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幸せに生きる才能

世の中には、生産性のない批判をする人が一定数います。健常者だろうが障害者だろうが関係なく、性悪な人間もいれば歪んだ人間もいるものです。

そうした類は不思議とあらゆる業界に必ず一定数現れますから、私はもう「そういう社会現象なのだろう」としか見ていません。サービス業に携わっていたり経営されていたり窓口業務を担当されていたりする方はよくご存じと思いますが、本当に「無意味に他人の足を引っ張る人間」って少なくないんですよね。

世の中には意味不明に思えるようなクレーマーがいますし、障害や病気をお持ちでそうした行為に及ぶ人もいます。あるいは精神的な成熟度が足りなかったり、脳の発育に問題があったりする場合もあるでしょう。それぞれご事情があるかと思います。ですから私はそうした人間にいちいち手を差し伸べようと思いませんが、かといって別段怒りや憎しみも覚えないのです。

ところで、こうした人間の多くには「他責思考」が垣間見えます。「自分の不幸は周りのせいだ」「自分が失敗したのは誰かのせいだ」、転じて「自分は悪くない」といった固定観念に囚われているようです。この他責思考が心にしみつくと、他人を無意味に非難する自分に疑問を抱かなくなるのでしょう。

さて、この類はどうやら古今東西いるようで、経営コンサルタントの二見道夫氏は著書において諸葛孔明の軍談の一節を引き合いにし、「後思案、居計らいに賢策なし」と表現しています。「批判ばかりで未来を建設的に語れない、行動哲学の育っていない人達」を指す言葉です。経営コンサルだけでなく、どうやら天才軍師の目にもこうした人間が一定数いる世界が映っていた様子。どうやら私の目に狂いはなさそうです。

行動哲学のない人達は結局、本人がそういう生き方をしているわけで、現状の不幸はほかでもないあなた自身に起因するのだ、と、親切に教えてあげることを私はとっくにやめました。

私が冷たい人間かどうか、不特定多数にどう思われるか、そんなことにももうあまり関心がありません。

妻は私を誰よりも慈愛に満ちた人間だと言ってくれます。誰よりも努力し人を幸せにする人間だと言ってくれます。私を信頼してくれている友人もいますし、私を頼ってくださる顧客もいらっしゃいます。公私ともに絆を深めたビジネスパートナーも国内外にいる。生きていればいろいろな問題と直面しますし、生きる国、場所、環境により抱える問題もさまざまですが、それでも彼らの多くは幸せそうに生きています。

幸せに生きる才能があるからです。

そしてそういう人達はそういう人達で集まります。

それでいいのです。

いわゆる類は友を呼ぶで、本当にこの言葉の通りに人間関係とコミュニティは形成されていきます。SNSであろうと原則は同じです。これを逆説的に捉えた「成功したいのなら成功者と一緒にいるべし」というセオリーも、実はとても理に適っています。「幸せになりたいのなら幸せな人間と一緒にいるべし」と言い換えてもいいでしょう。ですから歪んだ人間と付き合う必要などありません。棲み分ければいいのです。

「地面にお金が落ちていないかな……」と常日頃から思いながら歩いている人は、お金を拾うのが上手ですよね。学生時代、貧乏だった友人がまさにこの才能に長けていました。貧乏学生なのに拾ったお金で気前よくジュースなど奢ってくれたものです。彼はやがて米国に渡り、夢だったパイロットになりました。

「デザイナーになってゆくゆくは自分のブランドを持ちたい」と夢見ていた友人も、フランスに渡り見事にその夢を叶えました。それもそのはずです。その夢を実現するために必要なものを着々と集めたのですから。

行動哲学の養われていない人間が、たった一度きりのこの人生の中で、限られた時間の中で、潜在的にどれだけの機会を損失しているか。こういう人達を見ているとよくわかります。

「できる人にはわかんねーだろうな!」と暴言を吐くのも結構。

誰しも最初からできる人間だったわけではありません。重要なのは挑戦したこと。そして諦めなかったことです。

彼らは口を揃えてこう言います。

「別に難しいことなんてしてない」

達成できる目標は、人生にはたくさんあります。しかし皮肉なことに、それはやってみないとわからないことでもあります。

自分を不幸に追い込む人達を私は咎めません。生き方はそれぞれの自由です。幸せに生きる才能、すなわち行動哲学というものを養いどう生きるかは各々の裁量。どの生き方を選ぼうとも、それは自分自身の選択です。

少なくとも自分が思考を変えれば、人生の中で見える景色が変わってくることを、私は多くの友人から教わってきました。そして自分自身の経験としても知っています。

可能性を拒む人間と向き合い、消耗しながら言葉を投げかけることに時間を使うなら、その時間を“幸せに生きる才能を持つ人”に投じる。

私の大切な人生方針の一つです。

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