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バック トゥ ザ フューチャーに魅せられてPart2~大人になったモーリーが本気で熱く語るバック トゥ ザ フューチャーの凄さ~ P.S作り手の想い・・・

結局、発明家にも科学の世界にも進まなかったモーリー少年。映像を作る仕事をしているなんて少年時代には思いもしませんでした。

しかし少年時代にバック トゥ ザ フューチャーを目を輝かせて見ていた頃のトキメキが発明や科学といった形ではなく、ひょっとしたら私を映像の世界へ導いてくれたのかもしれません。

バック トゥ ザ フューチャーに魅せられてPart2では映像を制作する立場となったモーリーが改めて気づいたバック トゥ ザ フューチャーの凄さを熱く語ります。題して~大人になったモーリーが本気で熱く語るバック トゥ ザ フューチャーの凄さ~をお送りします。

今回のnoteを初めて読んでくださった方や、どうしてバック トゥ ザ フューチャーの話を熱くしているんだろう?と思ってくださった方には前回までのあらすじを読んでもらえると嬉しいです。

バック トゥ ザ フューチャーの凄いところ~起承転結のバランスが絶妙~

前置きはさておき、バック トゥ ザ フューチャーの凄いところは何といっても脚本と構成です。バック トゥ ザ フューチャー1を例にとって構成を見てみるとざっくりこんな感じ。(ネタばれを含みます。)

【1985年】マーティーが過ごす映画上の現在(少し落ちぶれている現在)
ここではマーティー、ドク、ジョージ(マーティのお父さん)、ロレイン(マーティーのお母さん)そしてビフ(ジョージをいいように使う同級生)といった登場人物のキャラクター紹介と関係性が描かれています。それと同時にこれから起こるトラップを紐解くヒントと笑いのネタフリが随所にちりばめられています。
このパートは登場人物の紹介とこれから引っかかるトラップを紐解くヒントがちりばめられているパートとなります。起承転結の起にあたります。

【1955年】ジョージ、ロレイン、ビフたちが高校生だった時代
ジョージが車に引かれそうになるのをとっさにマーティーが助けてしまったことから、ジョージとロレインは恋に落ちないことになってしまい、その結果自分の存在がなくなりそうになります。元の1985年に戻るチャンスは時計台に落雷が落ちる1回きり。その日までに歴史を元通りに戻そうとする奮闘する姿が描かれています。
このパートは物語のトラップに引っかかり、そのトラップを一つ一つほどいていくパートとなります。また1985年にあったネタフリのオチもこのパートでちりばめられています。起承転結の承・転にあたります。

【1985年】今までにいた現在の状況よりもハッピーになっている現在
マーティーの奮闘、ジョージの頑張りが功を奏し、無事ジョージとロレインは恋に落ち、時代は元通りに。そして1985年に戻る1度きりのチャンスもうまくものにしマーティーは現代に戻ってきます。以前いた現代では撃たれたドクも無事生還し、戻ってきた現在は今までいた現在よりもハッピーな状況になっておりめでたしめでたし。
このパートはトラップをほどいても元の時代に戻った結果、もっとハッピーな状況になっていたという結末パートとなります。起承転結の結にあたります。

約120分の本編の中で、最初の1985年が約30分、1955年が約80分、戻ってきた1985年が約10分です。上記のざっくりとした構成と照らし合わせると、起承転結の起に約30分、承・転に約80分(単純に半分すると約40分×2)、結に約10分と、とてもシナリオの比重がいいことが分かります。

いい意味で大どんでん返しはなく、幹となるストーリーは非常に単純明快。しかしストーリー上には小ネタがちりばめられているので、コアなファン向けには小ネタのオチを一つずつ確認していく楽しみ方もあります。いわゆるウォーリーを探せスタイルの映画ですね(笑)

さらに私見ですがバック トゥ ザ フューチャー1の好きなポイントは戻ってきた1985年が約10分と十分に時間が設けられている点。一つ一つ丁寧に点が線として繋がり、ハッピーな方向に向かっていることが描かれているところで後味を大変いいものにしていると思います。

映画によってはハッピーエンドな内容でも苦難を乗り越えたどり着いたラストシーンなのに最後の2~3分ハッピーな姿が描かれただけであっけなく終わりっていう映画って意外と結構ありますもんね。

バック トゥ ザ フューチャーの凄いところ~視覚的に決して飽きさせない工夫~

バック トゥ ザ フューチャーは日中シーンと夜中シーンの比重も絶妙です。よく見ると単調にならない具合に日中シーン・夜中シーンを交互にうまくブレンドしているのがわかります。

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映画によってはほとんど夜のシーンがメインの映画や室内のシーンがメインの映画など絵作りが単調な映画もあります。(SF映画なんかで宇宙が舞台の場合、宇宙船内が中心になったりとストーリー的に仕方のない場合も多いですが。)

バック トゥ ザ フューチャーの場合、上の表でもわかるように非常に気持ちよく日中→夜中→日中→夜中・・・と交互に繰り返されているうえ、時間配分的にも非常にうまくバランスが取れられているのが分かります。

また絵作り的にもデロリアン爆走シーンをはじめ、マーティーとビフのカーチェイス(マーティーはスケボーの場合が多いですが。)などスピード感のあるシーンもいいタイミングで入ってきます。

かったるいやり取りのシーンは皆無で、見た目的にも日中・夜中を繰り返し、さらにところどころスピード感のあるシーンがちりばめられているといった絵作りが、映画ファンのみならず、老若男女幅広い層の視聴者を虜にするポイントではないでしょうか。

バック トゥ ザ フューチャーの凄いところ~キャラクター設定が絶妙~

バック トゥ ザ フューチャーは主要な登場人物の人数やキャラクター設定も絶妙です。とりあえず下記の5人のキャラクターをだけを押さえておくだけで大筋のストーリーはつかめます。

マーティー・マックフライ ~ガッツマン~
ちょいとお調子者だがガッツマン。ドクと年の差はあるが友情で結ばれている。ガッツはあるが1985年の時点では文化祭のバンドオーディションに落選したりとあまりうまくは行っていない。
ドク(エメット・ブラウン)~博士~
天才発明家ではあるが、1985年の時点では落ちぶれている。車でタイムマシンを作るならカッコいいほうがいいという理由でデロリアンを採用したりとお茶目な一面も。
ジョージ・マックフライ ~弱虫なお父さん~
マーティーの父。なよなよしていてお人よし。ビフにいいように使われている。
ロレイン・マックフライ ~保守的なお母さん(実はおきゃんな女の子)~
マーティーの母。1985年ではやや疲れ気味で落ちぶれた感はあるが、保守的で威厳のある母親。1955年当時は男の子にも積極的なおきゃんな女の子。
ビフ ~ガキ大将~
マーティーの父ジョージの同級生であり1985年では会社の上司。自己中心的でガキ大将タイプ。マーティーの母、ロレインのことが好き。

それぞれのキャラクターの横に一言コメントを付けましたが、ほんとこの一言で表せるくらいキャラクター設定が分かりやすく(いい意味で極端)で全くブレません。

所見の映画を見る時って、キャラクターを理解しようと頭をフル回転させてませんか。バック トゥ ザ フューチャーにはその心配は全くありません。見た目通りのキャラクターが、見た目通りの言動をとってくれるのでストレスフリーで見ることが出来のもストーリーに没入させてくれる要素だと思います。

バック トゥ ザ フューチャーの凄いところ~男の子をくぎ付けにするデロリアンの存在~

ビジュアル面で最も貢献しているのは何といってもデロリアンの存在でしょう。とにかく男の子が好きな要素がデロリアンにはてんこ盛りです。

【男の子がデロリアンにくぎ付けになる要素】
◆ 車体が低くカッコいいハッチバック型スポーツカーである
◆ 車のボディーに色々な配線や配管が施されメカニックなボディーである
◆ ガルウィングドアである(羽みたいに開くドア)
◆ デジタルな表示やボタンがところ狭しと配置されている車内
◆ 時速140kmに達することでタイムスリップ出来るスピード感

ざっと上げただけでもこれだけ少年たちを虜にする要素が満載です。
もしタイムマシンがドクの研究室の一室にある備え付けの実験装置のようなビジュアル(タイムスリップする際、実験装置の中に入って、いろいろな配線を体につけなければならないなど)だったらバック トゥ ザ フューチャーはここまで世の中の人々を虜にしていなかったかもしれません。
※後で知った話ですが当初タイムマシンは冷蔵庫にするといった案があったとか聞いたことがあります。それだったらここまで大ヒットはしていなかったかも・・・

タイムマシンがスポーツタイプの車だったことで、映画にスピード感のあるシーンを加えることでより、目玉となる印象的なシーンが生まれたことは言うまでもありません。

バック トゥ ザ フューチャーの凄いところ~出てくる役者さんの演技力がすごい~

今回バック トゥ ザ フューチャーを見て改めて気づかされたことは「演技は時としてリアルである必要はない。」ということです。

映画にはリアリティが大切だ。もちろん演技にもリアリティが必要だ。そう漠然と思っていました。
しかし大人になってバック トゥ ザ フューチャーを改めてみて、リアリティのない大げさな演技だからこそバック トゥ ザ フューチャーはこれだけ世界中で愛されたんじゃないか。と思うようになりました。

もちろんすべての映画に当てはまるものではありません。
あくまでもコメディ要素がある映画だからこそ言えることなのですが、ドクやマーティーをはじめ、それぞれのキャラクターが全力で大げさに演技をすることで、それぞれのキャラクターを明確に伝え、笑いを誘い、さらに映画のリズム感を良くしています。

その結果、「この人はどういう意図でこんな表情をしているんだろう。」「喜んでいるのかなぁ?嫌がっているのかなぁ?」など見ていて意図の分からないシーンが少なくなり、ストーリーへの没入感を増します。

小説にはなく、映画の面白いところって「演技」というスパイスがあるところだなぁって再確認しました。その「演技」には答えがなく、その脚本を活かすためなら下手にリアリティにこだわる必要もなく、大げさに誇張するのも時としてOK。もしバック トゥ ザ フューチャーを「大げさな演技」や「コメディな演技」を排除して作ったらまた違った結果になっていたに違いありません。

【総括】~複雑なテーマをシンプルに表現。小ネタをちりばめることで何度見ても面白い~

バック トゥ ザ フューチャーは時間軸が複数個あり、一見難しそうな題材の映画ですが、非常にストーリーを理解しやすい映画です。
なぜ理解しやすいかというとセリフに無駄な掛け合いがほとんどないからです。キャラクター間で長いやり取りをするシーンもほぼ皆無です。シリアスなセリフまわしがほどんとないのである程度ぼーっと見ていても内容がわかります。
※コアなファンの方は細かなセリフまわしやシーンごとに映り込んだものをしっかり観察すると、クスっと笑える仕込みがたくさんあるのでお好きな方はそういうポイントを意識して見るのも楽しい作品です。

ではどのようにストーリーをつなげてるかというと、他愛のない序盤の1985年の日常シーン(映り込んでいる風景や登場人物の他愛のないやり取りなど)がほとんど仕込みなので、後の約90分は「あぁそういうことね。」といった具合で、納得しながら見ていけばいいだけです。

後キャラクター設定がブレたりもなく、一人ひとり個性的で非常にわかりやすいキャラクターなので見ていてモヤモヤ感を感じることは少ないです。
登場人物がシンプルなのもわかりやすいポイントですね。

最後に

私がこれまで見た映画で最も好きな映画がバック トゥ ザ フューチャーなので熱く語ってしまいましたが(誰でもわかっていることを理屈っぽく書いただけかも・・・)老若男女、子供から大人まで、今見ても楽しめる映画だと思います。

ちなみにバック トゥ ザ フューチャーのラストで未来に行ったドクがマーティーのもとにやってきてまたマーティーを時間の旅に連れ出すのですが、あれはPart2への予告ではなく、ドクの「マーティー未来に戻るぞ」というのがこの映画のオチでタイトルの「バック トゥ ザ フューチャー」にかかっています。

しかしその後Part2・Part3が見事な脚本で制作されたのも本当に脱帽です。

P.S作り手の想い・・・

私は大人になって映像を作る仕事を選びました。
映画に比べるとひよっ子のような規模の映像だと思いますが、映像の作り手としての想いはたぶん同じだと思います。
(同じ土俵に上がることすらお恥かしいですがお許しください・・・)

その想いとは・・・
「見ている人に喜んでもらいたい。」
というもの。


この一言に尽きると思います。

聞くところによると映画の構想に約10年の時間を費やしたそうです。その間、監督のロバート・ゼメキスと脚本家のボブ・ゲイルは念入りにストーリーからキャラクター設定まで考えたそうです。
すべては「見ている人に喜んでもらいたい。」が為に。

「喜んでもらいたい。」といった想いは制作者にとってパワーの源です。そして制作者にとって「喜んでもらえた。」時の嬉しさはどんなものにも代えることのできません。

以前とあるブランドのPRを弊社が任されたときのこと。
半年後に大きなブランドPRイベントがありそのイベントで使用する映像をはじめ、パンフレットデザインなど総合的に任していただきました。

半年間にも及ぶ制作期間を経て、PRツールは完成し(映像やパンフレットなど)私もそのイベントに招かれました。

そこで見た光景に私は涙しそうになりました。
道行く人々が目を輝かせてオーロラビジョンを見る姿。
パンフレットを手に取り商品を買っていくお客さんの姿。
全ての人は笑顔に包まれ、私にとっては最高の光景でした。

「みんなに喜んでもらえた。」
何物にも代えることが出来ない、最高のプレゼントを私はそこで頂きました。

映画公開後、世界中で楽しそうに映画館を後にするお客さんの姿を見て、ロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルもどれだけ嬉しかったでしょうか。


今回はただのバック トゥ ザ フューチャー好きが思い出と、少し理屈っぽく好きな理由を語っただけのnoteでした。
少しでもバック トゥ ザ フューチャーへの私の想いが伝われば幸いです(笑)
最後にバック トゥ ザ フューチャーPart3のラストシーンのドクの言葉を皆さんに紹介します。

「君の未来はまだ何も決まっていないということだ。未来は自分で切り開くものなんだよ。だから君たちも頑張るんだ!」ドク(エメット・ブラウン)


長文にも関わらず最後まで読んで頂きありがとうございました。

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