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【はじめての広報・PR】 “あなたの組織ならでは” を伝えるコーポレート・ストーリーのつくり方

こんにちは。ごさとです。
今回はコーポレート・コミュニケーション(組織全体の広報・PR)に取り組むうえで欠かせないコーポレート・ストーリーについて、フレームワークで考え方を整理してみたいと思います。

● コーポレート・コミュニケーションの機会と手法

・・・本題に入る前に「コーポレート・コミュニケーション」と聞いてどんなイメージを思い描くでしょうか?

わかりやすいのはTVで目にするような「役員が登壇するプレゼンテーション」「新商品のお披露目会」なんかでしょうか。
はたまた「不祥事の謝罪会見」、最近だとnoteやTwitterのような「SNS運用」も一般的になっているかもしれませんね。

僕自身がやってきたり、クライアントのお手伝いさせていただいたりした経験を振り返ってみると、

・中期経営計画の発表
・単年度事業戦略の発表
・組織人事 / 就任発表
・新商品 / 新サービス発表

・上場 / 資金調達発表
・提携 / 買収発表
・株主総会 / 年度総会
・周年
・アワード受賞
・採用活動

・不祥事 / 炎上 / 事故
・社会への意見表明 / 提言 / 働きかけ

このようなタイミングで、組織全体に関するコミュニケーション活動が必要になってきます。
またその手法をあげてみると、

・記者会見 / 発表会
・ラウンドテーブル
・個別インタビュー
・ウェビナー

・プレスリリース(報道向け)
・ニュースリリース(社会向け)
・タウンホールミーティング(従業員向け)
・CI / ミッションステートメント
・社史 / コーポレートブック
・アニュアルレポート / 統合報告書
・広報誌(社会向け / 従業員向け)
・Webサイト運用
・SNS運用

・ニュースレター / メールマガジン
・コーポレートムービー
・広告出稿
・イベント開催

だいたいこんな感じでしょうか。
広報の守備範囲はとっても広いですが、組織によってはいろんな部門で役割分担することもあります。

● コーポレート・ストーリーの役割

多岐にわたる機会と手法の組み合わせで取り組むコーポレート・コミュニケーションですが、多かれ少なかれ、どの組織でも何かしら取り組んでいます。
つまり “常にレッドオーシャン” なんです。

競合ひしめくなかで、画期的な商品やサービスを生み出せたり、予算や人員を投下できれば一定程度の成果=瞬間風速的に注目を集めることも可能かもしれません。

しかし現実的に、それを継続できるのは一握りの恵まれた組織のみで、多くの組織は限られたリソースをやりくりしなければならないと思います。
僕もNPOにいた時は「大切な寄付(運営資金)や人財の最適化」を折に触れて考えるようにしていました。

それでもやっぱり、自分たちのことを知ってもらいたいし、できればファンになって応援してくれる人がたくさんいると嬉しい!

そう考えた結果「みんなに長く愛される組織ってどんなところなんだろう??」と気になり、論文・書籍・雑誌・新聞などいろんな情報を読みあさって調べたことがあります。そこで気づいたのが、

「長く愛される組織には “ストーリー” がある、それが “その組織ならではのユニークネス” になっている」

ということでした。

ストーリーとは「これまで」と「今」そして「これから」を結ぶもの
・組織や事業ができた背景や理念
・そこで成し遂げたいビジョンや未来
・それに賛同して集まった仲間
・ともに取り組んでいること etc.

たとえ業界や事業領域が同じだったとしても、そこに至るこれまでの過程は異なるはずですし、かかわる1人ひとりの想いも十人十色あると思います。

それをしっかりと掘り下げて、物語のように紡いでいったものが、その組織にしか語れないコーポレート・ストーリーになっていきます。

ストーリーが広報・PRの核に据えられることで、組織として新たに発表することや取り組むこと(コーポレート・コミュニケーションが行われる機会)に “あなたの組織らしさ” を添えて語ることができ、ブランド(受け手の心に残る印象)として少しずつ育ってくれるのです。

● ストーリーの構成要素と物語ポジショニングマップ

コーポレート・ストーリーは大きく2つの手順で考えていくと良いと思います。

①ストーリーの構成要素を洗い出す
・歴史
・経営戦略
・組織 / 人財
・プロダクト / サービス
②「誰に」「何を」語ってもらうか検討する

「コーポレート・ストーリーの構成要素」 は、第三者が組織のことを知るときに、どの側面を切り取って重要だと認識するか、つまり「情報の受け手が注目しやすいポイント」を整理したものです。

コーポレート・ストーリーの構成要素

【歴史】
創業の背景や時代性、危機的状況やそこからの学びといったこれまでの道のりなど、創業者・経営者、長く勤めている方のお話をもとに整理していきます。
【経営戦略】
組織として目指したいこと、そのための戦略や築き上げてきた強みなど、経営層・事業責任者クラスの方を中心に伺っていきます。
【組織・人財】
これまでに組織の中で語られてきた言葉、文化、制度、そして実際に働いている方など、人事や様々なレイヤーの人、過去の報道があればそこからも収集します。
【プロダクト・サービス】
組織で提供しているものに関連して、その特徴だけでなく顧客の課題や開発にまつわる裏話など、研究・開発・マーケティング・営業といったバリューチェーンで理解を深めます。

1つの側面にフォーカスする場合もあれば、複数の側面を組み合わせて理解する場合もあるので、各要素を偏りなく埋めていくことが大切になります。

そのうえで1つのストーリーライン=「これまで」と「今」と「これから」を感じられる物語として集約することで、どんな場面でも用いることができるコーポレート・ストーリーに仕上げていきます。

この各要素を埋めていくプロセスを、改めて組織に対する理解を深めたり、一緒に働く人それぞれの想いを知るきっかけにしたりと、広報担当として把握しておきたい情報やリレーションづくりに役立てていただけると嬉しいです。

「物語ポジショニングマップ」は、広報・PRの機会で「誰に」「何を」語ってもらうことでユニークネス(組織らしさ)を打ち出していくべきかを考えるときに、俯瞰して検討するためのツールです。

物語ポジショニングマップ

【縦軸=語る立場】
・経営者やそれに準ずる方(マネジメント)
・各部門やそこに所属する方(スペシャリスト)
【横軸=語る内容】
・理念やビジョンなど組織全体の方向性
・技術やプロダクト、諸制度など個別具体的な話題

コーポレート・コミュニケーションは広報担当だけで完結せず、総力戦で臨む場合も多いです。
(ということは、他部門が主幹であっても広報担当が関与する方が良い機会も大いにあります)

事業戦略発表・周年行事・採用イベント・・・目的も対象者も異なる機会で、組織のどの立場の人が、どんなテーマを話すことで受け手の満足度を高めるか。

まさしく、“PR=Public Relations” ではないでしょうか。
こんな時こそ、“その組織のコミュニケーションのプロ” である広報担当が、参謀役として価値を発揮するチャンスになりうるのではないかと、僕は考えています。

今回も最後までお読みくださりありがとうございます。
皆さんの参考になれば幸いです。

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