主催者・劇場・制作、演劇に関わる全ての人に知ってほしい、車椅子ユーザーのこと

車椅子の人が劇場に行って観劇するのは、事前の各手配・現地の環境を調べ・当日の時間配分まで、それは健常な人が想像するよりはるかに手間と費用がかかります。
それで快適な観劇ができるかというと、残念ながら叶わないことがあります。
そのひとつがスタンディング・オベーション(スタオベ)の場面です。
数回カーテンコールがあるうちのどこかの時点で、お客さんが立ち上がって拍手を送る、あれです。
この時、車椅子の人は立てない為、「目の前が人の壁」になります。
最後に出演者さん達の笑顔を見て幕が降りる、お客さんたちは皆楽しそうに拍手を送っている、それを下を向いてじっと我慢していなくてはなりません。

解決方法のひとつとしては、主催者に相談の上、スタオベの時だけ係員の誘導の元、少しだけ移動させてもらうということがあります。
ところが、「消防法」によって、通路を塞いではいけないことになっており、主催の判断と劇場の構造によっては少しの移動も許可になりません。

私は5/11にTwitterでこんな投稿をしました。(原文ママ)
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【お願い&rt願】
ブロ銃開幕となりますが皆さんにお願いです。私は車椅子スペースで観劇しますが皆さんがスタオベされると前が見えなくなります。また通常席に座れても立つことが困難な人がいます。スタオベしないでとは言えませんがどうか周りにそういう人がいないか気にかけていただけませんか。
最後に出演者の顔を見られないことは本当に悲しいです。
既存建築物の構造は変えられないので仕方ありません。
でも皆さんが気にかけてくだされば世の中少しずつ変わります。気にかけていただきアンケート等やツイートにも反映してくだされば有り難いです。

【車椅子の皆さんへ】
スタンディングで見えなくなるのは車椅子にはあるあるで悲しいですよね。
車椅子の人なら大抵経験はあるのに未だに変わっていないのは私達が公に声にしていなかったこともあります。
私はこのことをある機関紙で発表し広く届けるつもりです。声が届くには少し時間がかかります。
一つの方法として、係員の案内で見える位置への移動の配慮をお願いしましょう。声が多くなればそれが当たり前の対応になっていきます。
諦めずに粘り強く交渉していきましょう。
それは我儘じゃないよ
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そして今日5/18 Twitterにこのような投稿をしました。(原文ママ)
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日生さんと交渉したのですが、消防法の関係で横に少しズレることは許可なりませんでした。
車椅子席はDEの間くらいで有難いくらい前方だけどスタオベ時は全く見えません。最後送れません。むちゃくちゃ悲しい。
車椅子で立てない人はずっと以前から悲しい思いをしています。
スタオベ時のことについて書いた文が発行されたら東宝さん日生さんに送ります。車椅子の人がどんな気持ちでいるか、知ってもらいたいです
主催する人達に、このまま放置してよいのですかと問いたいです。
お客さんである皆さんには立たないでくださいとは言えません。本音では言いたいです。でも言えません。
"いつか"ではなく、なるはやで状況を変えたいです。
誰もが他人事ではありません。
どうか自分の身に置き換えて一度でも良いから真剣に考えてみてもらえませんか。
演劇を行う主催・劇場・制作に関わる全ての人たちに、スタオベ時、車椅子の人たちはずっと悲しい思いをしてきたことを知ってもらいたいです。
劇場形態・法に縛りがあるのは理解しています。

それでも、とにかく、変えたいです。
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出来上がった構造物を変えることは難しいし、法で出来ないことがあるのはわかります。
でも門前払いでなく法の範囲で別の方法を考えるということをしてみてもいいのではないでしょうか。
2019年のヘルパー入場拒否の時もそうでしたが、時代をリードしていくはずのエンタメは、障害者への対応という分野においては時代から遅れています。
今夏、車椅子スペースのサイトラインの問題を扱った論考が機関誌になります。
どなたでもpdfで無料にてお読みいただけます。
私は各劇場や主催者にそれを送る予定です。

エンタメは誰でもアクセスできるべきものではないですか。
エンタメは誰にでも公平なのではないですか。
文化芸術は差別に反対していくものなのではないですか。

お客さんが立ち上がると車椅子の人は見えなくなる、これは今に始まったことではありません。
何十年も前からずっとです。ずっと悔しくて悲しい思いをしています。
そろそろ変えませんか。変わりませんか。

主催者・劇場・制作、演劇に関わる全ての人に、この話を知ってほしいです。
そして健常な方々、小柄で見えにくい方々もいらっしゃると思います。一時的にケガなどで立てない方、車椅子でなくても立つことが困難な方、皆さんで真剣に考えませんか。
多くの人にこの記事がシェアされますように。


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