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痛いの痛いの、飛んでいけー

何年か前から、春と秋に咳が出るようになった。
症状からみて感染症ではないのは明らかで、まず疑ったのはホコリとエアコンだが、掃除してみても変わらない。乾燥も有力だが、雨の日や入浴中にも咳き込む。花粉症を疑ってみても他に症状はなく、温度差説は否定は出来ないが確定ではない。歯磨き剤の刺激も疑われるので、この頃は口内に清涼感がいきわたる程度にして、ほぼ何もつけない状態で磨いている。
耳鼻科に行ってしまえば原因はすぐにわかるかもしれないが、簡単に外出ができない故、酷い時は咳止め薬を飲むなどして、とりあえずの対処法で凌いでいる。

咳止め薬はもちろん効くのだが、毎日飲みたくないし、一定の時間が経てば収まるので、できるだけ飲まずに頓服しているところ、スーパーのお菓子売り場で「龍角散タブレット」なるものを発見し、早速購入した。ハチミツレモン味と書かれていて、口にしてみると、ハチミツレモンは確かに感じるが、龍角散のにおいはしっかり感じられ、こう言っちゃ悪いが、”田舎のお年寄りが暮らす薄暗い古い家にあるタンスの引き出し”のような絵が浮かぶ。歯磨きの後(歯磨き後に口に入れるなんてもったいない気がするが、歯磨きでむせるのだから仕方がない)、2錠程口に入れることが最近の日課である。
所詮、”お菓子”である。だが、プラセボ効果なのか、なんだか効くような気がしている。

その龍角散タブレットのすぐそばに「ボンタンアメ」が陳列されており、何を思ったか、そちらも購入した。私が子どもの頃からずっと販売され続けている。味や食感はおそらく”今どき”ではないものの、変わらずやさしい味がする。

龍角散もボンタンアメもロングセラーだ。
次から次へと新しい商品が生まれては消えていく昨今、龍角散は粉状から飴、タブレットにと形状のバリエーションは増えたが、相変わらず独特のにおいは変わらない。ボンタンアメに至ってはパッケージも変わらない。
ずっと愛されている商品には、何らかの理由があると思う。
特にボンタンアメは爆売れ商品でもなく、利益などたかがしれ、それでも派手な広告も打たずに駄菓子屋やお菓子売り場でチマチマと並べられ続けられるというのは、作る方の覚悟や意地や、あるいは誠実さといったものが感じられる。莫大な利益を生まなくても、消費者を安心させる商品というものがあるのだ。

季節性の咳は龍角散やボンタンアメでは治らないが、これらの今どきでない感が、子どもの頃によく母が言っていた「痛いの痛いの、飛んでいけー」みたいで優しい。
今のご時世に足りないのは、きっとこういうことだ。


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