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行き着く先はゲランなのか

ゲランのL'heure bleue(以下ルールブルー)のパルファムを購入した。

パルファムというのは賦香率(フレグランスの液体に占める香料の割合)が最も高いものを言う。といっても賦香率に規格があるわけではない。持続時間や香りの深みには関係してくるが、個人的な経験でいえばトワレでも持続時間の長いものもあるし、パルファムのひとつ手前のオーデパルファムでもあまり持続しないものもある。またパルファムだからといって香りが強いとか、周囲への拡散性が強いというわけでもない。
私の解釈では”よりラグジュアリーに、より豊かに香る”ものがパルファムだと思う。

ルールブルーを知ったのは、とあるYouTubeの動画だった。ゲランの特集の中で取り上げられていたうちのひとつで、何故かとても強く惹かれ、いつしか手にしたいと思っていたものだった。

正直、ゲランのフレグランスはクラシカル、いわゆる”おばぁちゃんぽい”イメージを持っており、そのイメージのため、ゲランのカウンターに行くこともほとんどなかった。

ルールブルーは1912年の作品だ。諸々理由により、おそらくレシピの変更はなされているだろうが、1912年といえばタイタニック号沈没や明治天皇が崩御された年だという。夏目漱石が「こころ」で明治天皇崩御の時代を書いているから、その頃に生まれたフレグランスが、未だに愛され続けているということだ。

そんなルールブルーの香りを知りたいと思い、まずトワレの小分けフレグランスを購入した。
つけたては床屋のメンズ臭のような雰囲気があるが、すぐにアイリスとヴァイオレットとバニラの優しい香りに変わる。
ディオールのジャドールのように華やかではなく、シャネルのNo.5のような芯の強さとも違う、静かな落ち着いた品のある香りである。
そして、当初ゲランのフレグランスに持っていた”おばぁちゃんぽい”イメージは180度変わった。
それでパルファムを購入したいと思ったのだ。


ルールブルーは、確かにクラシカルではあるが、普遍性を感じる。
フレグランスにおける普遍性というものを、未熟な私はきちんと定義はできないが、絵画における黄金比のような、人が最も美しいと感じられる秘密がフレグランスにもあるように思う。
ルールブルーを創ったジャック・ゲランが、フレグランスにおける普遍性を知っていたかどうか知る由もないが、このフレグランスが戦禍をくぐり抜け、現代においてもなお店頭に並び続けていることを考えると、きっとそこには我々フレグランスラヴァ―が気づいていない何かがあるのだろう。


これまで様々なブランドのフレグランスを試してきて、それぞれ好きなのだが、ゲランの香りは別格だ。
あらゆる香りを試してみて、最後に行きつくところという気がする。
そして、ルールブルーをつけるとき、その相応しい香りに合った品格を持たなければならないように思う。
背筋がシャンとするフレグランスである。

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