いつもの家具が小さな工夫でバリアフリーに。 IKEAイスラエルのThisAbles プロジェクト。
今日は来月2月1日に日本科学未来館でのイベントに来日される、プロダクトデザイナーのマリアーナ・ベンダビッドさんが関わっているIKEA イスラエル発のThis Ablesプロジェクトについてご紹介します。
▶︎ThisAbles プロジェクトってなに?
障害のある人たちが家具を使いやすくするための、IKEAイスラエル発のデザインプロジェクト。IKEAで販売されている家具に取りつけられる補助器具の3Dプリント用データを無料公開しています。
以前こちらで紹介したイスラエルのNGO ミルバットと、同じくイスラエルの障害者支援のNGO団体 アクセス イスラエル、そしてIKEAイスラエルの3つの団体がが共同で障害のある人にも使いやすい家具の補助器具を開発しました。
▶︎ ThisAblesってどういう意味?
元々、英語で “障害”を表すことばは“Disability”。でも、これって実は結構強いことばなんです。能力やできることを表す“Ability”という単語の前に否定を表す“dis” がついているため、「能力がない」「欠陥している」というネガティブな意味合いを持ってしまいます。
このプロジェクト名の “ThisAbles” は”Disabilities(障害者)"と同じ語感を残しながら、「これは(This) できる(Able)」とポジティブな意味合いにガラッと変換し、障害のある人たちの「できないこと」を取り上げるのではなく、「できること」をさらに増やすお手伝いをします。
ちょっとした工夫で近所のIKEAで買える家具が使いやすくなるのがこの補助器具のいいところ。今まで13つの道具のデータが公開されました(2020年1月14日現在)。
開発されたのは
● 持ちづらい家具の引き出しの小さなつまみを大きくする拡大つまみ
● ソファーの座高を高くして、座ったり立ったりするときの体への負荷を軽減するソファーのつぎ足部分
●飲み物のグラスを手に持って、顔に近づけるのが困難な人でもベッドサイドに取り付けて使用できるグラス入れカップ
●自分の指先を細かく動かせない人でも手の甲に器具をつけることで、絵や文字をかけるようになる器具
などなど。
このThisAbles ですが、誰でもアクセスできるようデータのみ無料で配布しているため、世界のどのIKEAに行っても実際の製品は今のところ販売はされていません。その代わり、3D プリンターにアクセスできる環境だったら、世界中誰でもダウンロードして使えます。
でも、ほとんどの人は3Dプリンターなんておうちにありませんし、使ったことすらありませんよね。
じゃあ。どうやったら、実際の製品が手に入るのかというと。
もし日本に住む私たちがThisAblesの器具が使用したい場合は、下記のようなやり方があります。
1) ネットで「3D プリンターサービス」などのキーワードで検索をかけ、オンラインでデータを送り発注する。
2) 住まいの地域に近いファブ施設に行き、そこの機材を使い出力させてもらう。施設使用料と材料費を払えばOK.
* ファブ施設 … 3Dプリンターやレザーカッター、デジタルミシンといったファブ機器と呼ばれるデジタル工具が使えるものづくりのための工房。全国に163箇所(*2019年度fabcross 調べ)ほどあります。 一部のリストはこちら
「それって、めちゃくちゃ高いんじゃないの?」とファブ未経験者としては思ってしまうのですが、ファブ施設では1時間の使用料も数百円程度が一般的。業者さんに頼むよりお得⭐︎ &機材の使い方なども教えてくれます。データは下のページからダウンロードできます。
最後に、このThisAbles プロジェクトについて注意点がひとつ。こちらはIKEAのイスラエルが独自でおこなったもので、日本には入ってきていないものです。IKEAは世界最大の家具メーカーだけあって、ライセンスなどは各国で違うのだそう。
現在は日本のIKEAさんに問い合わせいただいても説明できる材料はないので興味のある方は、本家のThis Ables projectのHPから自動英訳ソフトなどを使って、ぜひアクセスしてみてください。
2月のシンポジウムではこの商品を作るまでの開発話のほか、実際の器具も展示会場にて展示されるので、実際に触ってもらえますよ。
詳細&お申し込みはこちらまで。
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