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金色の漫画の教訓(短編小説)


懐かしい漫画を読んだ。
魔界の王を決めるために100体の魔物の子どもが戦い合うバトルファンタジーもの。

主人公はどんどん強い敵と対峙していくも、その諦めない心と背負った仲間たちの想いのために立ち向かう。

終盤15巻あたりで、これまでどこに身を潜めてたのかというくらいの最強の敵と対峙した。

敵は全てを無に帰す消滅の力。

しかしその力の強大さが故に自我を失い、意思を持った"力"に身体を乗っ取られるのだ。

その強大な力に立ち向かう主人公たちは自分たちの実力では敵わずも、諦めない思いに心を打たれた他の98体の魔物たちから力を借りて勝利し、見事王となる。

最強の敵に僕はふと、昔の記憶が蘇った。

*****

小学校の昼休み。
竹製の30センチ定規に輪ゴムを引っ掛けて銃に見立てて、僕はよく友達と戦っていた。

僕は教卓に、友達は机を並べた盾に身を隠していたとき、僕は妙案を思いついた。

「ふはははは。お前がいい気になっていられるのも今のうちだ」

悪役のようなセリフで立ち上がった僕の手には30センチ定規ではなく、裏に磁石が貼られた先生用の1メートル定規が構えられていた。

「おい、ずるいぞお前! やめろやめろ、こっち向けんな!」

友達の悲痛の訴えも聞き入れず、僕は両腕でその銃口をそちらに向ける。

先端に輪ゴムを引っ掛け目一杯伸ばしたときだ。

_____バチィイン!!

悶えたのは僕の方だった。
輪ゴムはその張力に耐えきれず、虚しくも描いていた輪を解いた。
それが僕の方へ暴発したのだ。

*****

やはり強大力は我が身をも滅ぼすのだな。
漫画も教科書だ。

しかしこの漫画の根底の教訓とは、少し軸がブレていた。

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