ライターとマッチの恋

昨日アルバイトをしている時、お客さんが来なくて、一緒に働いていた人も歳の離れた社員ばかりで会話がなくとても暇だった。
そんな時ふと、恋愛のことを考え始めたのである。

私の友達に告白をした女の子がいる。先日、その彼女が告白をして振られてしまい、そのことが周りに噂になってしまったそうだ。 その流れを入院で3ヶ月ほど私と会えなかった彼女は話をしてくれた。
話の内容も、話す姿を見ても彼女は焦りすぎていたと思う。
告白した彼のことは私も知っている人物だったけれど、彼と彼女は正反対だった。彼女は情熱的で、情が厚い。目標や夢は無我夢中で追いかけ走り続け止まる事を知らないスピード感は私も近くで見ていて圧巻だと感じる。その熱すぎるのではないかと思うほどのパッションを持ち合わせているが故に、周りが見えなくなってしまうところがある。恋愛でなくても私はそんな彼女の必死さをみてしばしばブレーキをかけてあげることも多い。
一方、彼は落ち着いていて周りもよく見ている。彼は末っ子できっと上の兄弟の行動をよく見ていたのか、状況の把握を捉えるのがとても早い。末っ子や次男次女あるあるかもしれないが、姉や兄の失敗を自分のものにして自分は失敗しないタイプの学習をしてきたのだろう。とにかく、どんなことであれ事を冷静に考えていた。そして何事も時間をかけて着実に進んでいた。実は彼から告白の概要や彼のその時の気持ちは聞いていた。彼は振った理由の主な要因として、友達という肩書きで接していたはずなのに時より滲み出る彼女の恋愛感情に圧倒されてついていけなかったと話した。
例えて言うなら、彼の情熱的なところはいつでも持ち運びのできるライターのようだった。使う頻度を気をつけなくてはすぐになくなってしまう。加減が重要だ。話していて彼はきっと恋愛において加減を重視しているのだと感じた。対照的な彼女はマッチだ。一回火をつけたら燃え続ける。止めることはできない。一回つけたらその一本の寿命は短い。だからこそ、何かしらに火をつけたいと焦る。その一本を無駄にしてはいけないと思うのが彼女の長所であり短所だ。
彼女は恋愛のマッチに火をつけて燃え続け、火が消えないうちにと告白をした。そして、彼の恋愛感情であるロウソクに火は灯されなかった。

結果、告白は失敗に終わった。私に全て事後報告だった。そもそも彼女が好きになったタイミングと私の入院が被ってしまったので、リアルタイムで相談に乗れなかったことは申し訳なかったなと感じていた。彼女は私にフィードバックを求めてきた。私の何がいけなかったのか。どうするべきだったのか。遅い、意味があるのかと言われればそれまでだし、彼女と同い年の私がこんなことを言いたくはないが彼女は経験が浅い。私は好きな人も付き合った人数・年数、男女という関係性において彼女よりも経験があると自覚している。だからこそ、彼女の力に少しでもなれたらいいなと前から思っていた。
彼女もそれをわかった上で私に相談したのだろう。彼女に何を話せばいいか今回はギリギリまで分からなかったけれど、総括すると相性が悪かった。ありがちでそれだけのことかもしれないとシンプルな答えを出した。
スピード感のある彼女の恋愛の速度、それについていけなかった彼の気持ち。
恋愛において相性と時間は大切なんだと考えさせられた。

そんなことを考えながらコーヒーを注いだり、レジに立ってオーダーを取っていたらカップルが何組か来店した。そのカップルを見る度に、彼女もこんな風に彼の隣に居たかったんだろうなと虚しくなった。


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