刮目して見よ
こんにちは。欧州サッカー、息つく間もなくパリオリンピックと、日に日に寝不足をきわめた江川大士(ひろと)です。
サッカーが好きな僕は昔からサッカー日本代表戦を観てきました。神業に感動して真似るのですが、まったくうまくいきません。何度も同じ映像を見て近づこうとしていました。
「百聞は一見に如かず」ということわざがあるように、僕は「見る」という行為は、非常に重要な動作であり能力だと思います。
初めは誰もが初心者です。立つことも歩くことも食べることでさえ、誰かの真似をすることでできるようになります。サッカー選手の神技ではなくても、見て知ることから始めなければ難しいことがたくさんあります。
そこで今回は、いろいろな視点から「見る」という行為についてお伝えしていこうと思います。
見て、真似て、モノにする
一人っ子よりも兄弟姉妹がいる子どものほうが、さらには下の子であるほうが、物覚えが早いということがあります。例えばハイハイにしても立つにしても、兄や姉に比べて下の子は早く習得する傾向にあるようです。
僕にも姉が2人います。ある日、姉が保育園や公園で逆上がりの練習をしているのを見ていました。自分もできるようになりたいと思い必死に練習をして、4歳でできるようになったのをいまでも覚えています。その過程は、ほとんどが「見様見真似(みようみまね)」でした。
子どもは感覚的に身体を使う傾向にあります。だから子どもは、言葉で説明をされるよりも、見ることで覚えていくほうが圧倒的に得意です。つまり、大人は子どもに対して、運動だけではなく普段の生活から「見て覚える」
状況をつくり出す必要があります。声の大きさやトーン、イントネーション、身振り手振りで子どもたちの注目を集めることも非常に重要だと思います。
子どもたちの「みる」
LUMOに通うお子さんで、身体を上手に動かせない子どもの共通点は、目を上手に使うことができないことです。視線がいろいろな所に飛んでしまい、自分が見たいものにピントを合わせることが難しいのです。
そもそも目を上手に使うとはどういうことなのか。
目の使い方はビジョンとも呼ばれており、三つに分けることができます。
・追従:首を動かさずに目で見たいものを追いかける
・跳躍:多くのもののなかから見たいものを捉える
・遠近:遠くのものや近くのものにピントを合わせる
身体を上手に動かせている子どもは、ほかの人が運動しているときに三つの項目を使いこなしています。情報をしっかりと捉えて、反復と継続を丁寧に続けることができるのです。
運動が苦手な子でも、1対1で話しているときに人の目を見て話が聞ける子は、運動の上達が早いです。
LUMOに体験に来て頂いたときには、できるだけ視線を観察するようにしています。視線が合わないのであれば、風船リフティングやボールキャッチなどを行い、目をたくさん使ってもらいます。長期的に目を使った運動を行うことで、ピントが合っていきます。
LUMOで指導をしているときに少し控えめな女の子がいました。普段から指が自然と曲がってしまいます。後転では手をしっかり広げてマットに着けられないので、うまく回れません。
この子の指導で大事なことは、まず後転のお手本を見せること。そして、本人が苦手としている手をパーに広げて回ることを伝えていきました。黙々と後転の練習をした甲斐があり、ついに補助なしで回ることができました。
ここでも大切なことはしっかりと後転の成功例を「見せる」ことだったと思います。
「見る」はアメにもムチにもなる
僕は、子どもが難しいことにチャレンジしたときや成功したとき、声を出して大げさに褒めることが凄く大事だと思っています。しかしなかには、性格上、大げさに褒められるのが恥ずかしいと思う子どももいます。
後転が難しかった控えめな女の子も、自分を出すことが難しい子でした。注目が集まると、緊張してしまうのでしょう。そんな子には、手で「グッジョブ」サインをして見つめるだけで十分なことに気が付きました。彼女は恥ずかしがることなく、そのあとのマット運動も満面の笑みで取り組み続けることができました。
視線だけで語ることは何も褒めるときだけではありません。僕の小学生時代の話ですが、帰りの会の最中に先生に背を向け友だちとワイワイ話していると、急に背筋が凍りつきました。振り返ってみると、先生が黙って鬼のような顔で睨んでいました。
指導員になって、大事な話を子どもに理解してもらえずに悩んでいたとき、この体験を思い出しました。いまでは一つの有効な方法として使わせてもらっています。
例えば、真剣に運動に取り組んでいる友だちに対して何度もちょっかいを出してしまう子。「やめて」と言っても聞く耳を持たないときに、黙って視線だけ送ります。もちろん言葉での注意もしますが、ただ大きい声を出して叱ることでは、いろんなものに気が散っている子どもの耳には届きません。
黙って視線を合わせることで自分が何か悪いことをやってしまったと気づいてもらいます。そこから本題に入り、何がダメだったのか、何をするべきなのか問いかけていきます。本人に、何がダメだったかを理解してもらう必要があります。自分でダメだったということに気づけなくては成長できません。
終わりに
私たち大人は子どもに対して、見てもらう機会や見る機会をたくさんつくる必要があります。
子どもは日々身体の使い方やルールやマナーを学んでいます。良いときはたくさん褒めて、悪いことをしたときには、しっかりと𠮟る。心身の成長は大人が目を掛けることによって成り立っていると思います。
僕の考えに共感いただき、日常生活にお困りごとがあるお父さまお母さま、ぜひ「子ども運動教室LUMO」にお越しください。一緒に子どもたちの見る力を高め成長機会を増やしていきましょう。楽しいセッションを用意して、お待ちしています!
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