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「栄養士の資格を活かした仕事」って何?

栄養士や管理栄養士の面接をたくさん担当していると、よくこんな言葉に出会う。(※以下、栄養士と管理栄養士をまとめて「栄養士」とします)

「資格を活かした仕事がしたいんです!」

ここで、クエスチョンがいつも頭に浮かぶ。

「資格を活かした仕事って何ですか?」

応募者に聞くと、たいていは「栄養指導やカウンセリングなどで対象者の食事を改善すること」となるのだが、それ以上深い答えは出てこない。


フィールドを「食の世界」で考える

確かにそれが「栄養士」「管理栄養士」の一般的なイメージなのだろう。世の中には法律で決められた、特別な栄養管理をする人たちのための食事管理をする施設として、栄養士や管理栄養士の設置が義務付けられている病院や特定の福祉施設というのがある。でも、別に栄養士の資格をとったからといってそこで働く義務は無く、フィールドはたくさんある。私も、普段は学生マンションの食事づくりをしながら社員食堂の企画に関わったり、食の情報紙つくっていたこともある。大変なこともあったが、「栄養士の仕事」にこだわらなかったからこそ、仕事の幅を少し広げることができたと感じているし、これからもっとフィールドを広げていきたいと思う。

これから栄養士を目指す方にぜひ、考えてほしいことがある。

「あなたが食を取り巻く世界で、変えたいこと思うは何ですか?」

このような問いかけであれば、

▷自分の祖母が最後に口から食事がとれずに辛そうだった。          高齢になっても消化器官や歯が健康でいられる人を増やしたい        ▷特定のアレルギー食材を使わない新たな食加工品をつくって食物アレルギーに悩む人の食環境を変えたい                        ▷働く特に独身者が夜遅くバランスの良いあたたかいごはんが食べられる仕組みをつくりたい                          ▷子ども食堂のように、貧困層の子供たちの食環境を改善したい 

など、自分の経験や興味から人それぞれの答えが出てくると思う。

ここをベースに考えれば、栄養士の職場は施設でも、学校でも、飲食店でも食品企業でもいいわけで、場合によっては「自分で起業した方が早い!」となるかもしれない。

資格はあくまで道具

資格をとったから仕事があるのではなく、あなたがやりたいと思う仕事をするための道具(または武器)として資格が存在する。こう考えれば、選択肢は無限大である。

大学の先輩に、「食をとりまく環境を仕組みから変えるためには、行政に行くべき。だから公務員になった」という方の話を聞いたことがあり、目から鱗だったのと同時に、可能性を広げられた気がした。

その先輩くらいの勢いで、資格にとらわれずやりたいことを考えていきたい、と思う。特に学生のみなさんに伝えしたい。今勉強していることは道具となるもの。資格は確実に取得して、興味のある食の本をとことん読んだり、信頼できる食の情報をどんどん吸収して自分の武器をどんどん集め、可能性の幅を広げてほしい。

今やりたいことがわからない人も、きっとそれを続ける中でヒントが見つかるはず。