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『君は天然色』

天然色という言葉。1950年代、まだ映画もモノクロ(白黒)が主流だった頃、映画のポスターに『総天然色』と書いてあれば、その映画はカラーで作られた映画であることを意味していたようです。

生まれた時から映画はもちろん、テレビも写真もカラーだった私の世代にあまり馴染みのない「天然色」という言葉。私が初めてこの言葉と出会ったのは大瀧詠一さんの『君は天然色』という一曲でした。

いかがお過ごしでしょうか。ぐっでぃテレビのモーリーです。

これまでサブスクでは聴くことが出来なかった、大瀧詠一さんの曲の数々が2021年3月21日よりついに解禁となるそうです。そんなサブスク解禁を知らせるべくyoutubeで公開されたのがこの『君は天然色』のMusic Video 。

『君は天然色』が収録されているアルバム『A LONG VACATION』のジャケットデザインをされている永井博さんのイラストが動き出すこのMusic Videoは感動ものです。

洋楽しか聴かなかった私と大瀧詠一さんの音楽との出会い

大瀧詠一さんの音楽と出会ったのは高校1年生の夏。ある日父が一枚のCDを買って帰ってきました。ジャケットを見るといつもの洋楽ではありません。

『B‐EACH TIME L‐ONG』/大滝詠一

「なんだこれは?日本の音楽なんて珍しいなぁ!」って思ったことを覚えています。

モーリー家では家族そろって音楽大好き一家ということもあって、家ではどこかしらで薄っすらとBGMのように色々な音楽が流れている環境でした。とはいえ何となく好みの傾向のようなものがあり、ざっくりと言えばオーディオから流れてくる音楽は洋楽、テレビから流れてくる音楽は邦楽といった感じで、自発的に聴いているのは洋楽中心、とはいえ音楽時自体が好きなので、流行りの流行歌にも耳を傾けているといった感じでした。

このCDを買ってきた理由を父に聞くと、

たまたま入ったCD店でこのCDが流れており、聴いた瞬間衝撃が走ったらしく、ひと耳惚れ(ひとみみぼれ!?)したそうです。そしてすぐさまCD店の店員さんに流れているCDを教えてもらい購入したとのこと。

家にあるCDのほぼ全てが洋楽で埋め尽くされていたモーリー家のCD棚。そんな中に邦楽のミュージシャンの名前が並ぶことに驚きはありましたが、当時洋楽こそすべてと思っていた高校生の私には「へぇ~そうなんや。」くらいにしか思わず、気にもとめてませんでした。

なぜならその頃、私は洋楽が一番カッコいいと思い込んでいたからなのです。今考えると音楽に対する考え方がめちゃくちゃ尖っていたのかもしれません(笑)自分が当時好きだった音楽以外に興味を持てなかったといいますか、いわゆる固定観念ってやつが強かったような気がします。

というかまだまだ音楽を素晴らしさを知りたてで、未熟さゆえ自分が当時好んで聴いていた同じような音楽をもっともっとさらに知りたいという欲求が強すぎて新しいジャンルに飛び込む余裕がなかったのかもしれませんね。

人生を変えた家族旅行

買ってきた当初は気にも留めなかったので、『B‐EACH TIME L‐ONG』というアルバムを自発的に聴くこともなかったのですが、偶然にも『B‐EACH TIME L‐ONG』をヘビーローテションで聴く機会が訪れます。

それはその年の夏のこと。熱海まで家族旅行に行くことになったのです。関西から熱海まで車で行くことになったモーリー一家。関西からだと400~500kmくらいあります。

その時車中でずっとかかっていたのが『B‐EACH TIME L‐ONG』。この家族旅行で私は『B‐EACH TIME L‐ONG』の虜、いや大瀧詠一ワールドの虜となってしまいました。

突き抜けるような夏の日差し。初めて行く関東の超メジャーな観光地熱海。ワクワク要素満載の旅と『B‐EACH TIME L‐ONG』のサウンドがドンピシャでマッチし、心の中にドーンと入ってきました。

その後ディグ(※)りまくったフォール オブ サウンド(大瀧詠一の世界)

その後大瀧詠一ワールドをディグりまくりました。ちなみに『B‐EACH TIME L‐ONG』には今回のnoteのタイトルにもなっている『君は天然色』は収録されていません。『君は天然色』とはその家族旅行から戻った後にGETした名盤『A LONG VACATION』で出会うこととなります。

ひょんなことから父が見つけた『B‐EACH TIME L‐ONG』。ちなみに父はあの日CDショップでこのアルバムを耳にするまで、大瀧詠一さんのことはあまり知らなったといっていました。

今では名盤とされる『A LONG VACATION』も、同時期に流行っていたツイストやもんた&ブラザーズのような一般的な大スター的な立ち位置ではなく、どちらかといえば流行に敏感だったお洒落な人たちの間で流行ったものだったのかもしれません。

発表から十数年たった90年代後半に父がCDショップでひと耳惚れし、そして息子である私が気に入りました。大瀧詠一ワールドにのめりこんでからは、山下達郎さん、竹内まりやさんと進み、杉真理さん、佐野元春さんにたどり着き、ルーツを知りたくはっぴぃえんどへ。そこから細野晴臣さん、鈴木茂さん、そして松本隆さんを知り、松本隆さんの書く歌詞の世界へ。そこから邦楽・歌謡の世界へもどんどん広がりました。

同時進行で大瀧詠一さんのアルバムジャケットをデザインされた永井博さんを知りイラスト・デザインにも興味を持ちました。

音楽は音。歌詞は言葉。そしてイラストは色に魅了される私。

イラスト系はその後、山下達郎さんのジャケットをいくつかデザインされた鈴木英人さん、ハートカクテルなどでおなじみのわたせせいぞうさんなど、西海岸テイストのある色合いやイラストが大好きになり、その独特な明るい配色や世界観に心奪われることとなります。

ディグる楽しさってこういうことなんだなぁ。世界が広がる感じ。大瀧詠一さんとの出会いは、洋楽こそ世界で一番カッコいいって思っていた高校生が、そんな固定観念の塊を思いっきり潰してくれた瞬間でもあり、新しい世界を見つけるディグり旅の始まりでもありました。

(※)ディグるとは掘り起こすという意味を持ち、探求することを意味します。

ディグって広げよう!!新しい世界を!!

私はひょんなことから音楽が好きになり、特に耳にあった洋楽を好んで聴くようになりました。そこから大瀧詠一さんの音楽を聴き邦楽の世界へ。そして数珠つなぎで色々聴き継ぎ、松本隆さんの歌詞の世界へ。本当に趣味嗜好は数珠繋ぎ。ディグればディグるほどそのジャンルを飛び越え、色々な世界へ興味、関心が生まれます。

音楽(音)が好きで、歌詞(言葉)に興味を持ち、そこからイラストデザイン(色・視覚)に関心を寄せるようになるのですから本当に、興味関心はどのように進むかわかりませんね。

サブスクについては色々な意見があるかと思いますが、新しいものとの出会いの場としてはもってこいの場だと思います。私が10代の頃は情報源と言えばテレビ、ラジオ、雑誌、本くらいしかなかったので選択肢が増えたと思えばサブスクもなかなかいいものです。

とはいえ苦労してCD店を巡り、新しい音楽と出会い、買って帰るワクワクや喜びも捨てがたいのでサブスクはちょっとなぁという気持ちもわかります。

今回の大瀧詠一さんの音楽の数々がサブスク解禁となったことで、また新しい人たちが大瀧詠一さんの音楽と出会い、そこから音楽・歌詞・イラスト・デザインはたまた映画・小説などなど、無限に色々な世界に広がっていけばいいなぁと思います。

『君は天然色』。出会いは素晴らしい!!音楽は色まで続くよ どこまでも、というお話でした。

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