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Smoke&Blue 2019 Billboard TOKYO (佐野元春&TheHoboKingBand)

Now&Here#21

いつもそうなのだけどビルボード東京の
ライヴは気が引ける。
だいぶ慣れてはきたけど何か、
ぼくは場違いなとこに迷い込んでしまうん
じゃないかと思ってしまう。
でもツアーが始まり、
いくつかの噂を横目で見ながら
日々が過ぎていく毎に
「やっぱり観たーい!!」って
気持ちが満載になり、
今回も狙っていたライヴ開催日
1週間前になってみてから、
ビルボード東京に電話してみたら
幸運にもカジュアルシートが
ひと席だけ空いていたので、
お願いして予約してもらった。
ここのところお馴染みでとても
リラックス出来るステージを
見下ろす感じの最上階の席。

定刻にメンバーがステージに現れた。
1曲目 「ジュジュ」
アルバム「月と専制君主」のトップ曲
古田たかしのドラムスと井上富雄の
ベースラインがご機嫌なモータウンビート!
佐野元春&The HOBO KING BANDの
グルーヴが会場を一気に包み込む。
紫がかってシュッとしたスーツで
スチール椅子に腰掛けた佐野さんは
マイクを手にしてクールに唄い始めた。
つづくアルバム「月と専制君主」
からのタイトルチューン、
そして 「日曜の朝の憂鬱」から
「君がいなければ」長田進さんが
さばく6本の弦がフラットな日常の
様相を歪ませて独自の世界をあぶり出す。
「トーキョーシック」の前では軽く
ジョークを飛ばして、「クエスチョン」では
「少年のやるせない気持ち、
焦燥感を歌ってみた。」と話していた。
仕事のちょっとした疲れとビールのせいで
うっかり違った世界と現実を行ったり
来たりしながらウットリと眺めていました。
そして、佐野さんが27歳の時に渡米して
創り上げた アルバム「VISITORS」
当時リリースしたての頃は、多くの人に
「佐野くん、何かとち狂ったのか?」と
さんざん言われた。と軽く冗談ぽく
話していたけど、本人はかなり
傷付いたのだろうと思う。
でも、当時 このアルバム「VISITORS」が
リリースされた1984年5月,それまでの「NoDamege」を含む4枚のアルバムや
ラジオの虜となっていた、
ぼくらキッズはそのベクトルの
延長線上を想像していた。      
そのベクトルのとらえ方は様々だと思うけど、
ぼくのようなおおかたのキッズは
いくつもの佐野元春の行く先の中に
こういったスタイルの音が来るのを想定して
待ち望んでいたし、
実際にそのサウンドを耳にしてまさしく
GetStoned!してガッツポーズを
とっていた筈です。
重心の低いグルーヴが会場を包み込む。
「Complication Shakedown」
ぼくのスピリッツが現実に立ち返ってきた。
ボーカルはヒップなトーキングブルース。

What Is Hip?

つづく、スタジオライヴの音源で
しか聴くことの出来なかった
長田進さんのスライドギターが唸る
ブルージーな 「愛のシステム 」
後半 大好きな名盤 「自由の岸辺 」からの
楽曲は、佐野元春&The HOBO KING BANDが
現在の空気を吸い込み、
自らの魂を通してこの現実を
貫く華麗でいてジわっと効いてくる
BLOWを撃ち放っているのを感じていました。

「夜に揺れて」
佐野元春1stアルバム「BackToTheStreet」の
トップを飾った楽曲 「夜のスウィンガー」の
アップデイト・サウンド!
「10代の頃、 この六本木辺りを
うろついていた頃に描いた歌なんだ。」
佐野さんが、そう話すとステージ背面の幕が
上がり外の街の景色がステージに溶け込んできた。
ぼくの席からは公園の満開のソメイヨシノが
通りに沿ってライトアップされて揺れている
のが見えた。
サウンドは泥まみれでファンキー!!
つづく、「最新マシンを手にした子供達」では
KYONさんがフライングV、
長田さんがブラック・ギブソン
レスポールのツインギター!!
凄まじき展開と捻りの効いたグルーヴが
狭い空間をどこまでも開放する。

もう1曲行こう!と言ってはじめた
「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」
佐野元春&The HOBO KING BANDの
アンサンブルとグルーヴ、
そしてフェンダーストラトキャスターで
奏でられた長田進さんのソロは、
世界中何処を探しても
この一瞬にしかない、特別なサウンドとして
立ち上がっていたのを感じていた。

この壊れかけた街の片隅に潜む、
ことば、リズム、グルーヴ、
メロディ、響き、そして誰も見たことも
聴いたこともない景色は何かに導かれた
ヒト達に潜む特別な技によって、
この世界に素敵な旋律とハーモニーが
立ち現れるってことを察するチャンスを
見かけた気がしました。

しばらくは正気でいられそうだな。

どうもありがとう、
佐野元春&The HOBO KING BAND。
まだ、ロックが好きでいられるってことに感謝!

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