやれている。
数学の方程式は死ぬほど苦手だけど、
会計に係る数字は複雑でも感覚的に理解できる。

摩訶不思議。


きっかけ


会社勤めや、その後も子育てしながらのパートという職歴の私が、
どうしてBag作家になったのか。

正直、これといったパンチの効いたきっかけや理由は無かったりする。
ただ、ちょこちょこ布雑貨などを作っていて、
それが周りから好評だったので、調子に乗ったのかもしれない。

そうだ、それだ!
調子に乗ったのだ。

これなら学歴関係ないし!(この時点ではまだコンプレックス)

しかし、まだその頃(2004年頃)には、
ハンドクラフト系の作家は認知度も低いし市民権もなかった。
ゴリゴリの職人でない限り「趣味の延長」や「手作りママ」というような
垢抜けないイメージだったように思う。

特に地方の田舎では。
その頃、私は愛媛県の南の端っこに住んでいた。

母からの英才教育と勝手にこじつけておこう


ただ私には、絶対に自分はそうならないし、そんなことも言わせない!
という「謎の自信」があった。

私は素材選びのセンスがあると思っている(言い切ったぞ!)
感覚で良いもの、感性に合うもの、色合わせが瞬時にわかるというか。
いわゆる「二宮さま、お目が高い」のだ(まだ言うか!)

勿論、失敗する時もあるよ。
人間だもの(急に弱気)。

そして、この謎の自信の根底には母の仕事が影響していると思う。

私は15歳で母を病気で亡くした。
その母は自宅で洋裁師をしていた。
主にオーダーメイドの婦人服。

参観日があるからと、服を誂えていた時代。
記憶としては自宅で細々とやっていたイメージだが、
腕前はピカイチだったよと、
母が亡くなった後もお得意様たちは口を揃えて私に言ってくれていた。

私の印象に強く残っているのは、膨大な量の服地や副資材たち。
繊維卸業者から送られてくる生地サンプルの荷物は、
私が封を開ける役目で、母より先に新作生地を見ることが出来た。

私は母の仕事部屋で過ごす事が多かったので、
常にこれらの素材を見て触れて色別に並べたり、
たまに端切れをもらって、リカちゃん人形の服にしていた。

激シブなレース生地とか(笑)
子供心に「え~・・・?」って思ったけど、
あれって結構高級なクチュール系だったような。

あの頃は今のような生地を扱う仕事をするとは夢にも思っていなかったが、
今思うと結果的に英才教育になってたんではないの?
こじつけもいいとこだけど(笑)

いや・・。
でも偶然は必然ってこの事かもよ。

とにかく、今とっても役に立ってる。
ありがとー!お母さん!と言いたい。

作品制作は独学


持っている感性に関しては皆さんに100歩譲ってもらって、
「母からの英才教育というバックボーン」という事にしておこう。

そして技術的な事や専門知識的な勉強はと言うと、
自分でコツコツと全て独学でやってきた。
勿論今でも継続中。ずっと勉強中である。

専門書を買って読んだり。
ネットで情報集めたり。
道行く人のバッグをガン見して、デザインや素材をメモったり。
取引先の方に聞いたり。
などなど。

手持ちのバッグをバラしたり。
バブル期に買ったブランドバッグをバラして元に戻せなかったという、
なかなかの苦い思い出もあるが、それもレッスン料!
と、自分に言い聞かせる。

今も昔もよく質問される。
「バッグ作るのどこで習ったんですか?」と。

独学です~と答えると、皆さんびっくりする。

すごいすごい!とべた褒めして下さる方が大半なので、
「もっと!褒めてちょーだい!」と、とてもいい気分になるのだが、
100%の賛同を得られないのが世の常。

「自己流」ですか~。あ~はいはい。なるほどね~。
なんて言い方をされる時もある。

その言い方に悪意が無く、言葉のセンスが無いだけの人ならいいのだが
(アンタの言い方も大概だよ!)
いかにもバカにした言い方をされると、
こめかみに血管が浮いて鼻の穴が全開になるくらい、ムッとしていた。


自己流上等!そこんとこヨロシク。


ある時またちょっと小バカにされて、
鼻の穴全開&鼻息フガーっ!と、ひとしきり暴れた後にふと思った。

よくよく考えたら、何でも始まりは自己流じゃない?
そうだ、私ってパイオニア。
自己流を極めてやろうじゃないの。
そうそう、ニノミヤ流!

こう考えることで気持ちが楽になった。
開き直りの精神って大事かも。

しかし、その代わりに仕事に関しては自分自身に常に厳しく接した。
だからか、他人にも厳しい。嫌われてると思う(笑)

この頃から結果が出始めたことも事実。
自分を信じてよかった。
少し自分に自信が持てるようになってきた時期。

そして「学歴コンプレックス」と「自己流と言われる悔しさ」が
同時に私の中から消えていった。
恐らくこの2つはリンクしていたんだろうと思う。

勿論、弟子入りしたり専門学校に通う方がいい場合もあると思う。
そっちの方が効率よくできることだってきっとあるんだろう。
もっと専門知識も素早く身につくかもしれない。

けれど、自己流も結構イケてる気がするよ。
回り道だっていいじゃない。

自己流で制作した作品を手に取って喜んで下さるお客様がいる。
そして、私にはリピーターのお客様が多い。
それが一番の答え。一番の自慢!

結果オーライ。

長い間抱えていた2つの重いものをストンとおろした。
ちょっと時間がかかったけど。
なんと身軽な事か!

だから胸を張って行こう。
自己流上等!!
そこんとこヨロシク。





#この仕事を選んだわけ

この記事が参加している募集

自己紹介

サポートで頂戴したお金は制作の仕入れ等に大切に使わせて頂きます。 Green thumbの作品だったり、Bag作家ニノミヤの感性など「アンタの事、何か気に入ったぜっ!」と思うものがありましたら、サポートをよろしくお願いいたします。