見出し画像

今覚えていることを今やる

我が家には月に1回、ホームドクターが往診にみえる。訪問リハビリを受けている関係で、健康上特に問題がなくても医師の診断を受けないといけないそうだ。もうずっと以前から先生にお世話になっている。

なぜこんな話になったのかわからないが、最近ちょっとしたことを忘れてしまうという話になった。
母は2階へ行かなくてはいけない理由を、私はスマホやパソコンの検索画面を開いた理由を、先生はコンビニで奥様に頼まれたものを忘れたことをそれぞれ話した。日々、頭を使ったり、神経を使ったりしている医師でさえ、年齢による物忘れをするということを聞いて、なんだかとても安心した。

母の物忘れが以前より激しくなっているように思う。さすがに「さっきお昼ご飯を食べた」というような記憶は残っているが、普段していることの手順や、1日の決め事、以前よく作っていた料理を忘れてしまうし、私にAとBどちらがいいかと尋ねてきて私がAと答えるとBがでてくる始末。
認知症に罹った祖母を見ているので、物忘れと認知症による忘却との違いはわかるが、いずれあのようになるのかもしれないと少し不安になる。

どこかで「認知症は長いお別れ」という記事を読んだ。それまで、どちらかというとネガティブなイメージで捉えていた認知症による忘却だが、突然のお別れがきてしまうより、少なくとも1人は知り合いを忘れ、楽しいことも辛かったことも忘れ、物事をあまり感じ取れなくなって、静かにお別れを迎える方がこの世に未練を残さずに済むのかもしれないと、妙に納得した。

祖母が私のことを忘れてしまったときは、ショックだったが、この世で出会った人たちを忘れて、まるで生まれ変わるように旅立っていったのなら、それはそれで幸せな逝き方だったのではないか。母には私のことは覚えていてほしいが、障害を持った娘に想いを残すよりは、少しずつ忘れて、別れの痛みを少なくした方が良いのかもしれないと、忘却を少しだけポジティブに捉えることができた。

それはそれとして、中途半端な物忘れはやっかいだ。さっき習った単語を忘れるのはまだかわいいとして、スマホを開いて「なんだっけ」と思う時の情けなさは尋常でない。

「後でできることは後に回して今できることをやる」は理想だが、後に回すと忘れてしまう。「今覚えていることを今やる」も付け加えねばならない。

#毎日note
#note
#日記
#障害者
#車椅子
#身体障害者
#物忘れ
#認知症
#記憶障害
#忘却
#モットー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?