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誰だってベルトコンベアには乗りたくない

銀行のちょっとした手続きをスマホで行った。
他の銀行では何の苦労もなくすぐに手続きが終了するような、本当にちょっとしたことだった。

自分の顔をスマホで撮影した後に、マイナンバーカードの撮影をする。
それ自体も難しくはない。
だが、自動撮影技術を使っている為に、相手の”規格”に合わせねばならず、ピントの関係でなかなか撮影ができない。それだけで30分近く経過してしまった。


自動撮影を使わずに、写真を撮影して送れと言っても、誰もがきちんと”正しい”撮影ができるわけではない。
またそれが本物のマイナンバーカードであるかをオンラインで確かめるのは難しいかもしれない。頭の良い誰かがごにょごにょとすれば簡単に相手を騙せてしまうことだろう。
しかし、私は頭が良くないから誤魔化せない。手のブレだってあるし、姿勢を保持しながら相手の要求に応えるのはかなり難儀なことだった。


身体が不自由でない人は、もっと簡単にできるのだろうかとも考えた。
そもそも目が不自由な人はオンライン手続きはできないし、麻痺などで手を自由に使うことができない人には難しいだろう。
だが、それは目が見えてITには慣れている私でも手間取ってしまうようなユーザーフレンドリーではないシステムだ。
社内で使い勝手について、きちんと検証はされてないのだろうなと思料する。

物事をIT化していくにあたって、それについていけない人が一定数出てしまうのは仕方がない。
高齢者もそうだし、障害者はIT化によって恩恵も受けるが、逆に不便を強いられることも少なくない。それをサポートする仕組みを整えておけばIT化・自動化していくことは悪くはないと思う。

しかし、サービスや商品を提供する側の都合の良いようにシステムが作られてはいないだろうか。
今年初めてマイナンバーカードを使用してオンライン確定申告を行ってみたが、簡単と宣伝するわりには意外とカードを何度も読まされるなど、面倒なことが多かった。
メンバーズカードがLINEにとって代わられることも増えた。カードが減ったこと自体は好ましいが、LINEを強制されることに私は若干抵抗感を覚える。

ITや自動化の話だけではない。
コンビニでタバコを販売する際に「番号で言うようにと何度説明しても銘柄を言ってくる」という話をよく聞く。番号ならば銘柄を知らないバイトでも効率的に商品を選択できる。
効率化・合理化、わからなくはない。
ただその方法を消費者は企業に”強いられ”ている。

コロナ禍で人と会話をしないことが良しとされ、IT化や自動化が進んだ。
それが最終的に従業員の給料や価格に反映されていれば良い。
…が、現状そんなことはなく、私たち消費者は、サービス・商品を提供する側の規格に合うよう強制されているだけのような気がする。
振る舞いを強制される度、私は効率化・合理化の名のもとに工場でベルトコンベアに乗せられ、無言で無機質に食材を放り込まれる弁当になってしまったかのような気持ちになってしまう。
そして規格に合わないものはハネられる。
そんな気がしてならない。
誰だって本当はベルトコンベアなんかに乗りたくないのに、だ。


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