自然のままがいちばんーこの1年で無理するのを辞めました。/ 山形のふくふくファーム
自然のゆたかな恵みいっぱいの中で育つにわとりから生まれたおいしい卵や野菜、花を作っているのは、山形県山辺町のふくふくファーム。のびのびした自然のなか、ともに働くのは、“働いてみたけれどだめだった・続かなかった” “他の場所では理解が得られなかった” いろんな個性や特性のあるひとたちです。
山形で(特非)障害者の地域生活を支援する会として「サポートスクエアぱおぱお」は活動してきました。事業所は山形市に、ふくふくファームを含めた農場がここ山辺町にあります。
ー 状況は全て「あるがまま」に受け入れる。
ー「自然」にそわないと、いいものが生まれないので、鶏にも働く人にも「無理をさせない」こと。
ー そして働く気がある人は障害が重くても, うけ入れる。
そんなポリシーを持つふくふくファームさんが、この一年今までと状況が変わってふかく気がついたこと、やめたこと、始めたこと。
先日オンラインでおこなわれた新しい過ごし方の意見交換会ではふくふくファームの小嶋さんの口からこれからの仕事と暮らしのヒントになりそうな興味深いお話がいっぱいでした。お話に出てきたうち、特に興味深かった5つのことを今日は紹介します。
1. わざわざ労力をかけて外に売りにいくのが、負担だったことに気がつき これを機にすっぱりやめた
コロナ禍を機に思い切って、商品を持って販売にいくことをやめてしまった。イベントもなくなってけれど、そもそもイベントにいくこと自体が負担だった。
「いろんな事情の社員(利用者)がいるし、いつも同じ状況がいいのに、イベントがあると忙しくなる状況がかえってつらかった。よくよく考えたら労力の割にそこまで大きな売りあげでなかったよね 笑 となって、それならそこに固執しないで別の方法もあるはず!とあっさりやめました」
2. みんな求めてもらえるものを作れば、喜んでくれる人が自然に生まれるのでなんとかなる
作っている看板商品のふく福たまごはファンが多く売れ行きも好調。
隣の県からわざわざ買いに来てくれる人もいる。
宣伝はしておらず(というか、小さなちいさな事業所なのでそんな余裕はナシ)全て口コミ。卵を使ってくれたサンドイッチやさんが “この卵いいよね” とS N Sで言ってくれて、別のおかしやさんにつながったり。同じ思いを持った人たちでつながりつつあることを実感中。
それまで販売できなかったB級たまごを使って、初めて自分たちで作って見たお菓子も、“この卵で作ったものならうちで取り扱いたい”と声をかけてくれる場所も現れました。その結果、「“求めてもらえるものを作れば売りに行かなくていい”という考え方にシフトしました。」
3. 大事なことは続けて: 毎日いく場所&やることがあることで救われる人もいる
去年ウィルス感染の第1波があったとき、閉じた場所もあったため “どうしようか?”となった。でも、社員の皆さんは難しい支援を要する人も多くて、おやすみにすることで色んな支障をきたしてしまうので続けていくことにした。どう考えても密でない山の環境も後押しになって。
家にいることで落ち着かなくなるけど、仕事に来ると落ち着く人もいる。週6日働いているひと、毎日来るけれど1日3時間の人など色んな働き方のひとたちが働く。
4. 自然の中だと自由で制限しなくていい。そのおおらかな自由がとてもいい結果を生む
常に動くのが好きなタイプの人がいると、室内だと“それはしないで”と制限をしないといけないけれど、ふくふくファームの活動拠点3箇所の畑はどれも山の中です。大声を出しても迷惑がかからない。だから規制したり、止めることがまずないそうです。
例えば大声を出したい人がいたとして、「ダメ!」と制限する代わりに
「好きなだけ大声を出してね♡」というと何故か穏やかになっていくそう。
5. 自然の中って。密にならないって気持ちいいよ。
山形で暮らす小嶋さんたちが再発見したのが密にならない、自然の環境の心地よさ。 楽しむというとイベントや街中に目が向いているなかで、外には密にならなくても楽しめる場所があると感じています。
「もともと重い自閉症のある人に合った広い空間がほしいと思って山の奥に場所を見つけました。でも、別の言い方で言えば、“そういう人は街にいなくていいよ” “だから山奥に行ったんでしょ”という見方もあると思う。でもそうじゃなくって密にならないことが人間にとってどんなに気持ちがいいか。街にいたら「何この人。じゃま!」と思える人も山の中には活躍の場がある。それがとっても良いものを生み出して、社会の役に立っている。」
「この場こそ今の社会に必要とされている。とても過ごしやすい心地よい場所なので、障害のないかたたちにも味わってほしい。そういう場所は、きっとみんなにとってもいい場所。
っていうことを私も感じたし、味わって欲しい。それを今回再発見したと思います。」
現在ふくふくファームが迎い入れている社員は15名。
一人ひとりに寄り添うことが大事なため、これ以上増やしたくても増やせない状況なのですが、それと同様に増やせないのがたまご。
もっと売って欲しいというリクエストが入っても自然のジレンマはあって、たまごの数もにわとりさんのご機嫌次第だそう。
「無理をさせたくない。自然のままが一番いいよね。
だからひよこが生まれて、たまごを産むまで半年かかる。それも全部育てている。無理するのはどこかに歪みが出るよね。」
にわとりも人も自然がいちばん。そういう自然なものって気持ちいいですね。確かに。
小嶋さんイベントでのお話ありがとうございました。
* この記事は、先月行われたオンラインでの「コロナ禍における障害のある人の仕事づくり」の情報交換会でのお話をまとめさせていただいています。
↓ Good Job! Projectでは以前もふくふくファームを立ち上げた鈴木学さんにお話をお聞きしています。こちらもよかったらご覧ください☆
(構成:Uga)
本事業は休眠預金を活用した事業です
「コロナ禍を契機とした障害のある人との新しい仕事づくり」は休眠預金等活用法に基づき、公益社団法人日本サードセクター経営者協会 [JACEVO]から助成を受けて実施しています。
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