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モノ創りにおける想像力の重要性

人の想像力について考えていた。
舞台「ハリーポッター 呪いの子」を観劇していた最中に、この作品のクリエイティブスタッフ、つまり「マグル」は魔法の世界を実現させるためにどんなことを頭に描いたのだろうか。

こういった作品を観る時、多くの人は「これどうなっているの?」と仕掛けの方にフォーカスする。
しかし、この仕掛けのためには、「こういう世界を創りたい」と想像することが先決である。


「科学技術進化論」と言うのか定かではないが、テクノロジーの変革は科学の進歩によってもたらされたものではなく、人のニーズがあって初めて進化するのだという。よく考えればとても当たり前ことなのだが、ハリーポッターを観ながら改めてこの事を考えたのだった。

モノ作りにおいて、「世界を想像する」ことはとても重要だ。
頭の中で想像したものをニーズ、実現させる力をテクニックと呼ぶことすると、ニーズとテクニックはある時は一体化し、ある時はそれぞれがリンクしながらも、独立して専門的になっていく。
そして、ニーズとテクニックの「せめぎあい」によってモノが作られていくが、両輪の精度が一致していなければ良いモノは作れない。
ハリーポッターは、この両輪が非常に良く噛み合った例であると感じた。


一方で、残念ながら想像力が敗北した例もある。
新宿歌舞伎町タワーのジェンダーレストイレが廃止になったそうである。
このトイレを考案した人は、世の中を悪くしようとしたわけでも、多額の費用を使って自らの欲望を実現させようと思ったわけではないだろう。
誰もが使いやすいトイレを目指して、試行錯誤する中でのひとつのアイデアだったのかもしれない。
だがきっと使う人、特に女性への想像力が足りなかったし、想像しきれないのであればヒアリングすべきだったのかもしれない。
似たような例を探せばたくさんある。
特にバリアフリーに関して、テクニック面では十分機能していながら、クリエイティブな力が足りず、またヒアリング等によって補完もされていないように思う。

ジューヌヴェルヌが言った。

人が想像できることは、必ず人が実現できる。

Jules Verne

ただし、この名言の出典はハッキリしていない。
我々はいつでも想像力を試されている。

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