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何語で考えているか

時々「頭の中どうなってるの?」と尋ねられる。
外国語が多少でも話せると、それだけで「頭イイ!」と思う人もいるみたいだが、それ自体は誰にでもできることで、頭の良し悪しは関係ない。
効率よく学ぶという点に関しては、方法論や、知識と知識を繋げる力、その他いわゆる「頭の良いやり方」というのはあるが、最終的には時間と根気の問題だと思う。
だから、私の頭の中は皆さんと何一つ変わらない。

「頭の中どうなってるの?」の質問には、もうひとつの意味がある。
外国語で話しているときに、「何語で考えていますか」という意味だ。
私は後天的なマルチリンガルなので、ネイティブなバイリンガルやマルチリンガルの人達の頭の中がどうなっているかはわからない。
また、同じように、後から学んで外国語を身につけた人が皆同じ頭の中とは限らない。

面白いことに私の場合、外国語で会話しているときに、その言語で考えているというわけではない。
何語でもないエリアがあるみたいだ。
an apple と聞いてリンゴが頭に浮かぶわけではない。I bought an apple yesterday. と聞いて、いちいちリンゴを買っているシーンを浮かべるのではなく、そのまま概念として受け取っているような感じだ。それがうまくいかない時に「聞いてわからない」が発生する。

相手の話しを聞きながら、次に自分が言おうとしている単語が浮かぶこともあれば、挨拶や相槌が自然と口からついて出るように、その時の思考や状況に沿って、口が自動的に動いてくれるという感じである。
口の自動化がうまくいかないときは、言いたいことを表せない時や、考えがまとまっていない時のようだ。

外国語を読むときはどうか。
やはりこちらも概念のようなもので受け取っており、うまく理解できないときに初めて日本語化される。ただ、概念で受け取るとは言っても、小説のような場合はちゃんと情景が浮かぶ。

書く時はどうだろうか。
こちらはまだ日本語の介在が大きい。
特にフランス語の場合は、文法力や単語力が十分ではないので、いったん日本語で書きたい内容をざっと書き、そこからフランス語的に書く努力をしている。
英語やスペイン語の場合は、内容をその言語である程度まとめてから書いており、日本語の介在はあるものの、フランス語のそれよりは少ないかもしれない。

こうして言語学習を俯瞰で見ると、脳科学に近いのかなと思ったりもする。
人が言語を獲得していく過程はとても面白い。


ちなみに、普段考え事をしているときはもちろん日本語で考えているが、何かの拍子に、たとえば、スペイン語で話す人との会話を想像してみたりする時はスペイン語だし、フランス語の場合は私の語彙が貧弱なので、英語やスペイン語で補っていたりする。

外国語が話せる人、ぜひあなたの頭の中を教えてください。

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