世代間の認知の断絶、そろそろ通用しなくなりそうなピクトグラムたちについて
フロッピーの話は有名
「保存のピクトがフロッピーディスクって、伝わらない世代あるでしょ」の話は有名ですね。
これなんてフロッピーディスクへの「書き込み」の意味を入れたすぎたのでしょうか、フロッピーのラベルにペンで何か書くところ?ってなっちゃいます。
とはいえ、「保存」という概念をどう伝えてよいか、デザイナーとしては苦心しませんか。
フォルダとかディスク装置に下矢印を使いたくなりそうですけど、なんで下向きなんですかね。だいたい、スマートフォンの世界じゃディスク装置つかわないですよね。
そしてそもそも最近は「保存」アクションしなくても、クラウドに自動保存されますよね。それは、どうやって、概念を伝えましょうか?
元の形状認知がなくなるスピードが年々速くなっている
こんなふうにして、注意深く世界を見渡すと、フロッピーよりもっと古くて、それ自体がもう使われていないものなのに、依然としてピクトグラムとして利用されているものがあることに気づきます。
もうすでに、漢字の起源のように、元の形状認知は残っていなくても、記号化単純化されて、意味だけの記号となっているものも少なくありません。
最近そのスピードが早くなってる気がしてなりません。
小学生や中学生である我が子達と会話していて、この「すでにモノとしては使われていないが、ピクトグラム化されているモノや概念」について、ここ5年ぐらいでもっと恐ろしい認知の断絶が来るのではないかと思ったので、noteに記します。
不安
何が恐ろしいかというと、それを「通じるもの」とする「今の当たり前」を疑うことが必要だけれど、日常を疑わず生きているとそこに気づけないまま、老いていくからです。
今や、生活における様々なものがスマートフォンに入っています。
コミュニケーション手段だの、チケットだの、お金まで。
ピクトグラムがモノを指し示すとしたら、これらすべて、スマートフォンのピクトグラムになってしまいます。
それらの概念に対して「なぜこのピクトグラムなの?」を説明できることが、近い将来求められてくるように思います。説明できるでしょうか?
通用できなそうアイコン
通話=電話機の受話器
iOSもAndroidも、みんな大好きSlackも「受話器」を使っています。
正直、受話器で最近電話したことあります?
ガンダムは宇宙世紀でも管制室との連絡にコード付き電話機を使っていましたけれども。
かといって、スマホにしちゃうと通知が鳴ってるだけになります。
コミュニケーションができてる感じがしませんね。
さらにオンラインビデオチャットが主流になるであろう5年後に、このピクトで伝わるでしょうか?
スタートレックでいきますと、胸の宇宙連邦マークのコミュニケーターを触るだけでしたけどね。その遠隔コミュニケーションの概念は、どう表していたのでしょうね?
チケット=切り欠きのある紙
ハサミを入れたきっぷ、いつ触りました?映画館もチケットじゃなくってオンラインで買ってスマホ見せますよね。
ほら、もうピクトにTICKETって書かないと通じなくなってます。
スマホのチケット、、、ちょっと無理矢理感出ますよね。
残り時間=砂時計、ストップウォッチ
砂時計っていつ見ました?土産物店ぐらいでしか売ってなくないですか?
これがくるくるしてて、時間が経つ表現って、けっこうハイコンテクストだなと思います。
40代の僕ですけど、子供の頃でも秒針のついたストップウォッチとか使ったことないですよ。
そもそも、もう「アレクサ、3分タイマー」で済ましてますよね?
とはいえこれでは、スピーカーから音出てるだけですね。
画像撮影=カメラ
最近いつ一眼レフで撮影しました?(商売の人以外で)手元にある写真の90%はスマホで撮影したものですよね。
でもiOS13にもなって、まだアイコンが一眼レフ機なんですよね。
動画=フィルムの絵
映画ですら、フィルムで撮影する時代はもうとっくにおわりましたよね?
うちの子は、フィルムじたい、何なのか知らないみたいです。
撮影するこいつなんて、実家にもないですね。
かといって、映画館のスクリーンが動画を表すのか?というと、これじゃ映画館ですよね。
これは、、、魚?
動画再生=▷
昔懐かしい「テープドライブの回転方向を表す記号」が再生のマークになって、テープドライブがなくなっても再生の意味だけ残って、それが音楽や動画の再生のピクトグラムとして使われていますね。
子供たちに、これがなんで「動画再生をあらわすか分かる?」ときいたら、Youtubeのマークだから!って言いました。怖くないですか。
「再」び「生」きる、っていう単語も、なんかちょっと違うきもしてきました。動かす、とか、鳴らす、ですよね。
検索=虫眼鏡
そもそも何か探すのに虫眼鏡使いますかね?
画像のズームインならわかりますが、テキスト検索に虫眼鏡?
老眼ですか?
ほら、身近で疑いなく使っているピクトグラム、怖くなってきませんか?
概念として通用しなくなりそうなもの
ピクトグラムでなくても、言葉として、子供たちと認知の断絶があったものを上げていきますね。
B面
シングルB面曲だけ集めたアルバム・・・
B面・・・デジタルデータに表面裏面は無い・・・
生写真
撮影したフィルムからそのまま現像した写真、でしたっけ?
カラーコピーとかじゃない写真のこと?
今、写真はフィルム使わないし、印刷がそもそもプリンターですよね。
生とは・・・?
ショッピングカート
ECが買い物の標準になったときに、カートの概念が理解できなくなるかもしれないね。
意味だけの記号が残る世界
YouTubeにしてみても、Tubeは「ブラウン管」(つまりはテレビ受像機のこと)を表しています。 YouTubeには”視聴者がテレビに参加できる“という意味がある、と創業者がインタビューにこたえていますが、ブラウン管なんてもう家の中にないですよ。
YouTubeの名前なんて、自動運転の電気自動車を「おいらのボイラー」って読んでるようなもんですね。
電話は、電気信号で声を伝えるものから、スクリーンをタップしてチャットするデバイスになってしまいましたね。
ラジオはラジオ電波をキャッチして音声を伝えるものですが、スマホでアプリで聴くボイスコンテンツの一つになってきていますね。ラジオが域外再放送できない、とかいうことの意味が、もう子供たちにはわからないでしょうね。
近い将来に、これら概念は何か他のもの代替されていくかもしれません。その代替は何に主導されるのか、大変に興味があります。
そして、この概念を表すには、どんなピクトグラムが適切か?を日々考えて作り出していくようなチャレンジも必要な気がします。
逆に、あたらしいものへの適応させやすくするための存在
お金は「金」属から電子のビットに変化しました。
印刷は「印」を「刷」ることから電子のコピーに変化しました。
新しいものが出てきたときに新しい名前をつけるのではなくて、人々がその時点で理解できる概念で名付けることも、一方で大事なのかもしれません。
たとえば 電子マネー、フリマアプリ、AIスピーカー、など
リチャージ式非接触型ICカードよりも、電子マネーのほうがわかりやすいです。
ポイント交換型マーケットプイレイスアプリよりも、フリマのほうがわかりやすいです。
逆説的には、極端にわかりやすい一般名詞、その組み合わせで、概念に名前つけられれば、社会へのインストールは早まるのではないかと考えます。新しさのためにわかりにくい言葉を使うのではなく、概念を転換させるようにすることです。
その意味では、仮想通貨、暗号通貨はちょっと学術的すぎたのではないでしょうか。あれこそ電子マネーでよかったような気がします。
このnoteを書くにあたって共感したqiita、参考にしたnote
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